マーケティングのベースとなる顧客理解
ある企業からの相談です。
主力商品の売り上げが下がってきている。
売り上げデータを見て「下がっている」とは感じるものの、どうしてなのか、何を改善すべきなのかがわからない。
市場のニーズが下がっているのか、自社の商品やプロモーションの問題なのかといった部分も社内では分析ができないため、外部の力を借りたい。
マーケティングにおいては、顧客の属性やニーズの理解が重要です。
「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「何から知って」「何のために」「いくつ」「いくら」で購入したのか?
自社商品購入者の特徴を理解できれば、様々な切り口でマーケティング戦略を立てて取り組むことができます。
- 自社商品の売上が落ちた要因を把握し、効果的な対策を講じる。
- 自社商品を買っているのはどのような人か?逆にどのような人にはヒットしていないか?自社の認識とのズレを確認する。
- 発売時に設定したターゲットが間違っていないか検証し、必要に応じて速やかに対策を講じる。
- 購買行動の変化をウォッチし、早めに危険信号を察知して、手遅れになる前に対応する。
顧客理解のための情報収集方法
顧客理解のための情報収集方法の代表的なものは以下のとおりです。
方法 | 注意点 |
---|---|
店頭 | お客様の顔が見える実店舗でも、店頭での接客だけでは購買の動機や利用状況は十分にはわからない。 |
Webのログ情報 | アクセスデータで行動履歴を集めても、行動の理由まではわからない。 |
SNS | SNSの利用率は高いものの、実際にSNSで発信する人の割合は1割程度に過ぎず、一部の人の意見に引きずられる恐れがある。 |
コールセンター | 問題を抱えていたり、クレームを伝えたい人からの連絡が多かったりで、ネガティブな情報に引きずられる恐れがある。 |
アンケート | 購買の動機や利用状況までカバーすることができるが、やり方を間違うと、費用をかけて実施しても成果につながらない場合がある。 |
常にお客様のことを気に掛ける意識が定着する点で、店頭での観察力を高めておくことはとても重要です。しかし、お客様の顔が見える実店舗でも、店頭での接客だけでは、購買の動機や利用状況は十分にはわかりません。
また、Twitterの書き込みやネット上のレビューサイトの口コミなどのオンラインデータを活用して顧客理解を深めていくことも有効です。しかし、SNSで情報発信しているのは一部の人に過ぎない点に注意が必要です。
オンライン上のビッグデータ分析に比べると、アンケートには古臭いイメージがありますが、気持ちや理由まで踏み込んだ顧客理解には欠かせない方法です。しかし、誰がやってもうまくいくというものではなく、成果を出すためにおさえておくポイントがあります。
購入者アンケートの効果的な実施方法
アンケートを効果的に実施すると、顧客属性に加えて、購買動機や利用状況など売上だけではわからない顧客や商品に関する情報を把握することができます。
購入者アンケートでは、購入・利用実態に関すること、商品の利用満足度に関すること、そして性別・年代などの購入者の属性に関することについて質問します。
購入・利用実態パート | 購入回数、購入チャネル 購入理由 購入のきっかけや情報源 商品の利用に関する意識や利用実態 |
満足度パート | 総合満足度と満足度評価理由(自由回答) 要素別満足度 |
属性パート | 性別、年代、未既婚、職業、居住地 |
購入者アンケートを実施する意味として、
- 顧客の属性を知る
- 新規/リピーター割合を知る
- 購入理由を知る
- 関与度から今後の売上見込みをたてる
- お客様の声(自由回答)を活用する
について、順に説明します。
顧客の属性を知る
購入者属性の把握はアンケートの基本テーマです。
購入者が誰かを知らなければ、その人たちを喜ばす商品は作れません。
購入者アンケートをすると「購入者のうち、新規購入者が2割でリピーターが8割」などの属性がわかります。また、事前に設定していたターゲットと実際の購入者のズレを検証することができるなど、アンケートから明らかになる購入者属性はマーケティング用の価値が高い情報になります。
新規/リピーター割合を知る
購入者アンケートで新規購入者とリピーターの割合が明らかになります。
そして、売上実績とアンケートで収集した新規/リピーターの推移から、売上の変化要因を絞り込むことができます。
パターン②のような推移だと、リピート率は好調でも新規の取り込みが弱まっているかもしれません。
逆にパターン③の場合には、どんなに新規を獲得してもリピートにつながっていませんので、新規獲得コストがかさんでいる分、利益率がさらに下がっていきます。
新規とリピートのどこに問題がありそうなのかがわかれば、広告なのか、商品の品質なのか、あるいはサポートなのか、詳細な評価情報からある程度原因を絞り込んでいくことができます。
購入理由を知る
購入理由からは、自社の思い込みではなく顧客が認めている商品の強みを知ることができます。
新規購入者、リピーターともに重視している要素があれば、「これがなかったら○○の商品とはいえない」というくらい、自社商品の本質的な魅力要素と考えられます。
しかし、多くの場合、新規集客の要因=満足やリピートの要因にはなりません。
新規購入者よりもリピーターで強く出ているところがあれば、おそらくそこがリピートのスイッチを入れる要素でしょう。
関与度から今後の売上見込みをたてる
購入者のうち、商品カテゴリーに対する関与度(感度)のレベルに応じて、関与度「高」「中」「低」の3つの区分に分類して、それぞれの割合から商品の将来的な売上の見込みをたてることができます。
たとえば、購入者のうち関与度「高」の割合が最も高いようであれば、これから他の層にも浸透していくことが期待できそうです。
一方、大部分が関与度「低」であったとしたら、ブランドのリニューアルを検討すべき時期かもしれません。
お客様の声(自由回答)を活用する
自由回答質問では、商品の魅力を高める具体的な改善策や、スタッフのモチベーションを高めるお客様の感動コメントを引き出せる聞き方をします。
集められたお客様の声は、類似したコメントを同一カテゴリーに分類してコード化(アフターコーディング)することにより、定量データとして集計や分析を行うことが可能となります。
それにより、個々のコメントを読み込むだけではつかみづらかった属性別の違いなどが見えてきます。
集計・分析方針
毎月、3か月ごとなどデータの期間を定めて集計し、推移をトラッキングすることができます。
また、目的に応じて任意の期間に区切って集計することも可能です。
たとえば、広告や販促キャンペーンの効果検証では、施策の実施前(プレ)と施策実施後(ポスト)の変化を見るのが基本です。
キャンペーンの前後でデータを区切って集計することで、キャンペーンの実施によってどういった変化があったのかを確認することができます。
案内方法と謝礼
QRコードを掲載したシールを商品パッケージに貼付したり、はがきサイズのカードを商品に同梱したりして案内します。
購入者には、QRコードからアンケートサイトにアクセスして回答し、アンケートの最後でメールアドレスを入力してもらいます。
抽選で電子ギフトを提供(メールで配信)すると協力率が高くなります。
※年齢が高いお客様が多い場合には、郵送回答とWeb回答を併用する方式がおすすめです。
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