アンケートの作成は思ったよりも複雑です。特にシンプルなアンケートの設計は、細部まで注意が必要です。

最近、ソフトウェアのサポート後に受け取った「コールセンターの満足度調査」を見て、効果的なアンケートの設計について考えるきっかけとなりました。

[受け取ったアンケートのイメージ]

コールセンターの満足度調査質問。

このアンケートを基に、アンケート作成の際の3つの重要なポイントを紹介します。

  1. 質問項目は、評価要因を網羅しているか?
  2. 質問は具体的すぎず、抽象的すぎないか?
  3. 自由回答は、具体的なアクションにつながる情報を得られるようになっているか?

質問項目は、評価要因を網羅しているか?

アンケートの例を見ると、問1では「お客さまセンターの総合的な評価」を、問2では「窓口オペレーターの評価」を聞いています。
お客さまセンターへの満足度を上げるには、オペレーターについてどのような側面のスキルなどを向上すればよいのかを知りたい、というのがこのアンケートの目的のようです。

質問の範囲を絞り込むことで、回答者の負担を軽減する意図があるかもしれません。ただ、具体的な改善策を考えるためには、「オペレーター」だけでなく、他の要因も考慮する必要があります。

「オペレーター」について改善可能な点と、それ以外の要因での改善が必要な点を明確にすることで、効果的な施策の優先順位や期待値を正確に把握することができます。

コールセンターの満足度評価構造。コントロールできるものとコントロールできないもの両方を考えて、全体構造を把握する。

「オペレーター」ではコントロールできない要因としては以下が考えられます

「オペレーター」ではコントロール不可能なこと

  • 電話番号の見つけやすさ
  • お客さまセンターの営業日・時間
  • 電話のつながりやすさ
  • WebサイトのFAQなどのその他のサポートツールの有効性
  • 問い合わせの背景や経緯

たとえば、クレームの伝達が目的の場合や、トラブル解決が目的の場合、オペレーターの対応方法が同じでも、受け取り方や評価は異なる可能性があります。そのため、評価だけでなく、問い合わせの目的も取得することが重要です。

質問は具体的すぎず、抽象的すぎないか?

「聞いてみたい」気持ちが強すぎると、つい具体的な詳しい情報を得ようするあまり、対象者にとっては違いがわからない細かすぎる評価項目を盛り込んでしまいがちです。
回答者の立場で考えてみて、適切な詳細度で質問を設計することが重要です。

以下は、「オペレーターについての評価」項目の考え方の例です。

大分類中分類小分類具体的な対応
姿勢・態度基本的なマナー言葉づかい
話し方
丁寧な言葉づかいができる。
相手にとって聞き取りやすい話し方ができる(話のスピード、発声の大きさ・明瞭さ)。
知識・能力基本的な対応能力問題把握
問題理解
どのようなことが問題になっているのかを的確に聞き出すことができる。
どのように解決してほしいと思っているのかを理解することができる。
知識・能力専門的な対応能力問題解決
説明・理解支援
問題解決のために最適な方策を考えることができる。
解決策についてわかりやすく説明することができる。
将来のトラブルを未然に防ぐ方策などを提案することができる。
姿勢・態度親身な対応顧客視点顧客の立場に立って考えることができる。
顧客が安心して納得できるまで、粘り強く、解決に取り組むことができる。

まず、評価分野を大きく「姿勢・態度」と「知識・能力」に分け、さらに、それぞれについて「基本」レベルと「専門・高」レベルに分けて、具体的にどのような対応が求められるかを考えていきます。

自由回答は、具体的なアクションにつながる情報を得られるようになっているか?

問1、問2でお客様センターに関する質問を行った後、問3で突如として会社全体に焦点を当てる質問が出てきます。これでは「ついでに聞いている」という印象を抱かれる可能性があります。

一般的に、単に「ご意見・ご要望をお聞かせください」という形式の自由回答質問では、具体的な改善のヒントを得るのは難しいです。お客様センターに関する意見を求めているのであれば、質問の焦点を絞り込むことが重要です。

[自由回答質問例]

お客様センターについて「ここがよかった」「ここをもっとこうしてほしい」などとお気づきの点がありましたら、具体的に教えてください。

このような質問の形式を採用することで、お客様の実際の意見や体験を具体的に知ることができ、それをもとに改善策を検討する際の参考とすることができます。

効果的なアンケートを作成するためには、客観的なデータを取得するための詳細な準備が必要です。さらに、そのデータの背後にある理由を深く理解するための質的情報の収集も不可欠です。ここで紹介したのは単なる3つの質問例に過ぎませんが、限られた質問で最大限の情報を引き出すためには、効率的なアンケート設計が必要です。

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