withコロナ時代、今まで以上に求められる労働生産性の向上

withコロナ時代、今まで以上に求められる労働生産性の向上

20年4-6月期のGDPは戦後最悪のマイナス成長

先日発表された2020年4-6月期の実質GDP速報値(季節調整済)は、年率でマイナス27.8%と戦後最悪の落ち込みとなりました。

四半期実質GDP

もっとも、7-9月期は急回復して2桁のプラス成長になるとの予測が大勢ですし、今年のGDPが実際に3割近くも減少するわけではありません。

政府の緊急経済対策も、一次・二次の補正予算で事業規模は200兆円(GDPの4割!)に上るとされ、さまざまな批判はありつつも景気の下支えに一定の効果があるでしょう。

とはいえ、昨年10月に消費税増税があってから3期連続のマイナス成長で、それ以前の水準に戻るには、仮にコロナ禍が早期に終息したとしても3~4年かかると言われており、しばらくは厳しい経済状況が続くことを覚悟する必要がありそうです。

GDPの半分以上は個人消費

GDPを支出側からみると、個人消費が過半数を占めます。

実質GDP(支出側)の構成

※4-6月期GDP速報値を基に算出

人口減少と高齢化の流れは個人消費を軸にした経済成長に逆風ですが、さらにコロナ禍で外出が控えられ、インバウンドも当分期待できない中で消費需要を喚起していかなければなりません。

マクロ的には、GDPは生産、分配、支出それぞれの側面から算出されて同額になります(「三面等価の原則」)。

GDPの三面等価

個人消費を中心とする支出側のGDPを増やしていくためには、分配側からみると賃金面のバックアップが必要となってきます。

4-6月期は、賃金の総額である雇用者報酬も前期比で過去最大の下げ幅となりました。

10万円の特別定額給付金などの所得補填は継続的に期待できるわけではありませんので、このまま賃金低下が続くと成長の大きな妨げとなります。

そして、分配側の賃金上昇を実現するためには生産側の付加価値増が不可欠で、そのためには労働生産性の向上が今まで以上に求められてきます。

日本の生産性は他の国に比べて低いのか?

OECDによる労働生産性(就業者1人当たり)の国際比較によると、日本は加盟国中21位(先進7か国の中では最下位)となっています。

OECD加盟国の労働生産性

アイルランドとルクセンブルクが突出していますが、この2か国は優遇税制(国際的な批判により廃止の方向)でグローバル企業を誘致したり、国策として金融など付加価値の高い産業を集積してきた背景があります。

国の生産性は

GDP/就業者数(×労働時間)

で表されますが、産業構造(業種や企業規模別の分布状況)、税制や労働法制、失業者や外国人労働者の数等に左右されます。

従って、国際比較の数字は各国の労働者の質を表すものとは言えませんし、あまりランキングを気にする必要はないでしょう。

ただ、世界ランクに関わらず、労働生産性を向上し、産み出す付加価値を高めていかなければ、厳しさを増す経済の苦境を脱することはできません。

日本における企業規模別、業種別の労働生産性

現在、約359万者(社ではありません)ある日本の企業の85%は従業員が数人の小規模企業です。そして、残りの15%のほとんどが中規模企業ですが、ここで全従業者の半数近くを雇用しています。大企業の数は0.3%にすぎませんが、付加価値額では全体のおよそ半分を占めています。

「付加価値額/従業者数」で労働生産性をみると、大企業の生産性が圧倒的に高く、企業規模が小さくなるほど生産性が低くなっている状況です。

規模別の企業数、従業者数、付加価値額の内訳

出典:2020年版「中小企業白書」

中小企業基本法による中小企業者の範囲と小規模企業者の定義

一方、業種別にみてみると、製造業に比べると非製造業の方が労働生産性が低いのですが、製造業では企業規模による差が大きいのに対し、非製造業においては大企業も生産性が伸び悩んでいるようです。

特に、コロナ禍の打撃も大きい「宿泊業、飲食サービス業」は深刻です。

企業規模別・業種別の労働生産性

出典:2020年版「中小企業白書」

“自前”にこだわらず積極的に業務の外部化を進めて生産性向上

労働集約的なサービス業は、製造業に比べると設備投資による省力化も限りがあります。

基本的には小さな業務効率の改善をコツコツ積み重ねていくわけですが、それだけでは生産性の大幅な向上は望めません。

ある業務の人員が足りなくなった時に、新たに採用して補充するのではなく、他の従業員に分担してもらう。これだと一見、生産性が上がるように思えます。

しかしながら、人手不足だからといって従業員に非効率な複数業務を課して倍の負担をかけても労働生産性は2倍にはならないものです。

必要な人材の確保が難しい場合、すべてを自前で賄おうとせず、アウトソーシングやITツールの活用によって業務をスリム化し、コア業務において貴重な社内人材のパフォーマンスを最大限に発揮できる労働環境を作っていくことが、結果的に生産性の向上につながります。

経済産業省の調査によると、アウトソーシングなどビジネス支援サービスを利用した企業のうち、7~8割は「コスト削減」や「業務の効率化」、そして「経営資源のコア業務への集中」などの効果について「期待以上」「期待通り」と回答しています。

ビジネス支援サービスで得られた主な効果

出典:平成25年経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査

少し古いデータになりますので、当時のサービスは人事や経理に関する事務処理などBPO(Business Process Outsourcing)が中心だったと思われますが、近年では経営上の意思決定に関わる高度な分析を外部委託するKPO(Knowledge Process Outsourcing)も急速に伸びてきており、アウトソーシングを活用する業務領域も増えています。

BPOとKPOの比較表。KPOはコンサルティング、マーケティングリサーチ、データサイエンスなど。

また、営業活動についても、コロナ以前のような訪問機会がなくなってくると、KKD(勘・経験・度胸)だけでは通用しなくなり、今まで以上にマーケティングデータを活用していく必要もでてくるでしょう。

ただ、正しくデータ収集・処理を行って有効な分析結果を導き出すのは“言うは易く、行うは難し”です。

まずは自分達で取り組んでみるとしても、思うような成果があがらないとお悩みの場合には、思い切って外部の専門サービスの利用に切り替え、社内の経営資源をコア業務に集中することで、生産性や付加価値の向上に取り組むことを検討されてはいかがでしょうか。

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