地球は表面のおよそ70%が水に覆われており“水の惑星”といわれます。
とはいえ、地球上の水の総量は約14億k㎥で、地球の体積(約1兆833億k㎥)に比べるとほんの僅かです。上の画像は、アメリカ地質調査所(USGS)が地球上の水を球の形に凝縮して地球の大きさと比較した画像ですが、ちょっと衝撃的です。

さらに、地球上の水の97.5%は海水で、残り2.5%の淡水もほとんどが南極や北極の氷や氷河ですので、河川や地下水などから私たちが生活のために摂取可能な水の量は全体のごくわずか0.01%にすぎないのです。

日本は、年平均の降水量が1,690mm/年1)と世界平均のおよそ2倍で、水資源に恵まれているといえますが、国民一人あたりが1年間に使用できる水の量は約3,400㎥/年2)となり、こちらは世界平均の半分以下になってしまいます。

1) 気象庁が基準値としている1981〜2010年の30年平均値
2) 年間の総雨量から蒸発分などを差し引いて人口で割った値

さて、人間に必要な飲み水は1日あたり2~3リットルといわれています。また、炊事や洗濯などの生活用水として最低でもその10倍程度の水が必要なのですが、日本人は平均で100倍近い300ℓ/人の生活用水を毎日使用しています。

生活用水以外にも農業用水や工業用水として水は利用されますが、日本の場合は水の年間使用量全体の約3分の2を農業用水が占めます。日本では水田かんがい用の水需要が大きいのですが、生活用水や工業用水に比べ農業用水の割合が高いのは他の国も同様です。
そこで、農業に大量の水が必要とされるのであれば、農産物を輸入するということは本来自国での食料生産に使われるはずだった水を間接的に輸入していることになるのでは、という「バーチャル・ウォーター」の考え方が生まれました。

平成27年版日本の水資源の現況について

日本は食料自給率(カロリーベース)が40%程度の食料輸入大国ですから当然バーチャル・ウォーターの輸入量も多く、推計によっては年間の水使用量とほぼ同じ800億㎥に達するともいわれています。
バーチャル・ウォーターは算出の前提条件によって推計値に幅がありますが、ご参考までに、東京大学生産技術研究所の沖教授らが算出した品目別推計値の一部をご紹介します。

農畜産物1トンを生産するのに必要なバーチャル・ウォーター量(単位:㎥)

農畜産物1トンを生産するのに必要なバーチャル・ウォーター量(単位:㎥)

肉類に関してはエサとなる飼料の生育に使われる水も含まれるため値が大きくなります。一般的に栄養価の高い食品ほど水の消費量は多く、大雑把な目安としては熱量1キロカロリーあたり1リットルの水が必要とのことです。

なお、バーチャル・ウォーターは農産物だけでなく工業製品にも援用することができますし、バーチャル・ウォーターと似た概念として、生産過程で排出された汚染水も含め水環境全体に与える影響を測る「ウォーター・フットプリント」という考え方も注目されています。

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