商品開発のプロセスと市場調査

商品・サービスの開発から、集客、顧客維持へと続くプロセスで、市場調査を活用してポテンシャルを見極め、有望なアイデアに開発資源を集中していくことができます。

商品開発のプロセス

商品・サービス開発の起点となる「市場実態把握」「インサイト探索」「ニーズ理解」は、開発の方向性を定めるうえで特に重要な課題です。

アンケートなどを取り、「こういった商品なら欲しい」といったデータが欲しい。

新商品を開発、発売するにあたって、現状どんな商品がどんな人に売れているか、どういう風潮なのか、市場調査を行っていきたい。

上記は、弊社にお寄せいただくお問い合わせの例ですが、ご自身でWeb上の情報などを調べて「自分としては、グループインタビューがよいと思う」と続ける方もいます。

ただ、優秀なモデレーターを起用しようとするとグループインタビューの費用はとりわけ高額になりがちで、予算の要素は極めて高いハードルです。そのため成功体験を持つ一握りの大企業を除いて、多くの企業が気軽に活用できる手法ではありません。

そこで、グループインタビューに比べるとより身近な調査方法であるWebアンケート調査を利用して、消費者ニーズを定性・定量の両面で捉えていくアプローチを3つ紹介します。

① 現状の不満や不都合から潜在的な未充足ニーズを見つける方法

消費者ニーズを定性的に探索して分析するために、エピソード記述質問を行います。

具体的には、自社の商品やサービスに関連する生活分野のリストを提示して、対象者が現在感じている不満や不都合を選んでもらいます。そして、対象者が「最も面倒だと感じたり、困ったりしていること」について、具体的なエピソードを交えて記述してもらいます。

不満や不都合を抽出するエピソード記述法

エピソードなどが記述された定性情報について、アフターコーディングやテキスト分析を行い、消費者が解決してほしいと感じている問題=「未充足ニーズ」を類型化、構造化し、さらにそれを定量的な情報にも変換します。

顧客セグメント別に、類型化した「未充足ニーズ」の出現割合を集計し、ターゲットとする顧客セグメントで強くあらわれるものから優先して、不満・不都合の背景要因を想定して、解決のための実現方策(アイデア)を検討していきます。

アフターコーディングによる定量化

② なんとなくぼんやりとした雰囲気があって、そろそろ顕在化しそうなニーズを見つける方法

なんとなくぼんやりとした雰囲気があって、そろそろ顕在化しそうなニーズは、現状の固定観念がフタをしてしまってなかなか表に出てこれないのかもしれません。

外国の文献には、フタをはずすのに有効な「魔法の杖」質問というのが紹介されています。
「もし、魔法の杖を振ってなんでも変えられるとしたら・・・」と問いかけることで、時間やお金の制約を考える必要をなしにするという方法です。

当社でも同じような方法を紹介しています。
「魔法の杖」の代わりに「ドラえもんのポケット」や「なんでもできるAI」などの万能感のあるものを使って制約=フタを取り払う方法です。

最初に、特定の製品やサービスについて面倒や残念に感じていることを挙げてもらったうえで、以下のような質問をします。

もし、なんでもできるAIが、あなたが今、面倒だと感じたり、困ったりしていることを解決する手伝いをしてくれるとしたら、どのようになるとよいと思いますか。

現状の延長線上にある未来を描く「フォアキャスティング」の考え方に対して、理想とする未来の姿を描いたところから逆算して実現のための道筋を考える「バックキャスティング」の発想方法を応用したアプローチです。
アイデアが天から降ってくるのを待つよりも、具体的な成果を手にできる可能性があります。

クリエイティブな対象者を集めることができれば、n=50くらいのWEBリサーチでも十分に参考になる情報を得ることができます。

③ 顕在化している未充足ニーズを見つける方法

3つ目の既に顕在化している未充足ニーズを見つける方法としては、期待度や重視度と満足度を組み合わせて、期待・重視しているのに満足していないものを見つける分析方法があります。

満足度調査で使われるCSポートフォリオ分析などもこのタイプのアプローチです。

また、「気に入っている点やもっともこういうことができたらいい/こうしてほしい」を聞き出す以下の質問方法では、すでにある程度充足しているニーズをさらに強化するヒントを定性的に探ることができます。

〇〇〇について気に入った点や、ここをもっとこうしてほしいとお考えの点がありましたら、具体的に教えてください。

他にも商品の開発やリニューアルに際しての市場調査の実践法について、リサーチサービスのページで詳しくご紹介しています。
※画像をクリックすると、説明ページが開きます。

顧客目線のチェックで差をつける: 成功確率を高める商品開発調査

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