食品の輸出
農林水産省によると、2021年の農林水産物・食品の輸出額は、1兆2,385億円でした。
官民挙げての和食のプロモーション効果もあったのではないかとのことで、特に「ホタテ貝」「牛肉」「ウィスキー」「日本酒」などの輸出が増えています。
食品の輸入
一方、輸入の方はどうかというと、2021年の速報値はまだ発表されていないようですが、こちらは一桁あがって年間で10兆円を超える金額になっていそうです。
細かい品目別のデータも豊富にあり、たとえば2020年の「豚肉(くず肉含む)」の輸入は、数量ベースでは約90万トン、金額ベースでは約4,800億円です。
金額ベースで豚肉を上回る唯一の品目が「たばこ」で約5,800億円。「たばこ」だけで、農林水産物輸出額の半分程度に相当する輸入額となっています。
くだものの輸入
輸入額の推移をみていて面白いのが年間約3,500億円分輸入している「果実(生鮮・乾燥)」です。
生のくだもののトップ3は、「バナナ」「キウイ」「アボカド」。
いずれも食物繊維が豊富で栄養価が高いくだもので、健康志向の高まりもあってか、輸入額をさらに伸ばしています。
中でも「アボカド」は2002年の輸入額では第10位でしたので、大きく順位を上げました。
「アボガド」と名前を間違えられたり、くだものではなく野菜と思われていたりと、「名」はそこまで浸透していませんが、この20年の間で私たちの食卓での存在感は確実に増しているようです。
【2020年/2002年で輸入額の増減が大きいくだもの】
品目 | 2002年比 |
---|---|
アボカド(生鮮) | 757.0% |
ぶどう(生鮮) | 603.5% |
キウイフルーツ(生鮮) | 370.1% |
マンダリン等(生鮮・乾燥) | 250.6% |
くるみ(生鮮・乾燥) | 250.1% |
スイートアーモンド(生鮮・乾燥) | 246.9% |
グレープフルーツ(生鮮・乾燥) | 27.9% |
「食」の付加価値を考える
「アボカド」は栄養満点で美容にもよく、かつ、調理もしやすくと、一見、いいこと尽くめの理想的な食材のように思われるところに、実は「水不足」を招く一因となっているとの指摘があります。
「隠れた水 ― Beneath the Surface 世界水の日報告書 2019」(WaterAid)によると、アボカドの生産には1キログラムあたりで2,000リットル近くの水が必要とのこと。
2020年の輸入量:約8,000万キログラム×2,000リットルで計算すると、約1,600億リットルとなり、東京ドーム128杯分に相当する量です。身近な例におきかえると、アボカド1個当たりでお風呂の水2回分の「隠れた水」を消費していることになります。
「食」の価値を考えると、「腹がふとる」から「おいしい」、そして「カラダにいい」という流れに、さらに「地球にやさしい」も加わるとき、今後どんな食品が増えてくるでしょうか。
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