まもなく、年末恒例の「今年の漢字」の応募が締め切られ、2020年の世相を表現する漢字として最も応募が多かった一字が「今年の漢字」として、12月14日(月)に清水寺で発表されます。

毎年この時期になると、「今年の漢字予想」サイトも現れ、1年の振り返りとともにそれぞれの予想を披露します。

当社も、

2014年~2016年までは新聞記事の内容等の「テキスト分析」を通じての予想、
2017年は一般の協力者に今年の漢字を予想してもらう「集合知」による予想、
2018年からは過去の応募状況や結果の分析から読み解いた「法則」による予想

と、市場分析の視点から毎年「今年の漢字」予想を行なってきました。

これまでの予想結果は以下のとおりです。

予想「今年の漢字」結果備考
2019年アタリ!
2018年ハズレ(「大」は7位)
2017年アタリ!
2016年ハズレ(「女」は圏外)
2015年アタリ!
2014年ハズレ(「解」は圏外)

的中率は5割で、ハズレの3回についてもあえて本命候補を避けての予想ですので、まずまずの結果ではないでしょうか。

2020年重大ニュース

予想の第一歩は、今年印象に残った出来事の振り返りです。

「今年の漢字」の応募者の多くを占める小学生(※この点についてはあとでご説明します)の視点で見てみましょう。

おもに小中学生向けにニュースをわかりやすく解説する月刊誌「Newsがわかる」(毎日新聞発行)の12月号に「2020年重大ニュース」が特集されています。

トップ10のランキングは以下のとおりです。

第1位 新型コロナウイルス大流行
第2位 7年9ヶ月ぶりに首相交代
第3位 大雨から一点、記録的猛暑
第4位 波乱のアメリカ大統領戦
第5位 黒人暴行死で抗議広がる
第6位 香港の1国2制度が崩壊の危機
第7位 大坂選手が全米テニス優勝
第8位 将棋でまた最年少記録 藤井2冠
第9位 日本のスパコン「富岳」世界一
第10位 プラごみ削減へ レジ袋有料化

記事では、それぞれの出来事について、写真やグラフなどを豊富に使ってわかりやすく解説されていますので、詳しく振り返りたい方は、書店で手に取ってみてください。

例年、重大ニュース/10大ニュースには、自然災害や政治混乱・スキャンダルに関連する出来事が並ぶことが多いのですが、今年も例外ではありません。

その中にあって、第1位の「新型コロナウイルス大流行」は2020年を通しての存在感が他のニュースを圧倒しています。

「今年の漢字」は、コロナ禍に関連するものになることはまず間違いないように思います。

本命:「密」

対抗:「禍」

大穴:・・・

「密」「禍」」はすぐに浮かんできますが、その次がなかなかでてきません。

新型コロナウイルス感染症から連想することには、「クルーズ船」「クラスター(感染)」「PCR(検査)」「WHO」「ジョンズ・ホプキンス(大学)」「オーバーシュート「」「ロックダウン」「マスク」「アベノマスク」「テレワーク」「Zoom」「ステイホーム」「オンライン授業」「エッセンシャルワーカー」「Go To」「ワクチン(開発)」などカタカナやアルファベットの言葉が多く、漢字が主となるものになると「緊急事態宣言」「濃厚接触者」「五輪延期」「巣ごもり消費」「新しい生活様式」「医療従事者」「給付金」「支援金」・・・などでしょうか。

こうして今年の出来事を振り返ってみると、「密」でほぼ決まりのような気がしますが、裏付けのため「今年の漢字」についてのデータを確認していきます。

応募状況についての分析

「今年の漢字」の応募方法には、「インターネット」「はがき」、書店等に設定している「応募箱」から応募する個人での応募と、学校や塾、企業等でまとめて応募する「団体応募」があります。

以下は、2000年以降の応募数推移をグラフにしたものです。

東日本大震災があった2011年の応募数は約50万票と突出して多くなっています。
この年の「今年の漢字」は「絆」です。きっと、多くの人が「絆」の一字に希望を込めて投票したものと思います。

コロナ禍に見出す希望としては「終(息)」「収(束)」あたりが思いつきますが、今年は希望につながる漢字がどの程度の得票数を集めることができるでしょうか。

「今年の漢字」の応募方法別応募数の推移グラフ

※ 「インターネットについては、2001年と2004年~2008年は「Eメール」での応募数です。

同じデータを応募方法別の構成比にしてみると、ここ数年は「応募箱」と「団体応募」が5割弱ずつとなっていることがわかります。

漢字検定受験者の6~7割程度が、団体受験が多い小中学生のようですので、応募者のかなりの割合を小中学生が占めている可能性があります。

「今年の漢字」の応募方法別応募割合の推移グラフ

得票率についての分析

続いて応募数上位20字の得票率推移です。

昨年の「令」の得票割合は14%で、2011年の「絆」の得票割合(12%)よりも高かったのですね。

ちなみに、昨年の得票数第2位は「新」で、第3位は「和」でした。
また、7位から10位まで「災」「嵐」「水」「風」と並び、この4つのだけでも8%と、昨年も災害関連の漢字が多くの票を集める結果となっています。

「今年の漢字」上位20字の得票率の推移グラフ

「今年の漢字」についての法則

2014年から様々なアプローチで分析してみて、「今年の漢字」には以下のような法則めいたことがあるように思います。

法則1:「今年の漢字」には簡単な字が選ばれやすい。
法則2:「今年の漢字」は前年のトップ10にはない。
法則3:オリンピックイヤーは「金」が選ばれやすい。

法則3、コロナがなければ今年は「金」で決まりだったことでしょう。

今年の本命の「密」は前年のトップ10の中にはありませんので、法則2にあてはまります。

残る法則1の観点でデータを見てみます。

応募者のかなりの割合を小中学生が占めている可能性があり、おそらくそのことも関係しているものと思われますが、「今年の漢字」には難しい字は多くありません。

歴代の「今年の漢字」のほとんどは小学4年生までに習う漢字です。

また小学5年生以上で習う漢字についても、一昨年の「災」や2011年の「絆」のように得票率が10%を超えるものがほとんどで、テレビや新聞などいろいろな場面でよく目にした漢字であったものと思います。

今年の本命の「密」は小学6年生で習う漢字で、画数は11画、漢検の級は5級です。
やや難しめの漢字ですが、この字を見ない日はないといってもいいくらいですので、昨年の「令」を上回る得票数を獲得するかもしれません。

「今年の漢字」の難易度レベル一覧表

というわけで、「今年の漢字」は「密」でほぼ決まりだろうと思います。

しかし、これではあまりに大本命すぎて面白くありません。

そこで、コロナ禍の2020年ならではの「今年の漢字」への向き合い方として、以下の3点を提案したいと思います。

  • 東日本大震災に見舞われた2011年の応募総数を上回るかどうか?
  • 2011年の「絆」のように希望を見出す漢字にどのくらいの票が集まるか?
  • インターネットでの応募割合がどこまで伸びるか?

今回も、最後まで予想にお付き合いいただき、ありがとうございました。

※ 本文中の応募数等のデータの出典:公益財団法人 日本漢字能力検定協会

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