複数のアンケートをうまく組み合わせて実施することで、新規集客から顧客維持、そして顧客のファン化といった、一連の顧客関係強化の方策を探ることができます。

あるプロスポーツチームが、ファンクラブ会員の新規獲得や既存会員との関係強化といった課題について、会員向けアンケートを行って取り組み事項の整理・絞り込みや対応策のヒントを得たいと考えているとします。

アンケートは、

  • 調査目的・・・何のために調査するのか
  • 対象者・・・誰に聞くのか
  • 調査方法・・・どうやって聞くのか
  • 調査項目・・・何を聞くのか

を明確にした上で適切に実施しないと成功しません。

「新規獲得」と「関係強化」といったように調査目的が複数あり、それぞれに適切な調査項目や対象者が異なる場合には、アンケートを複数に分けて実施すべきです。

まず、「新規獲得」に関して、チームやファンクラブの認知情報源、あるいは入会のきっかけなどを調査します。
すべての会員に対するアンケートでも質問することができますが、やはり新規会員に対象を絞ったアンケート(新規会員向けアンケート)を実施して鮮度の高いデータを得るのが最も効果的です。

一方、「関係強化」については満足度の高さや継続意向の強さなどを見る必要があります。これらは会員であることの経験価値の評価になりますので、たとえば入会後6カ月以上を経過した既存会員を対象とするなど、会員経験の浅い新規会員を除いた調査とすることが望ましいでしょう。会員の中でも特にファン歴が長い人や熱狂的なファンの意見が有益な情報になりそうです。

そしてここは重要なポイントですが、「新規獲得」について会員だけを対象にしたデータには限界があります。
なぜならば、会員になった人からだけの情報では、会員になっていない人の入会ハードルを見つけることが困難だからです。
また、ホームグラウンドを中心にしたターゲットエリアの一般市民における認知度、好意度や加入意向がわからなければ、潜在的な顧客ボリュームの推定ができませんし、取り組み事項の絞り込みもできません。

認知~入会~口コミ発信といった一連の顧客行動をカバーするためには、会員アンケートに加えて一般向けアンケートも実施し、それぞれのアンケート結果を連結して分析することが有効です。

各アンケートの独自質問とは別に、たとえばライフスタイルやブランドイメージ(一般向けは認知者のみ)といった共通の質問項目がある場合、それぞれの集計結果を比較するだけでも潜在顧客や見込み顧客のターゲット像が浮き彫りになり、ファン度を高めていく道筋が見えてきます。

認知~入会~口コミ発信といった一連の顧客行動をカバーするためには、会員アンケートに加えて一般向けアンケートも実施し、それぞれのアンケート結果を連結して分析することが有効

さらに、調査結果から、カスタマージャーニーのどの段階にボトルネックがあるのかがわかれば、

たとえば、

  • 認知度を高めたい ⇒ 非認知者の情報源での露出を増やす
  • 好意度を高めたい ⇒ 好意度が高い人の持っているイメージを一般に訴求
  • 観戦回数を増やしてほしい ⇒ チームへの意見・要望を参考に改善

といった対策を検討することができます。

カスタマージャーニーのどの段階にボトルネックがあるのかがわかれば、たとえば、「認知度を高めたい ⇒ 非認知者の情報源での露出を増やす」「
好意度を高めたい ⇒ 好意度が高い人の持っているイメージを一般に訴求」「観戦回数を増やしてほしい ⇒ チームへの意見・要望を参考に改善」
といった対策を検討することができます。

新規会員向けアンケート、会員向けアンケート、一般向けアンケート、それぞれのアンケートの詳細については、後日、別のコラムで詳しくご紹介したいと思います。

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