―はじめてのBtoB顧客満足度調査シリーズ⑤―
はじめに
ここまで、
STEP1では「何のために調査するのか」、STEP2では「誰に聞くのか」、STEP3では「何を・どう聞くのか」と進み、STEP4では、平均値の高い・低いだけを見るのではなく、「違い」「関係」「理由」から結果を読み解き、優先して考える課題を絞るところまでを説明しました。
では、課題が見つかったら、次に何をすればよいのでしょうか。
たとえば、
「営業担当者の提案力を高める」
「情報提供を充実させる」
「問い合わせへの対応を速くする」
といった改善テーマが見つかったとします。
ここで報告書を完成させ、社内に共有しただけでは、実際の改善ははじまりません。
顧客満足度調査の目的は、きれいな報告書を作ることでも、課題を見つけることでもありません。調査結果をもとに「次に何をするのか」を決め、実際の行動につなげることです。
シリーズ最後のSTEP5では、調査結果を「わかったこと」で終わらせず、改善活動につなげるための基本的な流れを考えます。
すべてを改善しようとしない
調査結果を見るとさまざまな課題が見つかります。営業対応、商品・サービス、納期、情報提供、アフターサービス……。自由回答にも、多くの要望が寄せられるかもしれません。
すると、「せっかく顧客から意見をもらったのだから、できるだけ多く改善しよう」と考えたくなります。
しかし、改善テーマを増やしすぎると、一つひとつの取り組みが曖昧になり、結局どれも十分に進まないことがあります。
STEP4で結果を読み解いたのは、「どこから取り組むのか」を決めるためです。
たとえば、
- 顧客にとって重要なのに評価が低い
- 総合満足度や取引意向との関係が強い
- 特定の顧客層で大きな課題が見られる
- 自由回答でも具体的な改善要望が多い
といった結果を手がかりに、優先して取り組むテーマを絞ります。
最初からすべてを変えようとするのではなく、「まず、どこを一歩前進させるのか」を決めることが、改善活動のスタートです。
「改善する」を具体的な行動に変える
改善テーマを決めたら、次に必要なのが具体的な行動への落とし込みです。
たとえば、「営業担当者の提案力を向上する」という目標を掲げたとします。方向性としては間違っていませんが、これだけでは担当者は何をすればよいのかわかりません。
STEP4で、
新規顧客では「ニーズ理解」の評価が低い
↓
ニーズ理解と総合満足度との関係が強い
↓
「自社の業界や用途を理解した提案がほしい」という声がある
ことがわかったのであれば、
- 新規顧客への初回ヒアリング項目を見直す
- 商談前に顧客の業界・用途について確認する項目を決める
- 提案後に顧客の課題を正しく捉えられていたかチームで確認する
といったところまで具体化できます。
「改善する」「強化する」「徹底する」という言葉で終わらせず、「明日から何を変えるのか?」まで考えることが重要です。
「明日できること」と「時間をかけて変えること」を分ける
改善テーマによって、必要な時間は異なります。すぐに実行できることもあれば、仕組みやシステムの変更、教育、設備投資などが必要なものもあります。
これらを同じ改善計画の中で考えると、「大きな課題だから今はできない」となり、動きが止まってしまうことがあります。
そこで、改善策を時間軸で分けて考える方法があります。
具体的には、
[明日からできること]
→ 問い合わせには当日中に一次回答する
→ 商談前に顧客情報を確認する
→ 顧客からの要望をチーム内で共有する
[半年程度で整えたいこと]
→ 営業ヒアリング項目を標準化する
→ 情報共有のルールを整える
→ FAQや提案資料を整備する
[一年程度かけて実現したいこと]
→ 顧客情報を一元管理する仕組みをつくる
→ 教育体系を見直す
→ 必要なシステムや設備へ投資する
といった分け方です。
大きな課題であっても、「では、明日できる一歩は何だろう?」と考えることで、改善活動をはじめやすくなります。一方で、現場の努力だけでは解決できない課題は、中長期的な仕組みや投資の問題として経営側で考える必要があります。
顧客の声を、日々の行動改善と会社の仕組みづくりの両方につなげることが大切です。
「誰がやるのか」を決める
具体的な行動が決まっても、「関係部署で検討する」だけでは、いつの間にか動かなくなってしまうことがあります。
そこで、
- 誰が中心になって進めるのか
- 誰と連携するのか
- いつまでに何をするのか
を決めます。
一例を挙げると、
| 改善テーマ | 具体的なアクション | 担当 | 確認時期 |
|---|---|---|---|
| 新規顧客への提案改善 | 初回ヒアリング項目を見直す | 営業部 | 1か月後 |
| 情報提供の改善 | 顧客向け情報の配信ルールを整理する | 営業企画 | 3か月後 |
| 問い合わせ対応 | 一次回答の社内ルールを決める | サポート部門 | 1か月後 |
といった形です。
立派な改善計画書を作る必要はありません。「何を・誰が・いつまでに」がわかるだけでも、調査結果は具体的な仕事へ変わっていきます。
調査結果は関係部門で一緒に考える
BtoBの顧客体験は、一つの部門だけでつくられているとは限りません。
たとえば、「納期への不満」が見つかったとしても、その原因は営業担当者だけにあるとは限りません。受注方法、生産体制、在庫、物流、顧客への情報提供など、複数の部門が関係している可能性があります。
同じように、「営業対応」という評価の背景に、技術部門やサポート部門との連携が影響していることもあります。
そのため、調査結果を調査担当者や経営層だけで見るのではなく、実際に顧客と関わる部門とも共有し、「なぜこの評価になったのか」「何なら変えられるのか」を一緒に考えることが重要です。
顧客の声は、誰かを評価するための材料ではありません。会社として、顧客との関係をどう良くしていくかを考えるための共通材料として扱うことで、改善活動につなげやすくなります。
実行したら振り返る
改善活動は、「実行したら終わり」でもありません。
しばらく取り組んだあとに、
- 実際にできたのか
- 現場では無理なく続けられているか
- 顧客の反応は変わったか
- 次に見直すべきことはないか
を確認します。
必要であれば、次回の顧客満足度調査で評価の変化を確認することもできます。
顧客満足度調査は、年に一度数字を確認するためのイベントではなく、顧客理解と改善を繰り返すための仕組みとして活用できるのです。
最後に、この3つを決めてみる
STEP4では、結果を見ながら、「違い」「関係」「理由」を考え、優先して取り組む課題を絞りました。
STEP5では、その課題について次の3つを決めてみてください。
- 何を変えるのか?
→ 改善テーマを具体的な行動にする。 - 誰が取り組むのか?
→ 担当者や関係部門を決める。 - いつ振り返るのか?
→ 実行したままにせず、確認する時期を決める。
たとえば、「新規顧客へのヒアリング項目を営業部で見直し、3か月後に運用状況を確認する。」
――ここまで決まれば、「顧客満足度調査の結果」が一つの具体的な改善活動に変わります。
まとめ――調査のゴールは「次の一歩」が決まること
ここまで、「はじめてのBtoB顧客満足度調査」を5つのステップで見てきました。

顧客満足度調査は、「満足度が何点だったか」を確認するためだけのものではありません。
顧客の声をもとに、何を知りたいのかを決め、必要な声を集め、結果を読み解いて、次に何をするのかを決めるための取り組みです。
最初から完璧な調査や、大きな改善活動を目指す必要はありません。
まずは、調査結果から一つでも、「次に何をしようか」と話し合えるテーマを見つける。そして、できるところから一歩ずつ改善していく。
それが、顧客満足度調査を「調査して終わり」にしないための第一歩です。
実際の取り組みイメージを見たい方へ
以下のケーススタディでは、BtoB企業を舞台に、顧客の声を社内で共有し、分析結果を具体的な改善活動へつなげていくプロセスをご紹介しています。
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