医療従事者や高齢者等を優先して、新型コロナワクチンの接種がまもなく始まりそうですね。
一般の人への接種については、今のところは開始時期未定のようですが、あなたはワクチンを接種したいですか?

実は、ワクチンの接種意向についてのアンケートはあちこちで結構実施されています。
公表されている結果をみると、だいたい以下のような感じです。

すぐに接種したい・・・10%くらい
様子を見てそのうち接種したい・・・50~60%くらい
(あまり)接種したくない・・・30%くらい
わからない・・・10%くらい ※「わからない」選択肢がない調査もあります。

鋭い方はお気づきだと思いますが、この選択肢は接種時期と接種意向が組み合わされたダブルバーレルになっています。「様子を見て、少しでも安全性に不安がありそうなら接種しない」人や「接種したくないけど、みんなが接種するようだったら接種しないわけにはいかないと思う」人は、回答に悩むかもしれません。

ワクチンを接種すると思う人は52%

そこで、ワクチン接種についての簡単なアンケートを実施しました。

まず、接種意向について以下の質問に回答してもらいました。

  • 日本政府は、16歳以上の人に全額公費負担で新型コロナワクチンを接種する方向で検討しています。ワクチン接種がはじまった場合、あなたはワクチンを接種しますか。(1つだけ)

その結果、ワクチン接種がはじまった場合、「接種する」が15%、「たぶん接種する」が37%で、「たぶん」を含めると「ワクチンを接種する」と思う人の割合は52%です。

ちなみにNHKが2021年1月に行った世論調査(n=1,278人)では、「接種したい」が50%とのことですので、わずか100人ちょっとの調査でもほぼ同じレベルの結果になりました。

新型コロナワクチン接種意向。「接種する」が15%、「たぶん接種する」が37%で、「たぶん」を含めると、52%の人がワクチンを接種すると思っている。

「まっさきに接種したい」は4%、大多数は周りの人の様子をみてから

続いて、接種時期についての質問です。

  • 日本で、新型コロナワクチンの接種がはじまる場合、あなたはどのタイミングで接種したいと思いますか。(1つだけ) ※接種したくない方は、仮に接種しなければならないとしたら、どのタイミングがよいかお考えください。

接種時期に先ほどの接種意向を掛け合わせてみるとこんな感じになりました。

新型コロナワクチン接種意向別にみる接種希望タイミング。「まっさきに接種したい」人は4%。

ワクチンを「接種する」と回答した人は15%でしたが、そのうちの3分の2は周囲の様子を見てから接種する人で、「まっさきに接種したい」非常に強い接種意向を持っている人は4%でした。

「周囲の人が接種しはじめたら」あるいは「ほとんどの人が接種し終えたくらいのタイミング」で接種したいと思っている人がマジョリティで、その割合は2つ合わせて7割を超えています。

これらの人のうちの約半分は、接種意向の質問では「どちらともいえない」または「(たぶん)接種しない」と回答しています。

しかし、以下のようなコメントを眺めると、世の中の雰囲気次第でワクチン接種意向がグーンと上がりそうな感じもします。

“公費負担で接種できるのはありがたいが副作用があると思う。日本人の半数が受けたら受けると思う。” (50代男性)
“個人的には副作用が心配なのと単純に注射が苦手なため、接種したくないけれど、会社の意向で接種せざるを得ない可能性があるため。” (20代女性)
“高齢者ではなく基礎疾患もないため、接種するにしても最後の方になるのだろうと思っており、社会的な状況を見ながら接種を検討しようと考えている。” (30代女性)

ところで「マジョリティ」と聞くと、ロジャースのイノベーター論を連想しませんか?
接種時期についての4.2%、13.4%・・・という数字をみて、ん?と思いました。
接種時期の分布をイノベーター論と比較してみるとこんな感じです。

ワクチン接種時期イノベーター論
まっさきに
接種したい
4.2%2.5%イノベーター
(革新者)
最初に接種した人の様子を見てから
接種したい
13.4%13.5%アーリー・アダプター
(初期採用者)
周囲の人が接種しはじめたら
接種したい
41.2%34.0%アーリー・マジョリティ
(前期追随者)
ほとんどの人が接種し終えたくらいのタイミングで
接種したい
30.3%%34.0%レイト・マジョリティ
(後期追随者)
督促されるまで
接種しない
10.9%16.0%ラガード
(遅滞者)

非常に興味深いことに「接種時期」の分布はイノベーター論の分布に結構近くなっています。
副反応の不安がなくなり、周囲の人が接種しはじめるようになると、一気にマジョリティが動き始めそうです。
計画的な接種に向けて、既に各自治体でワクチン接種体制の確保に向けた準備が始まっているようですね。

ワクチンを打つならやっぱり日本製がいい

ついでに、どの国で開発したワクチンを接種したいか聞いてみました。

  • 仮に接種する新型コロナワクチンについて、以下の中からワクチンの開発国を選ぶことができるとした場合、あなたはどの国が開発したワクチンを接種したいと思いますか。 ※接種したくない方は、仮に接種しなければならないとしたら、どの国がよいかお考えください。
接種したい新型コロナワクチンの開発国。国産ワクチンの接種を期待する人が8割。

ある程度予想していましたが、8割の人がやっぱり日本で開発されたワクチンがいいと言っています。
国産ワクチンへの信頼感、期待感は非常に高いです。

“外国のは外国の人に合わせて作られているようなイメージです。日本人と外国人では体質も違うと思うのでやはり日本製がいいです。” (40代女性)
“日本製のものが絶対に安全だということではないが、他国のものよりは比較的安心できると感じるから。” (30代男性)

国内で先行するアンジェスと塩野義製薬の2社(グループ)は、それぞれ臨床試験の段階に進んでいます。
実用化までにはまだいくつものステップがあるようですが、開発に携わっている方々に、国民の期待する声が届けばよいですね。

さて、今回ご紹介したこの調査は、水曜日の夜に思い立って木曜日にアンケートを実施したもので、データの収集にかかった費用はごくわずかです。

実質1~2日で仕上げたの小サンプルで少ない質問のマイクロアンケートですが、知りたいことについて定量・定性両面の情報をしっかり押さえることができました。

企画書の説得力を増すためのエビデンスとなる実証データの収集や、本格的な調査を実施する前に、どういう聞き方がよいのかを検証するためのプリテストなどでも役立ちそうなアプローチです。こんなやり方もあるという具合に、お仕事で企画を考える際のご参考になれば幸いです。

ワクチン接種についての自由回答情報も結構集まっていますので、次回、に詳細な分析結果をご紹介します。

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