従業員のモチベーション向上には、顧客の感動コメントが鍵

貴社の日常業務では、顧客からどのようなフィードバックが寄せられていますか?
多くの場合、満足している顧客は静かですが、不満を持つ顧客は声を大にしてその意見を表明します。問題やトラブルが発生した際のクレームは、改善のための重要な指標となりますが、従業員のモチベーションには必ずしもプラスに働かないこともあります。

特に、カスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれる不当な要求や暴言は、従業員に大きなストレスを与え、サービス業界全体においても深刻な問題となっています。UAゼンセンが行った2020年の調査によると、サービス業に従事する人々の約60%が過去2年間にカスハラの被害を経験し、半数近くが、迷惑行為が増加していると感じています。

「あなたは、直近2年以内で迷惑行為の被害にあったことがありますか」との問に対して、56.7%が「あった」と回答。
 「直近2年以内では、迷惑行為は増えていると感じますか」との問に対して、46.5%が「増えている」と回答。

出典:UAゼンセン「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果(2020年)」

これらの統計は、従業員が直面する現実を浮き彫りにします。カスハラによる精神的なダメージは計り知れず、顧客対応の質にも影響を及ぼす可能性があります。

しかし、顧客からの肯定的なフィードバック、特に「素晴らしい対応だった」という感動コメントは、従業員のモチベーションを大きく向上させることができます。残念ながら、多くの顧客は自発的にこのようなポジティブな感想を伝えてくれません。

ここで重要なのが、顧客満足度(CS)調査の実施です。アンケートを通じて顧客の自由な意見を聞き出すことで、感動コメントを効果的に集めることが可能になります。アンケートによって得られるコメントは、一時的な感情ではなく、顧客の真の感想を反映しています。

質の高いフィードバックを得るためには、「ご自由にご意見をお聞かせください」といったオープンな質問よりも、以下のような具体的な質問を用いることが効果的です。

問 ○○○(商品・サービス名など)について、「ここが気に入っている」「さらにここをよくしてほしい」などございましたら、具体的に教えてください。

対人コミュニケーションの価値とその評価の重要性

顧客からの感動コメントや怒りの声は、大半が従業員の接客や対応に関連しています。しかし、デジタル化の進展により、セルフサービスの導入やAIの活用が進んでおり、顧客と従業員の直接的なコミュニケーションの機会は減少しています。

顧客にとって、これらの変化は待ち時間の短縮やコスト削減などのメリットをもたらします。しかし、サービスの無人化や自動化が進むにつれて、顧客満足度をさらに高めることは難しくなっています。

一方で、従業員による対面サービスは、顧客の満足度に大きな影響を与える要素です。不適切な対応は顧客の不満を招く可能性がありますが、優れた対応は顧客の感動を生み出し、満足度を大きく向上させることができます。

人による顧客対応には個人差があり、それゆえに満足度の幅も限りがないが、AI・ロボットなどによる画一的な対応では、得られる満足にも限りがあると思われる。

人間によるサービスには個性があり、そのため満足度の幅も広がります。一方で、AIやロボットによる均一的なサービスでは、得られる満足度には限界があります。

今後も、顧客との直接的な接点は完全には消えないでしょう。そのため、接客業務に従事する従業員や営業員、コールセンターのオペレーターなど、顧客と直接関わる従業員の対応は、全体の顧客満足度を高める上でますます重要になってきます。

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