【7回でわかる!市場調査の基本活用術シリーズ第3回】

はじめに

市場調査を進めるうえで、最初にして最大のポイントは調査目的の設定です。
ここが曖昧なまま走り出すと、調査票の内容もズレてしまい、結果をどう活かせばいいのかわからなくなります。

「とりあえず満足度を調べたい」
「なんとなく顧客の声を集めたい」

このような目的設定では、せっかく調査をしても活用できません。
第3回では、調査目的をどう整理し、リサーチ会社や社内にどう伝えると良いのかを解説します。

調査目的が曖昧だとどうなる?

目的が不明確なまま調査を進めると、典型的な失敗パターンに陥ります。

❌ 質問がバラバラになる
「あれも知りたい」「これも入れたい」と欲張るとアンケートが長大化してしまい、結果的に回収率が低くて使えない調査になりがちです。

❌ 結果が行動につながらない
データを集めてみたものの「で、どうするの?」となり、結果を確認するだけで終わってしまいがちです。

❌ 社内で共有しづらい
目的が曖昧な調査は行動方針を示せないため、報告しても「結局この数字は何を意味するの?」と突っ込まれて終わってしまいます。

調査目的をしっかり定めることが、失敗を防ぐ第一歩です。

調査目的の整理方法:3つの視点

調査目的を考えるときは、以下の3つをセットで整理するとわかりやすくなります。

✔️ 解決したい問題は何か?
例:新規顧客が増えない/リピート率が下がっている/退会が増えている

✔️ その問題を解決するために、知りたいことは何か?
例:顧客はなぜ離脱しているのか?/競合に流れている理由は?

✔️ その情報を得たら、どんな行動をとりたいか?
例:サービス改善につなげる/キャンペーンを見直す/新商品の企画に活かす

[調査目的の具体例]
実務でよく設定される目的には以下のようなものがあります。

🔷 商品・サービスの改善
具体例:顧客が満足している点・不満に感じている点を明らかにし、改善策を導く。

🔷 ロイヤルティ向上
具体例:継続利用意向や推奨意向(NPSなど)を把握し、顧客との関係性を強化する。

🔷 競合比較
具体例:競合他社に対する評価や市場での自社の立ち位置を確認する。

このような具体例を踏まえて「問題・知りたいこと・行動」を整理すれば、調査がより効果的になります。

「知りたいこと」と調査タイプ

「知りたいこと」に応じて「どのような調査が適しているか」を知っておくと役立ちます。

顧客の満足度や不満を把握したい
→ 顧客満足度調査(CS調査)

自社ブランドの認知度やイメージを知りたい
→ ブランド調査

広告やキャンペーンの効果を検証したい
→ 広告効果測定調査

新商品の魅力度や受容性を確認したい
→ 商品開発調査(コンセプトテストなど)

顧客の生活背景や価値観を理解したい
→ ライフスタイル調査

市場全体の利用実態や購買行動を把握したい
→ U&A調査(Usage & Attitude)

「知りたいこと → 調査タイプ」と対応させて考えると、自社の状況に合った調査方法をイメージしやすくなります。

リサーチ会社への伝え方

外部のリサーチ会社に依頼するときは、「直面している問題・知りたいこと・次の行動」を明確に伝えるのがポイントです。

[NG例]
❌ 「顧客満足度を知りたい」
→目的が抽象的で調査設計がブレる

[OK例]
⭕ 「顧客のタイプ別に満足度を数値化し、サービス改善の優先順位を決めたい」
⭕「新商品のコンセプトについて、どの年代にどんな反応があるのかを把握したい」

「知りたいことをどう活用するか」まで伝えることで、リサーチ会社は最適な方法を提案できます。

また、調査目的を整理しておくことは、社内関係者の合意形成にも役立ちます。

✔️ 経営層は何を知りたがっているのか?
✔️ 現場担当者はどんな改善情報を求めているのか?

あらかじめ社内の要望を擦り合わせておくと、後から「こんな結果では使えない」と言われるリスクを減らせます。

まとめ

調査の成功は、調査目的の設定にかかっています。

  • 課題は何か?
  • 知りたいことは何か?
  • その情報でどんな行動をしたいのか?

この3点を整理してリサーチ会社や社内に伝えることで、調査は「ただの数字集め」ではなく、意思決定を後押しする武器になります。

次回は「調査対象とサンプル設計―数字の納得感をつくる」を解説します。

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