―はじめてのBtoB顧客満足度調査|迷わないための5つのステップ シリーズ(第1回)―
はじめに
BtoB顧客満足度調査をはじめることになったとき、最初に考えたくなるのは、
「どんな質問をすればよいのか」
「何段階で評価してもらえばよいのか」
「Webと郵送のどちらで実施すればよいのか」
といった具体的な方法かもしれません。
しかし、その前に決めておきたいことがひとつあります。
「この調査結果を使って、何を判断したいのか」ということです。
顧客満足度調査は、満足度を測ること自体が目的ではありません。
顧客が自社の製品やサービス、営業対応、サポートなどをどのように評価しているのかを把握し、これから何を維持し、何を改善するのかを考えるための調査です。
はじめてのBtoB顧客満足度調査では、アンケートを作る前に、まずここから整理してみましょう。
なぜ「目的」から考える必要があるのか
調査の目的が曖昧なままアンケートを作ると、聞きたいことが次々と増えてしまいます。
営業部門からは「営業担当者について聞きたい」、商品部門からは「製品について聞きたい」、経営層からは「競合との違いも知りたい」と要望が出て、気がつけば質問数の多いアンケートになってしまうこともあります。
論点があちこちに飛んだアンケートは回答者の負担になるうえに、回答が集まっても、「いろいろな数字は出たが、結局どこを改善すればよいのかわからない」ということになりかねません。
調査目的が曖昧だと影響を受けるのは、質問項目だけではありません。誰に聞くのか、いつ聞くのか、どのように分析するのか、その結果を誰が使うのか――そのすべてが、目的次第で変わります。
「顧客満足度調査(CS調査)とは?|基礎から活用まで解説」でも、調査の目的設定は、質問内容、調査対象者、分析方法、報告書の作り方のすべてに影響すると整理しています。
だからこそ、最初に「アンケートで何を聞くか」ではなく、この調査結果を見て、私たちは何を決めたいのか?と考えることが重要です。
「現状を知りたい」から、もう一歩具体化する
調査目的としてよく挙げられるのが、「顧客満足度の現状を把握したい」というものです。
もちろん、現状把握も重要な目的です。ただし、それだけでは調査後の行動が決まりません。
たとえば、
- 自社の強みと弱みを把握し、今後の改善テーマを決めたい
- 顧客が継続して取引したいと思う要因を知りたい
- 営業対応やアフターサービスのどこを改善すべきか判断したい
- 顧客層によって評価にどのような違いがあるのか知りたい
- これまで取り組んできた改善施策の効果を確かめたい
というところまで具体化すると、調査で必要な情報が見えてきます。
たとえば「改善すべき領域を特定したい」のであれば、単に各項目の満足度を聞くだけでなく、どの項目が総合的な評価に強く関係しているのかを分析できる設計が必要になります。
一方、「離脱を防ぎたい」のであれば、不満の内容や継続意向、その背景にある理由などを詳しく確認する必要があります。
調査の目的によって、調査のタイプも変わる
顧客満足度調査には、大きく分けて「トランザクショナル調査」と「リレーショナル調査」という2つの考え方があります。
トランザクショナル調査は、技術サポートや納品など、特定の取引やサービス提供の直後に行う調査です。
顧客の記憶が新しいうちに具体的な評価を聞き、顧客接点の改善につなげることを目的とします。
一方、リレーショナル調査は、半年~年1回などの頻度で、製品・サービス、営業、アフターサービスなどを含めた顧客との関係全体について評価してもらう調査です。
BtoBでは取引の継続や拡大が重要になるため、リレーショナル調査を基盤とし、必要に応じて特定の顧客接点にトランザクショナル調査を組み合わせる方法もあります。
大切なのは、どちらが優れているかではありません。「今回の調査で何を判断したいのか」によって、適した調査の形が変わるということです。
トランザクショナル調査とリレーショナル調査については、以下のページで詳しく説明しています。
BtoBでは「会社として何を判断するか」を考える
BtoB顧客満足度調査では、もう一つ意識しておきたいことがあります。
それは、調査担当者だけで目的を決めないことです。
顧客から見れば、一つの企業との取引でも、その背景には営業、製造、物流、技術、カスタマーサポートなど、さまざまな部門が関わっています。
調査結果を実際の改善につなげるためには、
- 経営として何を知りたいのか
- 営業部門では何を判断したいのか
- 製品・サービス部門では何を改善したいのか
といったことを調査前に確認しておくことが大切です。
ただし、各部門の要望をすべてアンケートに詰め込むという意味ではありません。
さまざまな要望をリストアップしたうえで、「今回の調査で特に何を判断するのか」を絞ることが重要です。
目的が絞られていれば、必要な質問となくてもよい質問を判断しやすくなります。
調査を始める前に、この一文を書いてみる
ここまで考えると、「目的を整理する」ことが難しく感じられるかもしれません。
その場合は、次の一文を埋めてみてください。

たとえば、
「今回の顧客満足度調査では、顧客が当社を評価している点と改善を求めている点を把握し、来年度に優先して取り組む改善テーマを決める。」
あるいは、
「今回の顧客満足度調査では、営業・製品・アフターサービスに対する評価を把握し、顧客との関係強化に向けて優先すべき取り組みを決める。」
といった形です。
ここまで言葉にできれば、調査のスタート地点としては十分です。
まとめ――最初に決めるのは「質問」ではなく「目的」
はじめてBtoB顧客満足度調査を担当すると、どうしてもアンケートの質問項目から考えたくなります。
しかし、その前に整理したいのが、
- 何のために調査するのか
- その結果を使って何を判断するのか
です。
目的によって、トランザクショナル調査とリレーショナル調査のどちらが適しているかも変わりますし、誰に何を聞くべきかも変わってきます。
調査票を作る前に、「この調査結果を見て、何を決めたいのか?」を一度考えてみてください。
この一文が明確になることが、BtoB顧客満足度調査を「満足度を測るだけの調査」にしないための第一歩です。
次のSTEP
目的が決まったら、次に考えるのは「誰に聞くのか」です。
BtoBでは、顧客は「企業」ですが、実際にアンケートに回答するのは「人」です。
意思決定者、購買担当者、日常の窓口担当者、製品・サービスの利用者では、見ているものも評価するポイントも異なります。
STEP2では、「誰の声を聞くのか」をどう決めればよいのか、回答してもらうために何を工夫すべきかを整理します。
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