ある食品メーカーからの相談です。

商品を卸しているスーパーから、新商品について「誰が、どの程度、どういう時に買うのか?」といったようなことがわかる消費者調査データの提供を求められている。そうしたことがわかる調査を実施したい。

新商品の発売時に限らず、商品に対する消費者の評価データを求められることがあるようですね。
対応策として考えられる調査を4種類とりあげ、それぞれのメリットやデメリット、費用感などを簡単にご紹介します。

試食アンケート [会場調査方式]

対応策としてまず思い浮かぶのが、試食アンケートです。
商品のターゲットとなる消費者に調査会場まで来てもらい、商品を試食したうえで味や食感などについて評価してもらいます。

しかし、実際に試食アンケートをしようとすると、調査会場や商品の保存・保管のための機器などの手配にはじまり、分量や調理方法の管理など、何かと手間や時間、そしてお金がかかります。

だいたいの目安としてn=100人を対象とした調査を実施する場合、150~200万円くらいの費用をみておく必要があるでしょう。

試食アンケート [モニター調査方式]

商品のサンプルを送るとアンケートに答えてくれるモニターを対象として調査を実施する方法があります。

会場調査のように試食してもらう商品の状態や試食方法を厳密にコントロールすることはできませんが、会場調査に比べると調査費用は大幅に安くなります。ただし、時間はそれなりにかかります。

また、モニターの中にどれだけ商品のターゲット層がいるのかという問題がありますし、発売前の新商品をサンプルとして配布するのには不安がつきまといます。

社内アンケート

費用や時間がかかることから、外部に委託して試食アンケートをするのが難しいために社内で調査をしているケースもあるようです。

身内の調査はどうしても甘くなってしまいがちで、担当の方から「誘導尋問的な質問でよい結果が出るようにしている部分もある」と打ち明けられたことがあります。

そもそも調査結果を提示する際には、少なくとも、

  • 調査対象者の条件 (例:ふだんスーパーで○○○を購入している20~59歳の女性)
  • サンプルサイズ (例:n=100人)
  • 調査方法 (会場調査)

くらいは明記しておくべきです。

これらの情報が示されていない調査結果は信頼できないものと扱われても文句は言えません。

社内アンケートに頼らざるを得ない場合には、実施方法が恣意的なものにならないように、基準となる仕様を決めておくとよいでしょう。

たとえば、以下のような感じです。

対象者当社のパートさん、およびパートさんの家族や友人
一世帯2人までとする
特定の年代に偏ることのないよう年代別割付(例:30代/40代/50代を20人ずつ)を行う
サンプルサイズ少なくとも50人以上
調査方法対象者の自宅での試食を伴うアンケート
アンケートの回答は当社ホームページ上の専用ページで行う

Web回答方式にすれば、最短2~3日で調査結果を出すことができます。
質問内容についてもある程度の型を作っておくと、「現行商品のときよりも評価が高い/低い」といった調査結果の比較が可能になります。

調査項目の作成やWeb回答画面の作成、集計などについては当社でもお手伝いしています。しっかりとした社内アンケートの仕組みを作りたい方はご相談ください。

コンセプトテスト [Webアンケート方式]

試食を伴うアンケートをしようとするとどうしても時間がかかります。
納入先が1か月も2カ月も待ってくれるのであれば話は別ですが、10日後、2週間後など提出期限までの余裕がない場合には、コンセプトテストを実施します。

コンセプトテストでは、ターゲット消費者に商品の特徴を説明した「コンセプト」を読んでもらって、魅力度や購入意向などを評価してもらいます。試食はなしです。
全部で15問くらいであれば20~30万円でn=100人を対象とした調査を実施可能です。イチから調査票を作る場合でも、最短で1週間から10日程度で調査結果がでてきます。
評価要因分析をすれば、商品のどのようなところの魅力度が高いのか、すなわち、どんなメッセージを打ち出せばターゲットに効くのかがわかります。

納入先からの要請の有無にかかわらず、商品開発段階に消費者によるチェック機能としての市場調査を組み込んでおくと顧客目線での商品開発が可能になりますし、関係先からの急な要求にも慌てることがありません。

なお、コンセプトテストについては、以下のページで詳しく説明しています。
※画像をクリックすると、説明ページが開きます。

数値と言葉の力で導く商品開発の成功:コンセプトテスト実践ガイド

成功を目指す商品開発に欠かせないコンセプトテスト。数値と言葉の力を最大限に活用し、市場での成功を確実にする実施方法を詳細に解説。

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