先日実施されたセンター試験では、日本史Aの問題に、子供に人気のアニメ「妖怪ウォッチ」のキャラクターが登場したことがちょっとした話題になりましたが、今年のセンター試験には575,967人の出願がありました。

センター試験は、「偏差値偏重による受験競争の過熱」や「大学の序列化」を助長しているとの批判があった「共通第1次学力試験」(「共通一次」、1979年から実施されていた) を衣替えして、1990年から実施されています。

1990年代からはじまる大学設置基準の弾力化、規制緩和の流れの中で、1990年に507校だった大学数は2012年には783校へと大幅(1.5倍)に増加するのですが、それに歩調を合わせるように、大学進学率、とりわけ現役進学率が上昇しています。

1990年に30.6%であった高校等卒業者における「大学・短期大学等への現役進学率」は、2016には過去最高の54.8%と1.8倍になっています。今年3月の高校等卒業見込者のうち、センター試験に出願した者の占める比率を表す現役志願率も過去最高の43.9%となっていますので、今年も過去最高の現役進学率を更新しそうな勢いです。

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出典:「学校基本調査」(文部科学省)、大学入試センターデータ等
学校数は、国・公・私立の合計数。本校・分校の合計数。

次に大学入学に必要な費用をみてみると、センター試験が始まった1990年の国立大学の授業料+入学金は545,600円でしたが、2015年は817,800円と1.5倍に増えています。私立大学でも同様に、1990年の882,089円から2014年は1,125,473円へと1.3倍に増えています。

右肩あがりの大学進学率


出典:「国公私立大学の授業料等の推移」(文部科学省データ)

そうした状況にあって、2005年以降、国立大学の授業料は535,800円に据え置かれたままですが、長期のトレンドでみた場合、「物価の優等生」と言われる鶏卵に比べると、大学の授業料は右肩上がりで増えてきていることがよくわかります。

右肩あがりの大学進学率


出典:「消費者物価指数―時系列データ」(総務省統計局)

文部科学省の試算では、子供二人が私立大学に通っている勤労者世帯では、平均可処分所得の2分の1近くを教育費が占めるとされています。さらに地方から上京する場合には、仕送り分が加わり、教育費負担が家計にいっそう重くのしかかることとなります。

理想の子ども数を持たない理由として最も多いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことという調査結果も報告されています。
教育費負担の軽減は、教育格差の是正のみならず、少子化対策にもつながる重要な課題でもあるわけですね。

さて、今回は、進学率や教育費の推移などの統計データをご紹介しましたが、次回は、教育費負担について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

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