アンケートの回答形式
アンケートの回答形式は、大きく、
- 選択回答・・・あてはまる番号に〇をつける/あてはまる項目にチェックする
- 自由回答(数値)・・・実年齢、回数、期間(時間や日数など)を数字で答える
- 自由回答(言葉)・・・選択回答の理由や、意見・要望などを自分の言葉で答える
に分かれます。
そして、③自由回答(言葉)も、カテゴリー分類して数値を割り当てれば、①選択回答や②自由回答(数値)と同様に数値データとして集計・分析することが可能です。
数値データの尺度
ただし、数値データには以下の4つの尺度(種類)があり、分析できる範囲が異なります。
性別などの名義尺度は、例えば「男性〇〇%、女性△△%」といった集計は可能です。しかし、平均や相関、因子分析や重回帰分析など、さまざまな統計解析を行うためには、その数値が量的データ、すなわち間隔尺度か比例尺度でなければなりません。
段階評価は間隔尺度か?
ここで問題になるのが、例えば、
のような段階評価(リッカート尺度といいます)データは、はたして間隔尺度なのか?それとも順序尺度なのか?ということです。
この点については、厳密には順序尺度かもしれないが、場合によっては間隔尺度として分析に使用しても構わないかも、という曖昧な状況となっています。
とはいえ、間隔尺度として扱う場合、各段階の(心理的)距離は等間隔であるべき、ということに留意しなければなりません。
上記の例でいうと、「非常に満足」と「満足」の差は、「満足」と「ふつう」、「ふつう」と「不満」、「不満」と「非常に不満」それぞれの差と同じ(くらい)か、ということです。
5段階評価なら、真ん中が「ふつう」で、ポジティブ/ネガティブの両極に向かってシンメトリー(対称)な表現にしておけば“等間隔”だろうと判断するのは早計です。
また、日本人は5段階とか7段階など奇数段階の評価をする際に回答が真ん中に集まりやすいので、それを回避するために、例えば4段階評価にして「ふつう」「どちらともいえない」などのニュートラル回答をできないようにするケースも見受けられます。
人事考課など、ある程度の差をつけなければならない場合には、あえてニュートラル評価を外すのもよいでしょう。しかし、アンケートというのは正直な気持ちを自然に答えてもらうものです。「ふつう」「どちらともいえない」といった選択肢を外すのは対象者に回答負担を押し付けることになりかねません。さらに、選択肢の間の距離感という点の問題もあります。
距離感を均等化するコツ
「ふつう」「どちらともいえない」といったニュートラルな選択肢を残し、かつ回答結果が偏らず自然に分散するようになるためにはどうすればよいでしょうか。
アンケートの対象者によって、あるいは質問内容によっても適切な対応が異なりますので、できれば何回か調査を実施し、その回答分布も参考にしながら選択肢を検討・修正するのが理想です。
先ほどの選択肢の回答分布で、「非常に不満」の回答がほとんどなく、「ふつう」の回答割合が突出している場合、選択肢の間の(心理的)距離がかなり不均等であると考えられます。
この場合、ほとんど回答のない「非常に不満」を外し、その代わりに「ふつう」と「満足」の間に選択肢を追加することにより選択肢の間の距離感を均等に近づけることができるかもしれません。
文字上の意味ではなく、あくまで心理的な距離感が重要ですので、アンケートの対象者が抵抗なく答えた回答結果が自然に分散するのであれば、たとえ選択肢の表現上はアシンメトリー(非対称)になっても構わないのです。
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