はじめてでも上手にできるアンケートの作り方
アンケートの成功の鍵は聞き方にあり!
回答形式や質問の順番など、答えやすさを追求したアンケート作成のコツや、正確な回答を得るためのテクニックを専門家が伝授。
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近年、調査手法は大きく変化しています。かつては郵送や紙を中心とした方法が主流でしたが、デジタル変革の進展により、Webやデジタルツールが前面に出てきました。この変化の詳細は、「デジタル変革の中のアンケート:Web化のメリットと実践ガイド」で3つのタイプに分けて解説しています。
調査手法を選ぶ際、単なる「郵送かWebか」の二者択一では十分ではありません。「郵送調査~Web回答併用で顧客対象調査の効果を上げる」では、郵送調査のメリットとWeb回答の利便性を組み合わせた方法が詳しく解説されています。
なお、対象者や状況によっては、Webの手軽さが逆に不適切と受け取られることもあります。特に、高齢者やBtoBの法人顧客には伝統的な郵送調査が適しています。これらの層に対しては、今後も、デジタル化が進む中で、郵送調査を基本とし、Web回答をオプションとして追加する形が最も効果的であると考えられます。
このページでは、こうした背景を踏まえ、郵送調査の成功の秘訣や効果的な実施方法についての具体的なノウハウを詳しく解説します。
さらに、紙に手書きで回答することのメリットとして、以下の各点を挙げることができます。
加えて、Webアンケートとの比較において、以下の点を郵送調査のデメリットとして指摘することができます。
Webアンケートも自記式調査の一つですが、特定のケースでは郵送調査が有利です。たとえば、インターネット環境を持たない高齢者を対象とする場合や、オンラインショッピングの利用率、情報源としてのSNSの参照割合など、インターネット利用の有無が結果に影響するテーマに関する調査の場合には、郵送調査が適しています。
郵送調査には以下の3つの主な課題がありますが、それぞれの課題に対する解決策をご紹介します。
調査に協力してくれない人の多くは、拒否というよりも単に無関心にすぎないと思われます。調査開始後1週間程度経って回収状況が思わしくない場合には、督促を行って調査への関心を再度促すのが効果的です。
当社の経験に照らすと、平均的には10%程度の回収率アップが期待できます。その際、既に調査票を返送してくれた人とそれ以外の人を選り分けて督促状(ハガキ)を送るのではなく、調査協力のお礼を兼ねた文面にして全員に送付する方式をおすすめします。
郵送調査とWebアンケートの併用は、回収率を上げるための有効な手段です。
弊社の実績では、郵送調査とWebアンケートを併用した場合、全体の回収数の1~3割がWeb回答となっています。詳しくは、「郵送調査~Web回答併用で顧客対象調査の効果を上げる」をご覧ください。
郵送調査のコストは、送付数や使用する資材によって大きく変動します。以下に、コストを効果的に抑えるための具体的な方法をご紹介します。
郵送調査の送付方法には、メール便や通常郵便などの選択肢があります。調査票は個人宛の信書として通常郵便で送ることを推奨します。
郵送調査の基本的な送付物は、
です。これらを入れて送る送付用の封筒について、角2封筒(定形外)を使えば、A4サイズの調査票を折らずに封入できますし、他の郵便物よりも多少目立たせることができるかもしれません。
ただ、郵便料金を考えると、できれば定形の長3封筒を用いたいところです。長3封筒でも、調査主体と内容物を明記し、封筒の色も目立つようにすれば、他の郵便物に紛れてしまうのを避けることができます。
なお、郵便料金は2024年10月1日(火)に値上げされ、新料金では、長3封筒で50gまでなら110円、角2封筒は50gまでは140円で100gまでなら180円となりました。
郵便物の取扱数は年々減ってきており、今回の値上げでも郵便事業の収益が改善せず、今後さらなる値上げが続くことも想定されます。
郵送調査の実施コストに占める郵便料金の割合は大きいため、いかに郵便料金を抑えるか、郵送のやり取りだけで完結させるのではなくWebアンケートを併用することも含めて「どのように」調査を実施するかを細かく検討することが今後ますます重要になってきます。
調査票について、冊子のような厚みがあるなどのよほどのことがなければ、あいさつ状や返信用封筒とあわせた総重量が50gを超えることはないでしょう。
調査票の紙質、ページ数やサイズを最適化することで、総重量を25g以内に収めて送付コストを削減することができます。また、調査票とあいさつ状を一体化することもあります。実験の結果、あいさつ状と調査票は別々でも一体化しても、回収率に違いはなかったそうです。
返信用封筒も長3(送付の際は折った状態)サイズで、封をしやすいようにテープのり付きにするのがよいでしょう。
郵送調査では発送した分がすべて回答されて戻ってくるわけではありませんので、返送分の料金のみ支払えばよい「料金受取人払」を利用するのが一般的です。ちなみに、料金後納の場合の手数料は1通あたり20円で、これが返送分の切手代に追加されます。なお、特に大切なお客さま宛などで発送数が少ない場合やBtoBの場合には、返信用封筒に切手を貼っておくと、一律に機械的ではない感じがしてよいかもしれません。
郵送調査の成功は、対象者が調査票を開封し、最後まで回答することにかかっています。そのため、調査票のデザインや内容は非常に重要です。以下に、回答意欲を高めるためのポイントをご紹介します。
郵送調査の調査票は、対象者が自由な時間に回答することを前提としています。しかし、ページ数が多すぎると、回答の意欲が減少する可能性があります。理想的には、両面刷り4ページ(A3サイズの2つ折り)から8ページ程度がベストです。
文字の大きさは、読みやすさを確保するために重要です。特に高齢者を対象とする場合は、大きめの文字が望ましいです。基本的には、文字サイズは10ポイント以上を推奨します。ページ数を節約するために文字を小さくするよりも、読みやすさを優先する方が効果的です。
ユニバーサルデザイン(UD)フォントとは、多くの人々にとって見やすく、読みやすくなるように工夫されたデザインのフォントです。調査票の読みやすさをさらに向上させるために、ユニバーサルデザイン(UD)フォントの利用を検討するのもよいでしょう。
調査票の質問の流れやレイアウトも、回答意欲に影響します。ページ数を増やすことで、質問の流れが自然になる場合があります。また、質問をびっしりと詰め込むのではなく、適切な行間やマージンを確保することで、読みやすさを向上させることができます。
質問の分量もそれほど多くなく、文字やレイアウトも見やすければ、対象者もとりあえず回答してみようかという気持ちになってくれることでしょう。せっかく協力してもらうのですから、正しく、漏れ抜けなく、最後まで回答してもらえるような質問内容、質問フローにしたいところです。正しく回答してもらうためには、各質問文や選択肢を、対象者によって意味のとらえ方に違いがないよう簡潔にまとめることが大切です。
以下に、そのための具体的なポイントを5つ紹介します。
プログラムでエラーの制御ができるWebアンケートとは異なり、郵送調査では、
等の回答エラーは避けられません。しかし、対象者がどこで回答につまずきやすいかが見えやすいため、郵送調査の経験を重ねることで、対象者の立場に立った調査票づくりの腕を磨くことができます。
郵送調査はアナログの制約が多い一方で、対象者の立場に立った調査票づくりに真剣に取り組む必要があります。これはデメリットではなく、市場調査の本来の目的、すなわち“対象者とのコミュニケーション”を深める絶好の機会ととらえることができます。
さらに、紙のアンケートには手書き回答の特徴が強く表れ、回答者の感情や思考過程をより深く理解することができるというメリットもあります。手書きの特徴から対象者の感情を読み取ることは、Web回答では不可能であり、これは郵送調査ならではの価値と言えるでしょう。
答えやすい調査票の作成に関する詳しいガイドラインについては、アンケート作成の参考書などを参考にしてください。
アンケートの成功の鍵は聞き方にあり!
回答形式や質問の順番など、答えやすさを追求したアンケート作成のコツや、正確な回答を得るためのテクニックを専門家が伝授。
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郵送調査の時間がかかるという特性は、逆に対象者との接点を増やすチャンスととらえることができます。お礼や督促状の送付を通じて、対象者とのコミュニケーションを深めることが可能です。海外では、協力依頼状を事前に送ってから調査票の送付、その後何度か督促を行うなど、対象者に5回は接触することを提唱する専門家もいますが、これは回収率を上げるためだけでなく、対象者とのコミュニケーション機会ととらえているようにも感じられます。
RFM分析を行う企業は、直近の購入がないお客さまへのアプローチが難しい場合があります。しかし、郵送調査を活用することで、これらのお客さまからの回答も期待できます。
郵送調査は古典的な手法ととらえられることもありますが、その背景には長年の研究や経験が基盤としてあります。対象者の立場に立ったアプローチや、答えやすい調査票の工夫は、回収率やデータの精度を向上させるだけでなく、調査を実施する企業の評価向上にも寄与します。
【郵送調査を上手に活用するためのポイント(まとめ)】
課題 | 対策 |
---|---|
回収率を上げる | お礼兼督促状を送る |
Webアンケートを併用する | |
実査コストを | 調査票をスリム化すれば、送信用封筒の大きさは長3でも大丈夫抑える |
返信用も基本は封かんテープ付き長3封筒で、料金受取人払い | |
答えやすい調査票にする | ページ数は8ページまで、文字の大きさは10ポイント以上が望ましい |
簡潔で答えやすい質問方法を工夫する |
郵送調査の実施をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。専門スタッフが、ニーズに合わせた最適な調査プランをご提案いたします。
お気軽にご相談ください044-271-6043営業時間 9:00 - 18:00 [ 土日祝定休 ]
ご相談・お問い合わせ郵送調査は、お客さまとの対話を深め、その声を直接聞き出す貴重な機会を提供します。市場調査の専門家として、お客さまからのフィードバックをビジネスの成長に活かすためのお手伝いをさせていただくことを楽しみにしています。
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