顧客満足度調査を成功させるために最も重要なタスクの一つ、それが調査票の設計です。
正しく設計された調査票が、顧客の本音を引き出し、成功への道を開きます。適切な指標を選び、答えやすく効果的な設問を構成することで、精度の高い情報を収集でき、的確な改善策を導き出すことが可能になります。
ビジネスの特性に合った顧客満足度指標を選ぶ
顧客満足度調査の成功は、適切な指標を選定することにかかっています。
顧客満足度を測定するための主要な指標には、「ネットプロモータースコア (NPS)」「顧客満足度指数 (CSI)」「総合満足度」などがあります。それぞれの特徴やメリット、デメリットを理解し、自社のビジネス目標や業界に合わせて活用することが重要です。
代表的な指標の特徴
NPS(ネットプロモータースコア)
顧客が自社の商品やサービスを他人に推奨する意欲を測る指標で、シンプルなため多くの企業で採用されています。しかし、日本では10点満点の評価がつきにくいため、スコアが低くなる傾向があります。
CSI(顧客満足度指数)
複数の評価項目を総合して算出されるインデックスで、誤差が少なく、安定した結果が得られます。ただし、スコア単体での解釈が難しく、他社との比較が重要です。
総合満足度
顧客がどの程度満足しているかを5段階評価で示す指標で、満足している顧客の割合を簡単に把握できます。ただし、満足度が高くてもロイヤルティの向上につながらない場合があるため、注意が必要です。
以下の表に、代表的な指標についてメリットとデメリットをまとめています。
複数の指標を組み合わせて調査を効果的に
一つの指標に依存するのではなく、複数の指標を組み合わせて活用することで、顧客の満足度をより深く理解することができます。
たとえば、口コミが重要な業界ではNPSが有効ですが、それだけでは不十分です。顧客がどのくらい再購入する意欲があるかを測る「継続利用意向」も併用することで、顧客ロイヤルティの強さをより高い精度で測定することができます。
しかし、推奨意向や継続利用意向には限界もあります。
推奨意向が低くても、その理由が「人にすすめる習慣がない」「すすめる相手がいない」といった商品とは無関係な場合もあります。また、継続利用意向が高い場合でも、「手続きが面倒だから」という理由で消極的に選択されているケースもあります。そのため、複数の指標を使うことが重要です。
一般的に、BtoCビジネスの場合は、NPS方式の推奨意向、総合満足度に加えて、継続利用意向の3つを聞くのがおすすめです。
効果的な調査票の設計方法
調査票設計は、顧客満足度調査の成否を決める非常に重要なステップです。
以下の4つのセクションに分けて、全体的な評価と詳細な評価のバランスを保つことが効果的です。
1. 全体評価セクション
ここでは、顧客が自社の商品やサービス全体に対してどの程度満足しているかを測定します。
この評価は企業のパフォーマンスを示す重要な指標ですが、具体的な改善点を特定するためには次の個別評価セクションが必要です。
2. 個別評価セクション
このセクションでは、商品やサービスの具体的な要素に対する評価を収集します。
たとえば、「カスタマーサポート」であれば、「電話のつながりやすさ」「説明のわかりやすさ」「応対の親身さ」などについて評価してもらいます。
この詳細なデータが、改善策を策定するための貴重な情報となります。
3. 利用実態セクション
顧客が実際にどのように商品やサービスを利用しているのかを把握するためのセクションです。
利用回数、購入のきっかけ、使用頻度など、行動に関する情報を収集することで、顧客のニーズをより深く理解できます。
商品・サービスの購入・利用状況に関する情報の例
- 利用回数や料金などの具体的な利用実態
- 情報源
- 購入のきっかけや選択理由
- 意思決定者など購入時の意思決定状況
4. 対象者の特性セクション
性別、年齢、居住地域など、顧客の基本的な属性を取得するセクションです。これにより、顧客層ごとの満足度の違いを分析し、マーケティング戦略の精度を高めることができます。
特に多様なニーズを抱える消費者が顧客であるBtoCの顧客満足度調査では、利用実態セクションや対象者の特性セクションを上手に活用して、性別や年齢、居住地域などの属性情報に加えて、消費者行動や購買動機などについても理解することが重要です。
調査票設計の注意点
調査票はシンプルでわかりやすい構成が望ましいのですが、同時に回答者が飽きないようにバランスを取ることも重要です。たとえば、長すぎる設問や難解な用語を避け、回答者が自然に回答できるような設問を心がけましょう。
また、文化的な要素も考慮する必要があります。日本では「最高」や「最低」の評価を避ける傾向があるため、選択肢の設計を工夫することで、正確なデータを得ることができます。
顧客満足度調査の効果的な実施方法については、以下のページで詳しく説明しています。
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