皆さんは「発酵食品」と聞いて何を思い浮かべますか。
味噌、醤油、納豆、漬物、チーズ、ヨーグルト・・・私たちの身近には発酵食品が溢れています。

発酵食品の起源は非常に古く、ワインやチーズなどは西アジアにおいて5,000年以上前から作られていたと考えられています。
日本においても、お酒は縄文時代から飲まれていたようですし、平安時代には味噌、醤油、豆腐、納豆といったお馴染みの食品は既に一通り存在していた記録が残っています。
はじめは偶然の産物だったのでしょうが、時には生命の危険も冒しつつ人類の食生活を豊かにしてきた先人の知恵と勇気には感謝の気持ちを抱きたくなります。

日本では独自の発酵食文化が育まれてきましたが、海外でもチーズやワインだけでなく特徴的な発酵食品がたくさんあります。
キムチやザーサイ、ピクルスは日本でもポピュラーですが、ニョクマムやナムプラー等の魚醤、ナタ・デ・ココも発酵食品です。“世界一臭い食べもの”といわれるスウェーデンの「シュール・ストレミング」はご存知でしょうか。ニシンを発酵させた缶詰ですが、加熱殺菌していないため缶詰の中でも発酵が進み強烈な匂いを発生させます。
そもそも「発酵」とは、酵母・細菌などの微生物が有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生ずる過程のことで「腐敗」も同じ原理です。生成される物質が人間にとって有益な場合には「発酵」、有害の場合には「腐敗」となるわけですね。
発酵の効果としては、

・食品の保存性が高まる
・味わい深く、風味豊かになる
・善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれる
・免疫力や抗酸化作用が強くなる

等が挙げられます。
発酵食品に多く含まれる酵素は、アミノ酸やビタミンなど健康に必要な栄養成分を体内で増やしてくれるのですが、熱に弱いため発酵食品はなるべく加熱処理せずに食べるのが望ましいようです。
また、発酵食品に含まれる乳酸菌には植物性と動物性があります。
納豆や味噌、漬物など日本の伝統的な発酵食品に多く含まれる植物性の乳酸菌は、胃酸などの消化液に強いため、多くが生きたまま腸に届いて吸収されます。
一方、チーズやヨーグルト等に含まれる動物性の乳酸菌は、酸に弱いため腸に届く前にほとんどが死滅してしまいます。そのため、ヨーグルトを食べるのは食後や空腹時など胃酸があまり出ていないタイミングがよいと言われてきました。ただ、死んでしまった乳酸菌も善玉菌のエサとなって整腸作用を促進する働きがあることが分かっていますし、最近では生きたまま腸に乳酸菌を届けるヨーグルトの研究開発も進んで商品化されています。

意外に思われるかもしれませんが、川崎にも発酵食の文化があります。
川崎大師の「久寿餅」は葛粉ではなく小麦粉のでんぷん質を発酵させて作られています。
また、市内には醤油の醸造所もありますし、地ビールも生産されています。
ちなみに、川崎産の食材を使った新たな発酵食品のレシピコンテストや川崎発酵弁当の開発、発酵に絡めたイベント等を開催して“食のまち・かわさき”をアピールする「発酵都市かわさきプロジェクト」は市のイメージアップ事業に認定されています。

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