「アンケートの分析で使える多変量解析手法」第3回目の今回は「コレスポンデンス分析」です。

コレスポンデンス分析は、似た者同士を近くに配置して、関係性をわかりやすく見つけるための分析です。
コレスポンデンス分析を行うことにより、クロス集計表を眺めるだけでは掴みづらい全体的な傾向、質問項目や対象者のセグメント別の特徴などを視覚的に捉えることができます。

【コレスポンデンス分析の例】
以下は、弊社にて実施した調査のクロス集計結果です。
さまざまな分野のリストを提示して、「今後積極的にお金を使いたい分野」を複数回答方式で選んでもらった結果について、性別×年代のセグメント別にクロスしたものです。

クロス集計結果からは、「国内旅行」は男女とも60歳以上で特に高いとか、「衣類・ファッション」については男女差が大きいといったようなことはわかりますが、複数の分野を視野に入れると、セグメントとお金を使いたい分野の関係性を把握するのは非常に難しくなります。
このような場合に、コレスポンデンス分析で以下のような視覚化を行うことで、セグメント間・分野間での傾向の類似性から、それぞれのセグメントと分野との間にどのような関係があるのかを確認することができます。

「アンケートの分析で使える多変量解析手法」シリーズの第1回目でご紹介した因子分析や、第2回目でご紹介したクラスター分析とは異なり、コレスポンデンス分析は、ローデータが手元になくても、クロス集計表があれば分析することができますので、国や企業のホームページ上に掲載されている調査結果にも適用することができます。

以下は、川崎市のホームページに公開されていた都市のイメージ評価についての調査結果から、コレスポンデンス分析を行ったものです。
川崎市と大田区は非常に近い位置にプロットされており、「活気がある/利便性がよい」といった似通ったイメージを持たれ、「閑静・伝統」イメージの鎌倉市とは対極のポジションにあることがわかります。

このようにコレスポンデンス分析結果をマッピングすることによって、クロス集計表を眺めるだけではとらえきれない全体像を把握することができます。そして、縦軸、横軸それぞれの意味を解釈することにより、どのような側面がポジショニングを規定しているのかを把握し、現状のポジションを確認して、目指すべき方向性を特定することができます。
競争の厳しい市場で競合とはひと味違った特徴を打ち出したいとか、ブルーオーシャンを見つけたいといった時にも有効となる分析手法です。

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