ワクチン接種についての考え方【自由回答分析】

ワクチン接種についての考え方【自由回答分析】

前回は、新型コロナワクチンの接種意向や接種時期、接種したいワクチンの開発国についての調査結果をご紹介しました。
今回は、それらの質問の後で、ワクチン接種についての考えを自由回答として記述してもらいましたので、自由回答分析の流れにそって、ご紹介します。

自由回答録

調査対象者119名から寄せられた自由回答の総文字数は合計6,555字で、最も多い人は180字、一人当たりの平均で55字でした。以下に一部を抜粋して掲載していますが、まずは自由回答録にざっと目をとおして、自分なりに全体的な傾向をつかみます。

自由回答録の一部抜粋

コーディング

ひととおり目を通して「よしっ、わかった」となっても、まだ先があります。
自分にとって都合のいい情報につい目が行ってしまったり、あるいは、好ましくない意見が強く印象に残ったりして、全体像をゆがんだ形でとらえてしまっている場合があります。
そこで、自由回答のコメント内容による分類、アフターコーディングを行います。
基本的には、ポジティブ/ネガティブに分けたうえで、それぞれについてあまり細かくなりすぎないレベルのいくつかのグループに分類していきます。

自由回答のクロス集計

コーディングを行うことで、自由回答情報を定量的に把握することができます。

以下は、コーディングした自由回答について、性別、接種意向別のクロス集計を行ったものです。

コーディング済自由回答のクロス集計結果

クロス集計結果から、性別では大きな違いがないことが分かりました。

自由回答を定量化して見える化

ワクチン接種意向別のクロス集計結果について、グラフ化してみます。
まず、ワクチンを接種する理由を見てみましょう。

ワクチンを接種する理由

全対象者119人中62人(52%)がワクチンを「たぶん接種する/接種する」と回答したのですが、これらの人が「接種する理由」として最も多く挙げられたのは「周囲に迷惑をかけたくないから」で14.5%でした。これに加えて「コロナ禍を収束させるため(に接種すべき)」(12.9%)や「周囲の圧力/会社から強制される」(4.8%)は、自分が接種したいからというよりは、社会の要請として接種すべき/接種せざるを得ないという理由のように思われます。

社会の要請としてワクチンを接種すべき/ワクチンを接種せざるを得ない

代表的なコメントを紹介します。

“人口の約6割が抗体を持たなければ蔓延するといいます。それまでに重症化しないようにリスクを負ってでもワクチン接種すべきだと思います。”(40代女性)
“コロナにかかると職場や周りの人に迷惑をかけてしまうため、ワクチンは早めに接種して安心したいから”(20代女性)

さらに、こんな意見もあります。

“接種しないでコロナに感染したら周りから白い目で見られるのではないかと思うから。”(40代男性)
“リスクをもう少し知っておきたいけど、今後ワクチンをうっているかどうかでさらに行動を制限されるのではないかと思うとさっさと接種したい気持ちがある。”(30代女性)

昨年の緊急事態宣言下での「自粛警察」や「同調圧力」のことがありますので、「そんなことあるわけない」と否定できないところがこわいです。

続いて、ワクチンを接種しない理由です。

ワクチンを接種しない理由

ワクチンを「たぶん接種しない/接種しない/どちらともいえない」と回答した人(n=57人、全体の48%)では、やはり「副反応が心配/安全性に不安」が61.4%で最も高く、「新しい方法で開発されたものだから不安/性急に開発されたものだから不安」とする人も22.8%で、したがって、ワクチンを打つなら「安全性が確認されてから/経過・様子を見てから」「日本製なら安心」と言っています。

副反応が不安だからしばらく様子を見て/本音を言えば、日本製ワクチンがいい

代表的なコメントを紹介します。

“公費負担で接種できるのはありがたいが副作用があると思う。日本人の半数が受けたら受けると思う”(50代男性)
“コロナのワクチンは通常のワクチンよりも短期間で製造されているので、副作用やアレルギー反応に関するデータが不十分なまま出回っているのではないかと危惧しているからです。そういった懸念が払しょくされない限りは接種しようとは思いません。”(30代女性)
“接種ははじまっているものの、まだ分からなかった副作用等がでてくる可能性も考えると、後発でも安全そうなイメージの日本製で受けたいと思ったから。”(40代女性)

また、「ワクチンの効果に疑問」の声が10.5%あり、ワクチンを打つくらいなら「手洗い、マスクなどの予防策を徹底する方がよい」という人もいます。

“ワクチンを接種したからといって新型コロナウイルスにかからないという保証はないし、副作用でもっと酷い目に遭うかもしれないからです。”(20代女性)
“副作用が非常に怖いので、接種はしたくないです、日常でうがい手洗い、マスク着用を心掛けたいからです。”(40代男性)

なお、ワクチンを「たぶん接種する/接種する」と回答した人でも、約半数が、「打つなら日本製がいい」「副反応が不安だから少し様子を見てから」などのすぐには接種したくない理由をコメントしています。

コーディングは、自由回答一つひとつをじっくりと読み込み分類していきますので手間がかかります。
しかし、自由回答に表現されている考え方や気持ちを定量データとして数値化して、多くの関係者で共有することができますので、自由回答情報の活用には欠かせません。

さて、2週にわたり、定量・定性の両面からワクチン接種に対する考え方についてみてきました。

いろいろ推測したり、想像したりする前に、下調べをすること。
情報を集めずに考えて出した結論は精度が低い。
まず最初は視野を広くとって、それこそ「すべて」を見てやるとするべき。
周辺から固めていくのが大事。

わずか4問の簡単な調査のマイクロアンケートですが、実質1~2日で全体像を把握して方向性を定めるのに使える情報をしっかり押さえることができます。
「ユーザーが求めるニーズは?」「この商品、どんな方向で訴求したらいい?」などお悩みの場合にも使えます。