残念なネーミング

私がよくいくスーパーではレジの近くに「お値打ち商品」がワゴンに山積みされています。
「お値打ち」とうたいつつも、要は在庫一掃セールのようなもので、せんべい、クッキー、飴、カップ麺、ペットボトル、缶詰などいろんな商品が数日程度で入れ替わり陳列されています。

ワゴンの商品を見ていると、どうも商品名に問題があるものが多いようです。
たとえば、

  • ありきたりでパッとしない
  • どんな特徴があるのか伝わってこない
  • 読み方/発音の仕方がわからない
  • 音の響きがよくない
  • やたら長くて覚えられない
  • 商品に合っていない

などです。

ネーミングのチェックポイント

商品名を考える時のチェックポイントには以下のようなものがあります。

  • 言いやすいか
  • 読みやすいか
  • 覚えやすいか
  • 親しみやすいか
  • 適度に目新しいか
  • 適度に目立つか
  • 商品の特徴がわかりやすく伝わるか
  • 商品やブランドにふさわしい意味を持っているか
  • 商品カテゴリーにあっているか

など。

上記のポイントを意識しながらいくつかのネーミング案に絞り込んでいくわけですが、思い入れが強いと冷静に判断することが難しくなります。
何の根拠もなく「これでいいだろう」で決めてしまうと「せっかく良い商品なのに、ネーミングが原因で売れ行きが伸びない」と後悔することになりかねません。
ネーミング調査をして客観的なデータを集めたうえでの意思決定が必要です。

商品の売り上げを左右するネーミング調査のやり方

そこで、コンセプト調査など他の調査に追加したり、社内調査として実施できたりする簡易的なネーミング調査のやり方をご紹介します。
広告効果測定の一般的な流れで「記憶」―「連想」―「イメージ」―「選好」の順にデータを集めていきます。

ステップ1 記憶

まずはネーミング案の候補が並んだリストを提示して、1つひとつのネーミング案をじっくりと見てもらいます。

以下は〇〇(「せんべい」など商品カテゴリー名)の商品名の候補(ネーミング案)です。よくご覧ください。

じっくりと見てもらった後でリストの提示を終了して、覚えているネーミング案を挙げてもらいます。最初にあげられたネーミング案が「第1想起」、以下、「第2想起」「第3想起」・・・となります。

ご覧いただいたネーミング案で覚えているものをすべて教えてください。

第1想起:
第2想起:

 ・
 ・
 ・
第n想起:

一度聞いたら忘れない名前であるかどうか。非常に重要なポイントです。

ステップ2 連想

続いて、第1想起、第2想起、第3想起としてあげられたネーミング案のそれぞれについて順番に、ネーミング案を見てどのようなことを連想するか答えてもらいます。

「△△」(第1想起であげられたネーミング案)から、あなたはどのような特徴をもった〇〇(「せんべい」など商品カテゴリー名)を連想しますか。どのようなことでも結構ですので具体的に教えてください。

ここで、商品名からどのような意味が広がっていくのかをみます。

ステップ3 イメージ

次は、ネーミング案のイメージについての質問です。
やり方としては、表頭にイメージ項目を、表側にネーミング案をリストしたマトリックス質問にして、それぞれのネーミング案から受ける印象として当てはまるものを選んでもらいます。

それぞれのネーミング案に当てはまるイメージがありましたら、すべて選んでください。(ヨコにいくつでも)

言いやすい読みやすい覚えやすい親しみやすい目新しい・・・・・・○○(商品カテゴリー)にあっているどれもない
ネーミング案A123456789
ネーミング案B123456789
・・・123456789


なお、最終候補として絞り込んだ2~3案について調査をする場合は、1つひとつのネーミング案について各イメージがどの程度あてはまるのかを5段階評価で答えてもらうとより詳しい情報を得ることができます。

ステップ4 選好

もう一度ネーミング案の候補が並んだリストを提示して好きなネーミング案の上位3つを選んでもらいます。

ここにあるネーミング案の中であなたが「特によい」と思うものを第1位~第3位まで選んでください。

第1位:
第2位:
第3位:

ステップ5 選好の理由

最後に、第1位に選んだネーミング案が「特によい」と思う理由を答えてもらいます。

「□□」(「第1位に選んだネーミング案」)を第1位に選んだのはどのような理由からでしょうか。具体的に教えてください。

簡易版ではなく、独立したネーミング調査を行う場合には、商品カテゴリー名は告げずにステップ1とステップ2のところを以下のようにして進めます。

ステップ1
以下はある商品の名前のアイデア (ネーミング案)です。よくご覧ください。

ステップ2-1
[すべてのネーミング案について]
「ネーミング案A」から、あなたはどのような商品を連想しますか。商品の種類や特徴などどのようなことでも結構ですので具体的に教えてください。

ステップ2-2
簡易版のステップ2と同じ。

調査に必要なサンプルサイズと費用

消費者を対象として調査をする場合のサンプルサイズは、少なくとも200~300人程度は欲しいところです。そのくらいあれば、対象者を2~3セグメントにわけたクロス集計をする場合でも1セグメント当たり100人程度のベースを確保することができます。

簡易版であればネーミング調査パートを商品コンセプトテストなどに追加して実施することができます。気になる調査費用のほうはネーミングパート付きコンセプトテストなら40~50万円程度から実施することができます。ネーミング調査を単独で実施する場合は30~40万円程度です。

BtoBの商品・サービスや特定・少数の消費者層を対象とする商品・サービスのネーミングを考える場合にも、上でご紹介したチェックポイントを参考にして社内調査などで有望なネーミングを見極めてください。社内調査をWeb方式で実施して簡単な集計結果をお届けする場合は2~3万円程度でできます。

コンセプトテストやネーミング調査の実施をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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