政府は、新型コロナ対策のマスク着用について、専門家からの提言をふまえ「屋外で会話がなければマスクは不要」との見解を発表しました。
新規陽性者はまだ1日4万人を超えるような日もあるものの、重症者数は全国で100人程度にまで減って落ち着いてきましたし、ワクチンの3回目接種も6割近くまで進んでいます。

ワクチン接種状況

これから暑くなる中、マスクをしないことによる屋外での感染リスクよりも、熱中症などの危険を避けるべきとの判断でしょう。マスク生活も3年目に入り、ようやく脱マスクに向かっていくのでしょうか。

昨年末にライオン株式会社が実施した調査によると、「コロナが終息するまで、外出時はマスクをする」という人が64%でした。

ライオン調査

どういう状況になったらコロナの「終息」といえるか?という問題はありますが、それよりも興味深いのは「コロナが終息してもマスクをし続ける」という人が4割近くもいたことです。
コロナ禍での調査ということもあり、実際に多くの人がマスクをしなくなった社会でマスクをし続ける人はそれほど多くないように思いますが、それでも一定数はずっとマスクをはずさない可能性があります。

ただし、コロナ終息後もマスクをはずしたくないというのは、ウィルス感染対策というよりは、エチケットとして習慣化してしまった、あるいは“だて”マスクとして素顔を隠したい、などの意識が大きいでしょう。
現在でも、飲食店の店内でマスクをはずして大声で会話しているのに店を出る時はしっかりマスクをつける人達の様子などをみると、感染リスクよりも周囲の目を気にしてマスクをしてるような感じがします。

もともと日本ではマスク着用は義務ではありませんし、行動制限のない現在はマスクをしなくても別に構わないわけですが、下図のようにお互いの様子をうかがいながら、結局マスクをはずせない状況が続いていると考えられます。

マスクのナッシュ均衡

多くの人にとってはマスクをしないですむ方が望ましいでしょうし、一人ひとりは特に屋外でマスクすることにほとんど意味がないことは理解しているのですが、それでも

自分:マスクしない
他人:マスクする

と自分が先頭きってマスクをはずすのは、周りから白い目で見られそうでイヤだ。
一方、

自分:マスクする
他人:マスクしない

の場合、自分はマスクしているのに、と相手を不快に感じてしまう。
自分も他人も同様に考えることにより、結局「ちょっと面倒だし暑苦しいけど、周囲の目を気にするよりはマスクした方がマシ」と

自分:マスクする
他人:マスクする

状態に落ち着きます。
お互いが一緒に行動を変えれば最善の状況になるのに、自分だけが行動を変えると損してしまうと思うために行動を起こせずにいるわけです。

日本における同調圧力の強さというのは、別の言い方をすると、失敗に不寛容な社会のため何事も積極的にリスクを取りにくい、という面もあるでしょう。
弊社で分析に関わったマルチカントリー調査でも「なかなかチャレンジしない日本人」という国民性がうかがえることが多いです。

従って、政府が(時と場合によって)マスクをはずしてもよいとアナウンスしても、脱マスクの動きはなかなか進まないと思います。
学校とか屋外のイベント会場とか、集団規模で一斉にマスクをはずす動きが広まれば、個人でも後に続く人が増えてくるかもしれません。

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