顧客満足度調査の結果を見て、「全体的には満足度は高い」と判断していませんか。

しかし、その“全体”は、誰の声でしょうか。
実際に利用中の顧客だけなのか、それとも、使いはじめたばかりの新規顧客や、実はもう使っていない過去の顧客も含まれているのか。

顧客満足度は、「誰の声か」によって意味が大きく変わります。

本コラムでは、顧客満足度調査を「測る」だけで終わらせず、意思決定に活かすために欠かせない、顧客のとらえ方と調査設計の考え方を整理します。

「誰の声を見ているのか」を整理するだけで、調査結果の意味は大きく変わります。

顧客満足度は「平均」だけで見ると、意思決定を誤る

顧客満足度調査では、全体平均のスコアの高さに目が行きがちです。
しかし、平均値には大きな落とし穴があります。

たとえば、

ロイヤル顧客は非常に満足している。
しかし、新規顧客は不満を感じている。

このような状態でも、平均すると「問題なし」と見えてしまいます。

あるいは、

現在利用中の顧客は満足している。
しかし、途中でやめた顧客は強い不満を持っていた。

この場合、平均値には「離脱理由」が一切反映されません。

つまり、顧客満足度は、“全体”ではなく“誰の満足か”で見る必要があるということです。

顧客は「現在・過去・未来」で分けて考える

顧客を正しくとらえるためには、属性(業種・規模など)だけでなく、関係性の状態でも考えることが重要です。

関係性によって分類すると、顧客には大きく以下の3種類があります。

  1. 現在の顧客(既存顧客)
    → 継続・取引拡大の対象
  2. 過去の顧客(離脱顧客・休眠顧客)
    → 離脱理由の把握対象
  3. 未来の顧客(見込み顧客・潜在顧客・失注顧客)
    → 選定理由・競合比較の把握対象
関係性の状態によって顧客を分類する。既存顧客は、新規顧客、リピーター・固定客、ロイヤルカスタマー、そして、離脱予備軍に分類できる。さらに、かつての顧客である離脱顧客、見込み顧客とそのうち顧客化に失敗した失注顧客、そして、競合顧客を含む潜在顧客によって市場が構成されている。

それぞれのセグメントで、企業にとって「顧客の声」が持つ意味はまったく異なります。

それにもかかわらず同じ質問をしてしまうと、「本来知るべきことが聞けない」「分析しても意思決定につながらない」という状態に陥ります。

同じ「満足」でも、意味はまったく違う

たとえば、「満足している」という回答でも、

現在顧客の満足 → 継続の理由
離脱顧客の満足 → 実は別要因で離脱している可能性
見込み顧客の満足 → 比較の中でのイメージ評価

と、意味は大きく異なります。

逆に、

新規顧客の不満 → 初期体験の問題
ロイヤル顧客の不満 → 期待水準の高さ

といったように、同じ“不満”でも解釈は変わります。

顧客満足度は、「何点か」ではなく、「誰の何を意味しているか」を読み解くことで、より意味のあるデータになります。

実務では「1つの調査で顧客全体をとらえる」

ここまで読むと、「顧客ごとに調査を分ける必要があるのではないか」と思われるかもしれません。

しかし実務では必ずしもそうではありません。
むしろ有効なのは、「1つの調査の中で、顧客との関係性に応じて設問を出し分ける設計」です。

事例:部品メーカーにおける調査設計

ある部品メーカーの顧客満足度調査では、セールスフォースに登録されているユーザーを対象に調査を実施しました。

対象には、現在の顧客、過去に取引があった顧客(離脱顧客)、まだ取引に至っていない顧客(見込み顧客)をすべて含んでいます。そのため、「現在の取引状況」についての回答内容によって、設問を切り替えることとしました。

つまり、「顧客を分ける」のではなく、「調査の中で分岐させる」という設計です。

現在顧客 → 満足度・継続意向・評価項目
離脱顧客 → 離脱理由・他社評価
見込み顧客 → 選定理由・比較軸

この設計により、

  • 顧客全体を一貫した基準で把握できる
  • セグメント間の違いを直接比較できる
  • 新規獲得・離反防止・深耕のすべてに活用できる

という状態を実現しています。

BtoBでも、特に顧客数の多い企業では、このようなアプローチによって、顧客理解の抜け漏れを防ぎ、意思決定の精度を高めることができます。

「誰に聞くか」が決まらないと、「何を聞くか」は決まらない

顧客満足度調査では、「どんな質問をするか」に意識が向きがちです。

しかし実際には、誰に聞くかが決まっていなければ、何を聞くべきかも決まりません。

現在顧客に離脱理由を聞いても意味がない
見込み顧客に満足度を聞いても意味がない

このズレが、「分析しても使えない調査」を生む大きな原因です。

顧客満足度調査を「意思決定ツール」にするために

顧客満足度調査は、単なるアンケートではありません。
顧客理解を深め、次の行動を決めるための意思決定のためのツールです。

そのためには、「誰の声を見ているのか」「その声は、どの意思決定に使うのか」を明確にする必要があります。
“誰の満足か”を分けてはじめて、顧客満足度調査は「測るためのもの」から「決めるためのもの」に変わります。

🔷 顧客満足度調査を体系的に理解したい方へ

本コラムでは満足度調査における顧客のとらえ方について整理しましたが、調査の目的や進め方、活用方法まで含めて全体像を知りたい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。

顧客満足度調査
顧客満足度調査(CS調査)の完全ガイド|基礎から活用まで徹底解説
顧客満足度調査(CS調査)とは?|基礎から活用まで解説


🔷 実務で使える形まで整理したい方へ

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誰に、何を、どのように聞けばよいのか――「今の調査が、どこまで測れていて、どこからが決めきれていないのか」を整理するところからはじめます。
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