郵送調査を上手に活用するための7つのポイント~成長する会社の調査活用方法

郵送調査を上手に活用するための7つのポイント~成長する会社の調査活用方法

郵送調査はインターネット調査との併用により互いのメリットが得られる

郵送調査は、他の調査手法に比べると「時間がかかる」「回収率が低い」といったイメージがあるかもしれません。
しかし、幅広い地域や年齢の対象者に万遍なくアプローチできる優位性がありますし、工夫次第で十分検討に値する調査方法になります。
例えば、インターネット調査を併用することで、どちらか一方のみでは協力してくれなかった人からの回答が期待でき、郵送調査のカバレッジの広さとインターネット調査の手軽さの両方のメリットを生かすことができます。

郵送調査はインターネット調査と同種の調査手法

市場調査を実施する際、調査目的に合わせて、調査地域(どこで聞くか)、対象者条件(誰に聞くか)、サンプルサイズ(何人に聞くか)、質問内容(何を聞くか)等とともに、適切な調査手法(どうやって聞くか)を決めることが重要になります。

調査手法には、訪問面接調査、電話調査、郵送調査、インターネット調査などがありますが、調査員の有無でみると以下のように分けられます。

調査員による対面調査・・・訪問面接調査、電話調査など

対象者による自記式調査・・・郵送調査、インターネット調査など

調査員が質問するのではなく、対象者に自分で回答を記入してもらう自記式調査という点で、郵送調査はインターネット調査と同じカテゴリーになります。

自記式調査のメリットとデメリット

自記式調査の場合、調査員が必要ありませんので、対面式に比べて幅広い地域や年齢の対象者に万遍なくアプローチでき、一般的に費用は安く済みます。また、自分で回答する形ですので、いつでも好きな時に(好きな場所で)協力してもらえ、気軽に率直な意見を得ることができます。

一方、対象者自身に答えてもらうため、シンプルな質問構成でわかりやすい内容にしないと、誤回答や回答の漏れ抜けなどによって質の高い回答が得られない恐れがあります。調査設計に求められるクオリティは非常に高いものとなります。

郵送調査とインターネット調査の比較

同じ自記式調査でも、インターネット調査は

・数日~短期間で回答を集めることができる

・印刷や郵便コストがかかる郵送調査に比べて実査費用が安い

・比較的質問数の多い調査も実施可能

・条件質問や回答矛盾などについて適正な画面制御ができる

・データ入力が不要

・モニターパネルを利用すれば、ターゲットを絞り込んだ調査を実施できる

などメリットが多く、非対面&ペーパーレスの流れもあり、調査のオンライン化は今後ますます進んでいきそうです。

インターネット調査よりも郵送調査が望ましいケースとしては、インターネット環境を持たない高齢者などを対象者に含む場合、あるいはPC・スマホやインターネットの利用率、SNSやオンラインショッピングの利用率、情報源としてのインターネットの参照割合など、明らかにインターネット利用の有無が調査結果に影響する場合などが思い浮かびます。

得意先の企業などを対象とするBtoB調査の場合も、対象企業サイドで、組織としてどのように回答するかを検討することができ、また、どのように回答したかを手元の記録として残すことができるため、郵送調査向きです。

郵送調査の3つの課題

調査手法として郵送調査が有力な選択肢となるための課題が3つあります。

  • 回収率を上げる
  • 実査コストを抑える
  • 答えやすい調査票にする

これらは相互に関連している部分もありますが、順にみていきましょう。

回収率を上げるための工夫

自社のお客さまなど対象者との関係性にもよりますが、一般消費者を対象にした場合、郵送調査の回収率は2~4割程度です。

一見すると低いように思えますが、他の調査手法においても、例えば訪問面接調査で一般家庭に戸別訪問したり、あるいは電話調査でランダムに電話をかけたりして調査に協力してくれる割合は、実際には2~4割もないでしょう。

インターネット調査でも、モニター登録している人達が対象なら協力率が高いのは当然ですが、もし一般消費者が対象だとしたら郵送調査と協力率はそれほど変わらないと思います。

とはいえ、郵送調査の場合は、調査に協力してくれないとその分の調査票や郵送代などがムダになってしまいますので、できるだけ回収率を上げるように努める必要があります。

ポイント① 締切りまでの期間は3週間とする

郵送調査に協力してくれるような人は、調査票を受け取ってから2、3日以内に記入して返送してくれる人が多いです。ただ、中には仕事や旅行等で不在だったり、しばらく多忙で時間がないが落ち着いたら協力しようと思う人達もいたりするでしょうから、回収数を増やすためには回答締切りまでの期間を、最低2回の週末を含めて3週間程度は設けるのが望ましいでしょう。

調査に協力してくれない人の多くは、拒否というよりも単に無関心にすぎないと思われます。

従って、調査開始後1週間程度経って回収状況が思わしくない場合には、督促を行って調査への関心を再度促すのが効果的です。調査内容によって一概には言えませんが、平均的には10%程度の回収率アップは期待できるものと思います。

その際、既に調査票を返送してくれた人とそれ以外の人を選り分けて督促状(ハガキ)を送るのではなく、調査協力のお礼を兼ねた文面にして全員に送付する方式をおすすめします。

お礼兼督促状の例

ポイント② インターネット調査を併用する

郵送調査は対象者が自分の都合のよい時に回答できますが、紙の調査票に記入し、返信用封筒に入れてポストに投函する作業を面倒と感じる人もいるかもしれません。

そのような対象者の負担を軽減するため、郵送調査と同一の質問内容をオンライン画面で用意し、あいさつ状(協力依頼状)に調査画面のURLやQRコードを掲載し、紙でもオンラインでもどちらでも好きな方法で調査に協力できるようにすることが有効です。

弊社の案件では、郵送調査とインターネット調査を併用した場合、全体の回収数の1~3割がオンライン回答となっています。郵送調査単独の場合に比べ、オンライン回答分がすべて上積みされるというわけではありませんが、インターネット調査の併用により回答しやすくなったと感じる対象者が増えることは間違いないでしょう。

ポイント③ 謝礼は必要に応じて

市場調査への協力は、本来は対象者の善意によるもので、謝礼が調査協力の対価・報酬と捉えられてしまうことは好ましくありません。

郵送調査は自記式で、対面式のように拘束される時間は少なく、自分の好きなタイミングで回答してもらえるので、基本的に謝礼は不要かと思います。謝礼の有無によって回収率が大きく変わることもないでしょう。

もし、謝礼や粗品を用意する場合、協力者だけに後から渡す形ではなく、少額でもよいので調査票と一緒に全員に送るのもありです。

実査コストを抑えるための工夫

郵送調査では、送付数にもよりますが調査コストに占める郵送代の割合が大きくなります。

送付方法としては、メール便などを利用して割安になるケースもありますが、調査票は個人宛ての信書として通常郵便で送るほうがよいと思います。

ちなみに、現在の郵便料金は以下の通りとなっています。

郵便料金

ポイント④ 送信用封筒の大きさは長3でも大丈夫

郵送調査の基本的な送付物は

●あいさつ状(調査協力依頼状)

●調査票

●返信用封筒

で、冊子のような調査票であるなど、よほどのことがなければ、あわせて50gを超えることはないでしょう。

なお、あいさつ文を調査票の冒頭に載せることもありますが、調査票のページ数やレイアウトにかなり余裕がある場合を除いては、別々に用意したほうがよいと思います。特にBtoBの調査では、依頼状は別にしましょう。

さて、送信用として角2封筒(定形外)を使えば、A4サイズの調査票を折らずに封入できますし、他の郵便物よりも多少目立たせることができるかもしれません。

ただ、郵便料金を考えると、できれば定形の長3封筒を用いたいところです。長3封筒でも、調査主体と内容物を明記し、封筒の色も目立つようにすれば、他の郵便物に紛れてしまうことは避けられるでしょう。

長3封筒にA4サイズの調査票を入れるには横3つ折りにする必要がありますが、ページ数が多いと封入も大変ですし、開封して対象者が回答する際も変な折りクセがついて記入しづらくなってしまいます。

調査票が4~8ページ程度に収まっていれば、折られた状態で送られてきても、広げて記入するのには特に問題ないでしょうし、紙質によっては総重量を25g以内にすることも可能かもしれません。

調査票のスリム化は、回収率の上昇、回答精度の向上や回答の漏れ抜け回避だけでなく、実査コストの節約にもつながります。

ポイント⑤ 返信用封筒も長3が望ましい

では、返信用封筒の大きさはどうしたらよいでしょうか。

長3サイズより一回り小さい長40封筒なら、そのまま折らずに封入することができます。しかしながら、3つ折り状態の調査票が入る大きさではないため、返送する際に折り直す必要があり、不便をかけてしまうことになります。

対象者の立場に立つと、返信用封筒も長3(送付の際は折った状態)、それも、できれば封をしやすいようにテープのり付きにするのがよいでしょう。

切手代に加えて貼付の手間も考えると、返送分の料金のみ支払えばよい「料金受取人払」を利用するのが効率的です。ちなみに、料金後納の場合の手数料は1通あたり15円です。

なお、特に大切なお客さま宛などで発送数が少ない場合やBtoBの場合には、返信用封筒に切手を貼っておくと、一律に機械的ではない感じがしてよいかもしれません。

また、回収後のデータ入力や集計をスムースに進めるため、委託先の調査会社を返信先にするケースがありますが、回収率の向上のためには自社の担当部署を返信先にするのが望ましいです。

答えやすい調査票にするための工夫

郵送調査では、まず対象者に興味を持って開封してもらうことが最初の大きなハードルになりますが、せっかく開封してもらっても、調査票を見て回答意欲を削がれてしまうようなことがあっては非常にもったいないです。

対象者に最後まで気持ちよく回答してもらえるよう、質問ボリューム、すっきり見やすいレイアウト、回答方法に悩まない質問フローなどに気を配りながら調査票を作成しましょう。

ポイント⑥ ページ数や文字の大きさ

郵送調査は、対象者の好きな時間に回答してもらえばよいので、多少ページ数が多くても協力してくれるだろうと思われるかもしれません。しかし、開封して調査票を取り出した時に、あまりに分量が多いと最初から回答する気をなくしてしいます。

できれば両面刷り4ページ(A3サイズの2つ折りで1枚)から8ページまでに収めたいところです。ページ数が増えると、めくる際に途中ページを飛ばしてしまうリスクも大きくなってしまいます。質問の流れに多少違和感があってもあまり気にされないものです。

とはいえ、ページ数を抑えるために、文字の大きさを小さくしたり、行間を縮めたりして各ページにびっしり質問を詰め込んだ窮屈なレイアウトだと、こちらも一目で回答意欲がなくなってしまいます。

対象者に高齢者を含む場合に大きな文字が望ましいのはもちろんですが、基本的に文字サイズは10ポイント以上にしたほうがよいです。文字を小さくしたり、無理なレイアウトに押し込んでページ数を節約するくらいなら、少しページ数が増えてしまっても読みやすいほうが対象者にとって親切かと思います。

また、誰にとっても見やすく読みやすいユニバーサルデザイン(UD)フォントにするのもよいでしょう。

ポイント⑦ 答えやすい質問方法

質問の分量もそれほど多くなく、文字やレイアウトも見やすければ、対象者もとりあえず回答してみようかという気持ちになってくれることでしょう。せっかく協力してもらうのですから、正しく、漏れ抜けなく、最後まで回答してもらえるような質問内容、質問フローにしたいところです。

正しく回答してもらうためには、各質問文や選択肢を、対象者によって意味の捉え方に違いがないよう簡潔にまとめることが大切です。

ただ、正確を期すために、ある用語についてはもう少し詳しい説明が必要だろうということで、調査票上に細かな字で注釈を載せたりする場合がありますが、これはあまりおすすめしません。すっきり見やすいレイアウトの妨げになりますし、細かな注釈は全員がきちんと読んでくれるとは限らないので、対象者によって解釈に違いが出てくる恐れがあります。

また、紙面の制約があるとはいえ、回答のバイアスをできるだけ避ける工夫も求められます。

特に、複数回答質問で、リストの最初の項目が選択されやすい(初頭効果)等はやむを得ないとしても、項目が多くてページをまたがってしまうことは避けるべきですし、下の例のように選択肢を複数列に分けて提示するのも、項目の位置によって選ばれやすさに影響することを考えるとあまり好ましくないでしょう。

選択肢が2列の質問例

複数回答のバイアスを減らすためには、項目数を絞るのが望ましいわけです。

漏れ抜けなく回答してもらうには、回答条件を絞った質問を極力減らし、できるだけすべての質問を全員に答えてもらう質問構成にするのが近道です。

複雑な回答分岐を矢印で示したりすることがありますが、そうした回答指示がなくてもスムースに最後まで進めるような調査票設計を心掛けましょう。そうすれば、自然と最後まで回答してもらえるようになるはずです。

ただ、それでも

・単一回答の質問なのに複数の項目に〇がついている

・複数回答の質問でも、他の項目と同時に「どれもない」に〇がついている

等の回答エラーは避けられず、注意深い検票とデータクリーニング作業は欠かせません。集計・分析に際しても細かい配慮が必要になります。

インターネット調査であれば、こうしたエラーは画面上で制御できてしまいますが、その分、対象者がどこで回答につまずきやすいかが見えにくくなってしまう面もあります。

郵送調査は、アナログの制約が多い分、対象者の立場に立った調査票づくりに真剣に取り組まざるをえませんが、これはデメリットではなく、“対象者とのコミュニケーション”であるという市場調査本来のあるべき姿です。

調査期間が長いことで、対象者とのコミュニケーション機会を増やせるのが郵送調査

郵送調査は時間がかかることもデメリットと考えられています。

しかし、それ故に調査期間の途中でも、お礼兼督促状を送ったりすることで対象者との接点が持てます。

海外では、協力依頼状(ハガキ)を事前に送ってから調査票の送付、その後何度か督促を行うなど、対象者に5回は接触することが提唱されたりしていますが、これは回収率を上げるためだけでなく、対象者とのコミュニケーション機会と捉えているようにも感じられます。

一例ですが、たとえばお客さまのRFM分析をしている企業であれば、R:Recency(直近の購入日)とM:Monetary(累計購入額)からお客さまを4つの層に分類して、それぞれの層の満足度やニーズを詳しく知りたいと思われることでしょう。通常、以下の図のBやCのお客さまへのアプローチは簡単なものではありませんが、丁寧なコミュニケーションができる郵送調査であれば、BやCのお客さまからの回答も期待できます。

郵送調査では、RFM分析で直近の購入がないお客さまへのアプローチも可能

郵送調査はマーケティングリサーチの実施方法としてやや古臭いイメージがあるかもしれません。しかし、トラディショナルな手法であるがゆえに、長年にわたる様々な研究や経験の蓄積があり、市場調査の本来の役割を考える上でも見直す価値があります。

対象者の立場に立ったアプローチや回答しやすい調査票で気持ちよくリサーチに協力してもらうように工夫することは、回収率やデータ精度の向上に結び付くだけでなく、調査主体、すなわちあなたの会社の評価を高めることにもつながるでしょう。

【郵送調査を上手に活用するための7つのポイント(まとめ)】

郵送調査の課題と対策7つのポイントまとめ

郵送調査は、“対象者とのコミュニケーション”という市場調査の役割を再確認させてくれる調査です。

ノウハウ資料:インターネット調査との併用で互いのメリットが得られる「郵送調査」

郵送調査とインターネット調査を併用することで、両者のメリットを生かした魅力的な調査手法にすることができます。
以下のボタンをクリックすると無料ダウンロードページが表示されますので、是非ご覧ください。


[おすすめ記事]

インターネット調査が選ばれる理由
上手なアンケート作成のコツ~答えにくい質問にも正直に答えてもらう方法
調査のお値段と価値
顧客満足度(CS)調査を上手に活用していく7つのポイント~成長する会社の調査活用方法



市場調査/アンケートについて、どんな情報をお探しですか?

市場調査についてざっくりと知りたい
自分でアンケート調査をするための参考情報が欲しい
問題解決に役立つ調査手法を知りたい
専門的なリサーチ・ノウハウを知りたい