ロシアがウクライナに侵攻しました。
以前から危機が伝えられていたにもかかわらず、結局誰もロシアを止められませんでした。
国際秩序を維持する「世界の警察官」はどこにもいないことを改めて思い知らされます。
それにしても、国際社会からの非難や経済制裁を意に介さないロシアとは一体どういう国なのか、ウクライナと合わせて基本情報を押さえておきましょう。
ロシアの面積は世界の陸地面積の13%を占め、圧倒的に広いです。
ウクライナも日本より広い国ですが、国土の約7割は農用地の農業国で、GDPはロシアの10分の1程度にとどまっています。なお、軍事費も10倍以上の差があります。
次に、国際社会との関わりで貿易状況をみてみると、ロシアもウクライナもエネルギーや鉄、食料などが中心の資源輸出国であることがはっきりしています。
まず、エネルギーに関して、ロシアの原油生産量は米国、サウジアラビアに次いで世界第3位です。また、天然ガスは米国に次ぐ2位ですが、現在確認されている埋蔵量では世界一です。
ロシアと米国はエネルギー輸出の面でライバル関係にありますが、ヨーロッパ向け輸出においては地続きのロシアが有利です。
ヨーロッパ向けのパイプライン経由の天然ガス輸出では、2020年時点でロシアが全体の4割弱を占め、特にドイツ向けのシェアは5割を超えています。
今回のウクライナ侵攻に対し、ドイツは制裁措置としてロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン事業「ノード・ストリーム2」の承認手続きを停止しましたが、エネルギー供給が逼迫しないよう新たな入手ルートも探さなければならないでしょう。
液化天然ガス(LNG)の輸出拡大を図ろうとする米国にとっては好機なのかもしれません。
次に、食料について、小麦輸出ではロシアが世界シェアトップとなっています。
エネルギーにしろ食料にしろ、輸入依存度が高い日本にとっては供給不安から価格高騰の連鎖が続かないか懸念されます。
また、ロシアとウクライナの貿易相手国では輸出・輸入とも中国が最も多くなっています。
中国の動向によってロシアに対する経済制裁の有効性は大きく変わってくるでしょう。
国際決済ネットワークSWIFTからロシアの銀行を遮断することに関して欧米の足並みが揃わないのも中国の存在が背景にあると考えられます。
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