今回は、アンケートデータの基本的な集計・分析方法から、グラフ作成のポイントについて紹介します。

単純集計

アンケート調査を実施する際、収集したデータの分析は欠かせません。その第一歩として、すべての設問に対する回答の分布を明確にする「単純集計」があります。単純集計では、回答者数やその割合を一目で把握することができます。

単純集計の例

ある食品メーカーが新商品(コンセプト)の購入意向を調査するために、15~69歳の男女、計600人にアンケートを実施しました。

Q. あなたは〇〇〇をどの程度購入したいと思いますか。(1つだけ)

購入したくないあまり 購入したくないどちらとも いえないやや 購入したい購入したい
12345

という設問について、単純集計の結果は以下の通りでした。

単純集計の表とグラフ

新商品を「購入したい/やや購入したい」と答えた人の割合は全体の半数近くだった、という結果がわかります。

単純集計を活用することで、アンケートの全体的な傾向を迅速に掴むことができます。さらに、回答者の背景情報(性別や年代など)に偏りがないかの確認も大切です。

クロス集計

単純集計だけでは十分な情報を引き出せません。たとえば、

  • 性別・年代別などの属性で購入意向が高いターゲット層は?
  • 購入意向が高い(低い)人の評価理由は何か?
  • 購入意向が高い人がよく参考にするメディア・情報源は何か?

など、多角的な分析が求められます。

こうした分析を実現するのが「クロス集計」です。具体的には、「性・年代別×購入意向」や「購入意向×評価理由」といった組み合わせでの集計を行います。

クロス集計の活用

たとえば、購入意向の質問の後に、

Q. 前問でそのようにお答えになったのはどのような理由からですか。(具体的にお答えください)

と質問して、対象者が記入したコメント内容を「〇〇〇〇だから」「◆◆◆◆だから」等とカテゴリー分類してデータ化すれば、以下のような形でクロス集計をすることも可能です。

自由回答のクロス集計

このような分析を通じて、「購入意向が高い(または低い)人の主な評価理由は?」といった疑問に答えることができます。

クロス集計は、新しい発見やより深い洞察を得ることができる、アンケート結果の多面的な分析・解釈に欠かせないツールです。

集計結果のグラフ化

アンケートの集計結果は、一見すると数字の羅列として捉えられがちです。しかし、これらの数字には、多くの情報や意味が隠されています。適切な方法でデータを整理し、グラフ化することで、数字の持つ意味や関連性を直感的に理解する手助けとなります。

ただし、グラフの作成や表示方法によっては、誤った解釈を招くこともあります。適切なグラフの選択とデザインは、データの真価を引き出す鍵となります。

伝えたい内容やデータの種類によってグラフを使い分ける

ここでは、アンケートの回答形式や比較項目・データ要素数の違いなどによるオーソドックスなグラフの種類の使い分けを紹介します。

主なグラフの種類

単一回答(SA)データのグラフ選択

性別・年代やスケール(段階)評価などSAデータの場合は足し上げると100%になりますので、100%積み上げ棒グラフ(縦・横)がよく使われます。

全体ベースのみの場合などは円グラフを使うこともあります。
しかし、データ要素が多いとそれぞれの(角度の)大きさの違いがわかりにくくなってしまいますので注意が必要です。円グラフを使うのは要素の数が5~6個程度までを目安にするとよいでしょう。

複数回答(MA)データのグラフ選択

MAデータは足し上げて100%になりませんので、100%積み上げ棒グラフは使えません。全体ベースのみの場合や比較項目が少ない場合は棒グラフを使うのが一般的です。

比較項目が多い場合は積み上げ棒グラフを使うこともありますが、要素数が多すぎると見にくくなります。見にくいなと感じるようであれば、区分線を入れたり、データラベルの数を減らしたり、といった工夫をして見やすいグラフにすることが必要です。

棒グラフと積み上げ棒グラフ

他に、折れ線グラフは時系列の変化を示すのに適していますが、棒グラフよりも細い特徴を活かして、より多くの項目、要素を1つのグラフに表示したいときにも活用できます。

散布図は数表を眺めているだけでは分かりにくい、2つの要素の関係(相関)を2軸マップに表します。

散布図と要素別折れ線グラフ

なお、3つ以上の要素の関係を可視化したい場合、散布図のプロットの大きさを変えるバブルチャートが使えます。

以上の基本を踏まえた上で、よりわかりやすく、インパクトがあると思えば、応用編として上記の組み合わせグラフやオリジナルチャートを作成することがあります。

バブルチャートとウォーターフォール

アンケートの結果を適切にグラフ化することで、データの背後に隠れた意味やトレンドを明確に捉えることができます。

【費用例】

整形する必要がなくそのまま利用できるデータを単純集計する場合は10,000円程度から、クロス集計は30,000円程度から対応可能です。

単純集計10,000円~
クロス集計30,000円~

データの仕様や集計難易度などに鑑み、最適なプランを提案させていただきます。

アンケートの結果をより深く、正確に理解し、最大限に活用したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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