顧客満足度調査を実施すると、自社の強みだけでなく、これから改善していくべき課題も見えてきます。
調査結果をもとに改善すべきテーマを絞り込み、具体的なアクションプランを策定する。
そして、営業や顧客対応、商品・サービスなど、それぞれの現場で改善活動を進めていく。
顧客満足度調査は、ここまでつながってこそ意味のあるものになります。
では、改善活動を始めたあと、その効果をどのように確認すればよいのでしょうか。
- 調査結果から改善活動へつなげていく考え方について、以下のページでも詳しくご紹介しています。
顧客満足度調査の活用支援
「満足度が上がったか」だけを見ていませんか
改善活動を始めて半年後、あるいは1年後に、もう一度顧客満足度調査を実施する。
そこで前回調査と今回調査の結果を比較し、
「満足度が前回より3ポイント上がった」
「残念ながら、ほとんど変わらなかった」
「むしろ少し下がってしまった」
といった形で、改善活動の成果を確認するケースは少なくありません。
もちろん、前回調査との比較は重要です。
しかし、満足度が上がったか、下がったかだけで、改善活動の成否を判断してよいのでしょうか。
たとえば、改善施策を実施したにもかかわらず、満足度がほとんど変わらなかったとします。
このとき、すぐに「今回の改善施策には効果がなかった」と結論づけることはできません。
そもそも決めた改善策が現場で十分に実行されていなかったのかもしれません。改善策は実行されているものの、その変化を顧客がまだ感じていないのかもしれません。
あるいは、顧客は「以前より良くなった」と感じ始めているものの、それが満足や信頼といった評価の変化として表れるまでには、もう少し時間が必要なのかもしれません。
同じ「満足度が変わらなかった」という結果でも、その背景によって、次に取るべきアクションはまったく違ってきます。
フォローアップ調査は「改善の現在地」を診断する
そこで、フォローアップ調査を、単に前回と今回の点数を比較するための調査ではなく、「改善アクションがどこまで進んでいるのかを確認する調査」と捉えてみます。
言い換えるなら、フォローアップ調査は、成果を採点するための調査ではなく、改善の現在地を診断し、次の一歩を決めるための調査です。
「結果は何点だったか」だけを見るのではなく、
- 改善は、いまどこまで届いているのか。
- そして、どこで止まっているのか。
を確認する。
こう考えることで、フォローアップ調査から得られる情報は、次の改善活動につながるものになっていきます。
改善が評価につながるまでには「3つの壁」がある
改善活動が顧客からの評価につながるまでには、大きく3つの段階があります。
実行 → 体感 → 評価
もう少し平たく言えば、
「やった → 届いた → 評価が変わった」
という3段階です。
ここでは、それぞれを「改善の3つの壁」と考えてみます。
第1の壁:実行の壁
最初に確認したいのは、「決めた改善策は、本当に現場で実行されたか」です。
改善会議で方針を決めても、それだけで顧客への対応が変わるわけではありません。
- 一部の担当者だけが実践している
- 最初の数か月は取り組んだものの、その後続かなくなった
- 部門によって実行状況に大きな差がある。
こうした状態であれば、まだ「実行の壁」を越えたとはいえません。
ここでは、改善策の実施状況や現場への浸透度、社員の認知や行動の変化などを、部門レビュー、全社レビュー、社員意識調査などを通じて確認します。
第2の壁:体感の壁
改善策が現場で実行されるようになったら、次に確認したいのは、「その変化を、顧客は実際に感じたか」です。
会社側では一生懸命取り組んでいても、その変化が顧客に伝わっていなければ、顧客から見れば何も変わっていないことになります。
たとえば、「問い合わせへの対応を迅速にする」という改善に取り組んだのであれば、
「最近、担当者からの連絡が早くなった」
「以前よりスムーズに回答をもらえるようになった」
といった具体的な変化を顧客が感じているかを確認します。
ここで重要なのは、単に現在の満足度を聞くのではなく、自社が意図した改善を、顧客が変化として認識しているかを見ることです。
第3の壁:評価の壁
顧客が変化を感じるようになったら、その先にあるのが、「体感された変化が、満足・信頼・継続意向などの向上につながったか」という評価の壁です。
ここでは、改善対象となった個別項目の満足度だけでなく、総合満足度、信頼、継続意向などへの波及も確認していきます。
つまり、
- 改善策を実行した。
- 顧客にも変化が届いた。
- その結果、評価が変わった。
ここまでつながって初めて、改善活動が顧客評価の変化に結びついたと考えることができます。
フォローアップ診断表――3つの壁で「改善の現在地」を見る
3つの壁について問いかけるテーマと見るべき変化を整理すると、次のようになります。

ここで大切なのは、フォローアップだからといって、前回と同じ調査票をそのままもう一度使えばよいとは限らないということです。
「何が変わったのかを知るために、何を見る必要があるのか」―― その「見るべき変化」を先に考え、必要に応じて部門レビューや社員意識調査、顧客対象調査を組み合わせていくことが重要です。
「壁を越えた」と何をもって判断するのか
さらに、それぞれの壁について、「何をもって、この壁を越えたと判断するのか」をあらかじめ考えておくと、フォローアップの結果を次のアクションにつなげやすくなります。
たとえば、次のように考えることができます。
- 実行の壁を越えた状態
決めた改善策が、一部の担当者だけではなく、対象部門の日常業務として実施されている。 - 体感の壁を越えた状態
自社が意図した改善を、顧客が具体的な変化として認識している。 - 評価の壁を越えた状態
その変化が、対象項目の満足・信頼・継続意向などに結びついている。
このように考えると、「満足度が上がったか、下がったか」だけでは見えなかった改善の現在地が、少しずつ見えてきます。
そして、この基準に照らすと、フォローアップの結果は次のように診断できます。
どの壁で止まっているかによって「次の一歩」は変わる
「実行」「体感」「評価」の3つの壁のうち、どこで止まっているのか?がわかると、次の一歩が見えてきます。

ここにフォローアップ調査を行う大きな意味があります。
たとえば「実行○・体感×」であれば、改善施策そのものをすぐに変更する必要はないかもしれません。必要なのは、「せっかく実行している改善を、どうすれば顧客が感じられるところまで届けられるか」を考えることです。
一方、「体感○・評価×」であれば、その改善が顧客にとって本当に重要なものだったのか、評価が変わるまでにもう少し時間が必要なのか、施策の内容をさらに深める必要があるのか、といった検討が必要になります。
どこで止まっているかが分かれば、次に何を考えるべきかも変わる。
だからこそ、フォローアップでは「点数の比較」だけではなく、「改善の現在地」を診断する視点が重要になります。
フォローアップでは組織の変化を見ることも重要
今回は、改善活動が顧客評価につながるまでの、実行 →体感 → 評価という「改善の3つの壁」に焦点を当てました。
一方で、改善活動を継続していくためには、それを担う社員の意識や行動がどう変化しているかを見ることも重要です。
社員意識調査については、エンゲージメントサーベイとの関係も含め、別のコラムで取り上げたいと思います。
また、改善活動を通じて、会社が大切にしていることへの理解が深まり、それが日々の判断に使われ、やがて社員が自律的に改善を続けられるようになる ―― こうした「文化醸成」も、フォローアップで見ていきたいもう一つの変化です。
この点についても、別のコラムで改めてご紹介します。
顧客満足度調査を「次の一歩」につなげるために
顧客満足度調査は、結果を確認して終わるものではありません。
調査から課題を見つけ、改善策を考え、実行する。そしてフォローアップによって、
- 改善はいま、どこまで進んでいるのか。
- どこで止まっているのか。
- 次に何をすればよいのか。
を考える。
このサイクルを繰り返していくことで、顧客の声を継続的な改善につなげることができます。
フォローアップ調査を検討する際には、単に「次回も同じ調査をする」と考えるのではなく、「次の一歩を決めるために、今回は何を見る必要があるのか」というところから設計してみてはいかがでしょうか。
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