自由回答の活用が重要な理由

顧客満足度を高めるためのアンケートでは、「自由回答」の存在が大きな意味を持ちます。

選択式の設問ではとらえきれない「想定外の不満」や「隠れた要望」は、自由回答によって初めて明らかになることがあります。
たとえば、以下のような4象限で顧客の声を整理できます。

|                     | 自社が気づいている         | 自社が気づいていない       |
|---------------------|----------------------------|-----------------------------|
| 顧客も気づいている | ① 既知の不満(Overt Pain)   | ② 隠れ不満(Blind Pain)     |
| 顧客も気づいていない | ③ 潜在ニーズ(Hidden Needs)| ④ 未知のニーズ(Unknown Needs)|
①から②への矢印=アンケートで検証し、課題を見つける
②から③への矢印=潜在ニーズの掘り起こしができれば大きなビジネスチャンスとなる
④の方向へ=顧客理解を深めて①~③の領域を広げることにより「未知」の部分を小さくする)

自由回答を活用することで、特に「隠れ不満」「潜在ニーズ」といった、顧客のリアルな声の深層を掘り起こすことができます。

活用効果を高める自由回答の設計法

自由回答でも、「ご自由にお書きください」では有効な意見は集まりません。
以下のような設計の工夫が必要です。

  • 目的を明確にした問いかけ:例「ご不満な点があれば、どのような点でしょうか?」
  • 期待するコメントの方向を示す:例「商品・対応・価格など、気になる点を具体的にお聞かせください」
  • 誘導にならない前提提示:例「もし改善してほしい点があれば…」

自由回答は、不満のはけ口ではなく、改善につながる“建設的な不満”を集める場として設計すべきです。

分析の方法と優先順位づけ

集まった自由回答は、丁寧に読み込みつつ、以下の方法で整理・活用していきます。

カテゴリー分類と定量化

  • 「機能・品質」「対応・接客」「コスト」「スピード」「感情的な印象」などの切り口で分類
  • アフターコーディングにより、数値化(出現割合)して優先順位付けが可能に

👉 自由回答の整理・数値化の詳しい方法はこちらの記事をご参照ください。
「アンケートの自由回答(フリーアンサー)、使いこなせていますか? 成果を生む分析・活用法」

狩野モデルによる重要度判定

顧客のコメントを分類したあと、それが「どれほど満足度に影響するのか?」を考えることが重要です。
その評価軸として役立つのが「狩野モデル」です。分類された評価要素を、主に「魅力的品質」「一元的品質」「当たり前品質」の3タイプに分類します。

品質タイプ概要
魅力品質充足されれば満足だが、不足しても不満にならない
一元的品質満足/不満が評価に直結する
当たり前品質不足すると強い不満になるが、充足されても評価されにくい
狩野モデルの品質要素分類図。横軸は「品質の充足度」、縦軸は「顧客満足度」。3つのラインで「魅力品質(充足で満足度が急上昇)」「一元的品質(比例関係)」「当たり前品質(充足しても評価されず、不足すると不満)」を示す。

たとえば、「納期」は当たり前品質、「スタッフ対応」は一元的品質、「アフターサービス」は魅力品質といった判断が可能です。

この考え方を取り入れることで、「どこをどのレベルまで改善すべきか」が見えてきますので、すべてを改善しようとする非効率を避けつつ、効果の高い改善策に集中することができます。

自由回答を施策に活かすには

分析結果は「施策に活かしてこそ価値がある」ものです。たとえば、以下のように分類・可視化することで、社内で共有しやすくなります。

● 不満の主なカテゴリー例

📦 機能・品質への不満(例:壊れやすい、思ったより使いづらい)
🤝 人的対応に対する不満(例:態度が冷たい、説明不足)
⏳ 時間的な不満(例:対応が遅い、手続きに時間がかかる)
💰 金銭的な不満(例:価格が高い、コストパフォーマンスが悪い)
😟 感情面での不満(例:期待していたのに裏切られた気がする)

● 改善優先順位のつけ方

  • 出現頻度が高い不満 × 一元的/当たり前品質 → 最優先で改善
  • 魅力品質 × ポジティブ意見 → 強化して差別化ポイントに

当社サービスの特徴とご案内

当社では、こうした自由回答の分析についても「伴走型支援」で対応しています。

「設問の設計は自社で行うけれど、自由回答の整理・分析だけお願いしたい」「施策化の観点で読み解いてほしい」などのご相談にも柔軟に対応。大量のコメントも、単なる“読み物”ではなく、改善と戦略につながる“示唆”として活用できるようサポートいたします。

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