BtoBの顧客満足度調査では、「満足度はそんなに悪くない」「前回調査から大きな変化はない」にもかかわらず、
- 新規の獲得が伸び悩んでいる
- 顧客の離脱率が下がらない
といった問題が発生することがあります。
いったいなぜこのようなことになるのでしょうか。
その理由のひとつが、全体的な傾向しか見えていないことです。
BtoB企業の場合、BtoCに比べて顧客数が限られることも多く、どうしても全体スコア中心の見方になりがちです。
しかし実際には、製品・サービスの利用目的や重視ポイント、競合他社利用の有無など、顧客が置かれている状況は大きく異なります。
だからこそ重要になるのが、顧客データベースと組み合わせて、回答データに「幅」を加えるという考え方です。
「幅」を加えるとはどういうことか
ここでいう「幅」とは、調査データに自社で整理している顧客属性や取引実績などの顧客情報を掛け合わせることです。
たとえば、CS調査の回答データに対して、
[顧客属性から見る]
- 業種
- 規模
- 地域
[顧客との関係性から見る]
- 利用期間
- 契約形態
- 取引額
[回答者の立場・役割から見る]
- 意思決定者
- 実務担当者
- 現場利用者
などの情報を紐づけし、顧客を細分化して分析します。
この点は、記名調査で実施されることが多いBtoBのCS調査ならではのアドバンテージです。
なぜ全体を見るだけでは不十分なのか
調査結果を全体でみるだけだと、たとえば「当社の顧客満足度は全体として良好だった」で終わります。
一方、顧客データベースと組み合わせると、
- 新規顧客で不満が高い
- 大口顧客で離脱リスクが高い
- 特定業種で評価が低い
といったところまで見えてきます。
つまり、問題そのものではなく、「問題がどこで起きているのか」という構造が見えてきます。
契約規模の大きいBtoBでは、一部顧客層の変化が、会社全体の売上や顧客維持率に大きな影響を与えることがあります。
だからこそ、「誰が、どのように評価しているのか」を見る必要があります。
「幅」を加えることで見えてくるもの
業種別に見る
たとえば、「食品業界では高評価だが、化学業界では低評価」という違いが見えてくるかもしれません。
この場合、
- 業界特有のニーズに対応できていない
- 競合状況が異なる
- 求められるサポート内容が違う
といった可能性が考えられます。
利用期間別に見る
利用開始から1年未満の顧客で満足度が低い場合、
- 導入支援
- オンボーディング
- 初期フォロー
に課題がある可能性があります。
逆に、長期利用顧客の満足度が高いのであれば、「ある程度定着すると評価されやすい」という構造が見えてくるかもしれません。
取引規模別に見る
BtoBでは顧客ごとの売上インパクトが大きく異なります。
そのため、大口顧客と中小顧客を同じ重みで見るだけでは実態を見誤ることがあります。
たとえば、
- 小口顧客では高評価
- 大口顧客では不満が強い
という状況であれば、経営上のリスクは小さくありません。
回答者の役割別に見る
BtoBでは、意思決定者、実務担当者、現場利用者のそれぞれで評価が異なることも珍しくありません。
たとえば、
- 意思決定者は評価している
- 現場では使いにくさへの不満がある
というケースもあります。
このズレを把握できるかどうかは、改善施策を考えるうえで非常に重要です。
「幅」を加えることで、“構造”が見えてくる
顧客データベースと組み合わせることで、
- どの顧客層に課題があるのか
- どの条件で満足度が変化するのか
- どこに優先的に手を打つべきか
といった“構造”が見えてきます。
つまり、「全体を見る調査」から、「顧客ごとの違いを見る調査」へ。これが、CS調査に「幅」を加えるということです。
ただし、「幅」だけでは十分ではない
ただし、ここで注意が必要です。
顧客データベースを掛け合わせて分析すると、「どこで差があるのか」は見えてきます。
しかし、「なぜその差が生まれているのか」までは、数値だけではわかりません。
たとえば、「新規顧客で不満が高い」とか、「大口顧客で離脱リスクが高い」ということが見えても、その背景理由までは、クロス集計だけでは読み切れないことがあります。
そこで重要になるのが、自由回答によって顧客の具体的な声を理解することです。
次回は、自由回答を活用して、
- なぜその評価になったのか
- どのような場面で不満が生じているのか
- 顧客は競合と何を比較しているのか
といった、“数値だけでは見えない理由”をどう読み解くかについて、BtoBの実務視点から解説します。
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