―はじめてのBtoB顧客満足度調査シリーズ③―

はじめに

はじめてのBtoB顧客満足度調査シリーズのSTEP1では「何のために調査するのか」を、そして、STEP2では「誰に聞くのか」を考えてきました。目的と回答者が決まったら、次はいよいよアンケートの質問を考えます。
ここで注意したいのが、「自社が聞きたいこと」をそのまま質問にしないことです。

ただ単に、

「当社の営業担当者をどう思いますか」
「当社製品についてどう評価していますか」

と聞いても、回答する人によって思い浮かべるものが違ってしまいます。
また、営業部門、商品部門、サポート部門などから聞きたいことを集めていくと、質問数がどんどん増えてしまうこともあります。

アンケート設計で大切なのは、聞きたいことを並べることではありません。調査の目的に必要な情報を、回答者が答えやすく、あとで分析や改善に使える質問に変えることです。

今回は、そのための基本的な考え方を整理します。

何のために、誰に聞くのかを考える

アンケートを作りはじめると、「NPSも入れたほうがよいのでは」「自由回答もいくつか聞きたい」など、質問そのものに意識が向きがちです。しかし、その前に確認したいのが、「この質問は、何を判断するために必要なのか」ということです。

たとえば、STEP1で、「顧客が当社を評価している点と改善を求めている点を把握し、来年度に優先して取り組む改善テーマを決める」と目的を設定したのであれば、その判断に必要な質問を考えます。

そして、STEP2で、「日常的に営業担当者と接している窓口担当者に聞く」と決めたのであれば、その人が実際に経験し、評価できることを質問します。

つまり、何のために聞くのか → 誰に聞くのか → 何を聞くのかという順番です。

何のために聞くのか→ 誰に聞くのか→ 何を聞くのかという順番で質問を考える

「聞きたいこと」をそのまま質問しない

「営業担当者の評価を知りたい」と考えたとします。
「当社の営業担当者に満足していますか?」と質問すれば、営業担当者についての満足度はわかるでしょう。
しかし、仮に評価が低かったとしても、何が問題なのかまではわかりません。

回答者が見ているのは、

  • 連絡への対応の速さ
  • 商品や業界についての知識
  • 自社の要望への理解
  • 提案内容
  • 情報提供
  • 困ったときの対応

など、さまざまな側面だからです。

そこで、「営業担当者」という大きなテーマを、回答者が実際に経験している具体的な項目へ分けていきます。

具体的には、

  • 問い合わせや依頼への対応の速さ
  • 商品・サービスに関する知識
  • 自社のニーズや課題への理解
  • 提案内容の適切さ
  • 必要な情報の提供
  • 相談のしやすさ

といった項目です。
こうしておけば、「営業担当者全体の評価は高い中で、提案内容には改善余地がある」といった読み方ができるようになります。

アンケート回答から使える情報を得るには、知りたいテーマを、回答者が具体的に評価できる言葉に翻訳した質問を作成することがカギとなります。

一つの質問では、一つのことだけを聞く

答えやすい質問にするためには、一つの質問に種類が異なる複数の評価対象を入れないことも大切です。

たとえば、「製品の品質や価格に満足していますか?」という質問があったとして、「品質には満足しているが、価格には不満」を感じている人は、どう答えればよいでしょうか。

このような質問の場合は、「製品品質」と「価格」のように分けて質問します。

基本は、一つの質問では一つのことだけを評価してもらうことです。これだけでも、回答しやすさと分析のしやすさは大きく変わります。

「満足度」だけでなく、改善につながる情報を聞く

顧客満足度調査ですから、各項目の満足度を聞くことはもちろん重要です。
しかし、満足度だけを並べても、改善の優先順位までは判断できないことがあります。

たとえば、以下のような集計結果をみると、「情報提供」を最優先で改善したくなるかもしれません。

項目満足度
製品品質4.3
営業対応4.0
納期3.6
情報提供3.3

しかし、重要度分析の結果、「納期」の影響度が「情報提供」よりも高い場合は、「納期」の改善のほうが優先度が高いと考えられます。

また、「今後も取引したいと思うか」「他社と比べてどこを評価しているか」といった質問を組み合わせることで、「満足しているか」だけでは見えない関係も分析できます。

大切なのは質問を増やすことではありません。調査後にどのような分析をしたいのかを考え、そのために必要な質問を設計しておくことです。

なお、結果をどう読み解くかについては、STEP4で詳しく扱います。

自由回答は「何でもご自由に」だけにしない

数値評価だけでは、「なぜその評価になったのか」までわからないことがあります。

そこで役立つのが自由回答です。
ただし、「その他、ご意見・ご要望がございましたら自由にお書きください。」という質問では、回答する側も何を書けばよいのか迷います。また、集まる意見のテーマがばらばらになり、分析しにくくなります。

具体的には、

「当社との取引で、特に評価している点があれば具体的にお聞かせください。」
「今後、当社に改善してほしい点があれば具体的にお聞かせください。」

と聞けば、「なぜ評価しているのか」「何を改善してほしいのか」という、次の行動につながる情報を得やすくなります。

さらに、

「そのように感じた具体的な出来事があればお聞かせください。」

と一歩掘り下げれば、数値だけでは見えない顧客体験がわかることもあります。

自由回答も、「とりあえず最後に置く」のではなく、何を知りたいのかを決めて設計する質問の一つです。

質問を増やしすぎない

アンケートを作っていると、聞きたいことは次々と出てきます。――営業部門から質問を追加したいと言われ、商品部門からも要望が出て、経営層からも確認したい項目が出てくる。――すべてを入れていくと、アンケートはどんどん長くなります。

質問を追加したくなったときには、「この質問の回答がわかったら、何を判断できるのか?」と考えてみます。答えがはっきりしないのであれば、その質問はなくてもよいかもしれません。

回答者は自社の調査のために時間を使ってくれています。回答負荷を抑え、調査の目的達成に必要な質問を絞り込むことが重要です。

調査票ができたら、一度「回答者」になってみる

質問が一通りできたら、すぐに調査を始めるのではなく、自分自身で最初から最後まで回答してみることをおすすめします。
そのときは、調査を作った側ではなく、回答する顧客の立場で見てみます。

確認の視点としては、

  • 質問の意味がすぐにわかるか
  • 何について答えればよいか迷わないか
  • 同じような質問が続いていないか
  • 自分には答えられない質問がないか
  • 選択肢に当てはまるものがあるか
  • 自由回答が多すぎないか
  • 最後まで回答するのに負担を感じないか

などを確認します。

可能であれば、調査設計に関わっていない社内の人にも回答してもらうと、作成者には気づきにくいわかりにくさが見つかることがあります。

質問文を一つずつ直すだけでなく、アンケート全体を一つの回答体験として確認することが大切です。

まとめ――「聞きたいこと」から「使える質問」へ

BtoB顧客満足度調査では、自社が聞きたいことをそのまま質問にするのではなく、回答者が実際に経験していることを、具体的で答えやすい質問に変えることが重要です。

そのためには、

目的から必要な質問を考える → 大きなテーマを具体的な評価項目に分ける → 一つの質問では一つのことを聞く → 満足度だけでなく、分析に必要な情報を組み合わせる → 自由回答で理由や具体的な体験を聞く → 質問を増やしすぎない → 回答者の立場で最後に確認する、という流れで考えてみるとよいでしょう。

目的から必要な質問を考える → 大きなテーマを具体的な評価項目に分ける → 一つの質問では一つのことを聞く → 満足度だけでなく、分析に必要な情報を組み合わせる → 自由回答で理由や具体的な体験を聞く → 質問を増やしすぎない → 回答者の立場で最後に確認する、という流れで考えてみる

よいアンケートとは、たくさんのことを聞けるアンケートではありません。
回答者が答えやすく、得られた回答を次の判断や改善に使えるアンケートです。

次のSTEP

アンケートを設計し、回答が集まったら、次に待っているのが「結果をどう読み解くか」です。

調査結果の数字の高い・低いだけでは、改善の優先順位や顧客との関係は十分に見えてきません。

STEP4では、「満足している=継続するとは限らない」「平均値が低い=改善優先とは限らない」というところから、調査結果を次の打ち手につなげる読み解き方を整理します。

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