今年もそうですが、近年の日本では5月に真夏日(最高気温が30℃以上)を記録する地点も多く、一昔前に比べると夏の到来が1か月以上早くなった気がします。
過去100年以上にわたる東京の気温変化をみても、ブレはあるものの長期的にどんどん暑くなってきていることがわかります。月別にみても、各月とも平均気温が上がってきていますが、特に3月や9月以降で50年前と比べると “早く暑くなり、なかなか寒くならない”傾向になってきていることは明らかです。
気候変動は、衣食住をはじめとする人間のライフスタイルに大きな影響を及ぼしますが、特に敏感なのは「食」でしょう。猛暑が続くと食欲が減退します。夏バテ防止のためにはスタミナ・こってり系の食事を摂ることも必要と思いつつ、やっぱり暑い日にはそうめんや冷やし中華など、さっぱりした冷たい麺類を食べたいという人も多いことでしょう。
では、例えば冷やし中華について、気温がどれくらいになったら多くの人が食べたいと思うようになるのでしょうか。
気象庁で、スーパー・コンビニの品目別販売データをさまざまな気象データと絡めた分析を行っています。その中で、東京の平均気温とスーパーにおける冷やし中華の販売数の関係を表したのが下図になります。
出典:気象庁「スーパーマーケット及びコンビニエンスストア分野における気候リスク評価に関する調査報告書」
「昇温期」「降温期」とは
昇温期:気温が上がっていく期間(2~8月)
降温期:気温が下がっていく期間(8~1月)
のことです。
この図からは、暖かくなって平均気温が15℃に近づくと冷やし中華が売れ始め、暑さがピークを過ぎ涼しくなって25℃を下回るとあまり売れなくなる、ということが読み取れます。
つまり、同じ気温でも昇温期と降温期ではかなり販売数に違いがあるのが特徴で、同じ20℃でも、どんどん暑くなってくる5~6月だと冷やし中華を購入する人も増えてくるのに対し、10月ではほとんど売れないというわけです。
冷やし中華と同じように、暑くなる(寒くなる)と売れる食べ物、飲み物といえば以下のような例がすぐに思い浮かぶでしょうが、家電やアパレルをはじめ「食」以外にも気候の影響が大きい商品はたくさんあります。
昇温期に(暑くなってくると)売れる | 冷やし中華、そうめん、アイスクリーム、かき氷、ビールなど |
降温期に(寒くなってくると)売れる | おでん、鍋、肉まん・あんまん、焼き芋、熱燗など |
気温などの気象データを販売戦略に活用することをウェザー・マーチャンダイジング(MD)といいます。
冷やし中華の例では、予想最高気温などの気象予報を参考にしながら、発売開始時期や仕入れ計画を立てることは、販売促進に結び付くだけでなく、売り切れの回避により顧客満足度を向上させたり、逆に売れ残りによる食品ロスを減らすことにもつながります。
気象情報のようにビジネスに役立つ公開データはいろいろありますが、お客様理解を深めるためには自分達でピンポイントに調査を実施して独自にデータを収集する必要がある場合もあるでしょう。
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