コロナ禍と文化芸術鑑賞

文化庁が実施した「文化に関する世論調査」によると、「コロナ前」と比べた場合に1年間における文化芸術イベントを直接鑑賞する頻度が「減少した」人の割合が、2020年は76.9%、2021年は51.7%でした。
2022年は、2021年と比べた場合の変化について聞いているのですが、1年間において文化芸術イベントを直接鑑賞する頻度が「減少した」人が27.6%で、「増加した」人は15.4%と、依然として「減少」が「増加」を上回っています。

文化庁が実施した「令和4年度 文化に関する世論調査」によると、2021年と比べた場合、2022年の1年間において文化芸術イベントを直接鑑賞する頻度が「減少した」人が27.6%で、「増加した」人は15.4%。

新型コロナウイルスの影響で、私たちの生活様式や価値観は大きく変わりました。公演やイベントの世界も例外ではなく、来場者数の増加とともに、その質を向上させるための新たな挑戦が求められています。

満足度の高い公演やイベントはリピーターを増やし、良好な口コミを生み出します。一方、不満点や改善点を放置すると、ネガティブな評価が拡散するリスクが増大します。

アンケートは、来場者の声を直接収集する最も効果的な手段ですが、デジタル技術の進化により、リアルタイムでのフィードバック収集が可能となりました。
以下、デジタル技術を活用した新しいアンケート手法の効果や実施方法を中心に、公演・イベントの質を向上させるための具体的なアプローチを紹介します。

デジタル化による来場者アンケートの進化

① 紙ベースからデジタルへのシフト

従来の紙ベースのアンケートに加え、Webを活用することで、回答の敷居を低くし、多様な来場者の声を効果的に収集することが可能になりました。
特に、Web回答は、時間や場所を選ばずに気軽に回答できるため、多くの人々の意見や感想を集めることができます。

② リアルタイムでのフィードバック収集

デジタルアンケートの最大の利点は、回答結果をリアルタイムで閲覧できることです。特に自由回答のコメントは、回答者の属性情報と合わせて、その場の生の声を即座にキャッチすることができます。
これにより、公演やイベントの進行中でも、来場者の要望や不満点を迅速に把握し、改善につなげることが可能となります。

③ アンケート結果の集約と共有

専用のアンケート結果サイトを設けることで、各公演・イベントのフィードバックを一元的に管理し、関係者全員でのアクセスと共有が容易になります。結果の確認や分析がスムーズに行えるため、より迅速な対応や施策の策定が可能となります。

デジタルアンケートの導入がもたらす公演・イベントの新たな可能性

① 紙ベースの限界とデジタルの可能性

公演やイベントのアンケートは紙ベースでの実施が主流でした。しかし、会場の混雑や時間制約などの理由で、来場者がアンケートに協力するのは難しい場面も少なくありません。一方、デジタルアンケートは、来場者が自身のスマートフォンを使用して、場所や時間を選ばずに回答できる利点があります。

② QRコード活用によるアクセスの容易さ

アンケート用紙にQRコードを掲載することで、来場者は簡単にWebアンケートページにアクセスできます。これにより、紙ベースのアンケートに協力しづらかった来場者でも、気軽にフィードバックを提供することが可能となります。実際、当社の調査によれば、紙とWebの併用アンケートでは、Web回答が紙の回答数を上回るケースが増えています。

③ Web回答者への特典提供

Webアンケートの回答者に対して、特典を提供することで、更なる回答の促進が期待できます。例えば、次回公演の割引クーポンやオリジナルのデジタルコンテンツなど、Web限定のプレゼントを用意することで、来場者の関心と協力を引き出すことができます。

デジタル時代のシニア層 :Webアンケートの拡大

近年、当社が実施するアンケートにおいて、50代以下の回答者の7~8割がWebでの回答を選択しています。この傾向は、デジタル技術への慣れやスマートフォンの普及によるものと考えられます。

さらに60歳以上のシニア層でも、Web回答の比率が急速に増加しています。一例として、クラシック公演を中心とした音楽ホールではシニア層が主な来場者であり、以前は紙ベースのアンケートが主流でしたが、ここ1~2年はWeb回答の割合が紙を上回る現象が見られるようになっています。

スマートフォンの利用が一般的となり、シニア層でもスマホの操作に慣れている人が増えてきています。こうした背景から、今後もシニア層におけるWebアンケートの回答比率はさらに上昇するものと思われます。

自由回答コメント:来場者の生の声の活用

Webアンケートの最大の利点は、リアルタイムでの回答収集と確認が可能であることです。特に、公演やイベントの感想を伝える自由回答コメントは、主催者側が気づかない評価ポイントや改善点を具体的に知る手がかりとなります。

自由回答は、来場者が自分の言葉で感じたことを直接伝えることができる貴重なフィードバック手段です。選択肢からの回答だけでは得られない、深い洞察や具体的な意見が得られるのが特徴です。

長期間にわたる公演やイベントでは、リアルタイムでの自由回答コメントの収集は、期間中の迅速な改善や対応につながります。さらに、これらのコメントを「お客様の声」として公式な広報物やSNSで共有することで、口コミ効果を最大化することも可能です。

迅速なフィードバックの公開と広報活用のポイント

データの迅速な統合と公開

Webアンケートの回答だけでなく、紙の回答もリアルタイムでデータ入力を行い、公演・イベント終了直後には、紙とWebの結果を統合した自由回答録をアンケート結果サイトに公開するようにします。

自由回答録速報アップロード画面の例

広報活用の際の許諾取得

自由回答コメントを広報物などに活用する際は、アンケート上で来場者からの許諾を確実に取得することが重要です。以下は、広報ツール等への意見掲載の許諾を求める部分のイメージです。

広報ツール等への意見掲載許可を求めるパートの例

アンケート結果の一元管理と共有

効率的な結果共有

来場者アンケートの結果、特に自由回答録や満足度などの主要なデータは、過去の実施分も含めてパスワードで保護された専用のサイトで一元管理するのが効果的です。
これにより、関係者はいつでも調査結果にアクセスできますので、結果を都度関係者に展開する手間が省け、データの検索も容易になります。さらに、一元管理によりデータの紛失や流出のリスクも低減します。

[専用サイトのイメージ]

アンケート結果サイトの入口ページ。会場別表示:複数の会場が存在する場合、会場名や写真をクリックすると、その会場での公演・イベント結果が一覧表示される。
アンケート結果サイトの入口ページ。公演・イベント別表示:公演やイベントの名前、またはパンフレットの画像をクリックすると、その公演・イベントの詳細な調査結果が閲覧できる。

関係者間の連携を強化

情報の共有がスムーズになることで、関係者間のコミュニケーションが活発化すれば、課題の発見や解決策の議論が進み、公演やイベントの質を向上させることが期待できます。

公演・イベント成功のカギを握る来場者満足度

公演やイベントの成功を左右するのは、最終的には来場者の満足度です。
来場者の声を最大限に活用するために、来場者アンケートを是非ご活用ください。

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