アンケートは実施しているのに、「課題が見えない」「結局どうすればいいかわからない」「意思決定に活かせていない」――こうした状態に陥っていないでしょうか。

実はこの問題、多くの企業で共通しています。

原因はシンプルです。アンケートが「意思決定のため」に設計されていないからです。

アンケートの本来の役割

アンケートの役割は、単に満足度を測ることではありません。
本来の目的は、「何を変えるべきかを判断できる状態をつくること」です。

しかし実際には、

  • どの程度満足しているかだけを聞いている
  • 担当者の評価だけに焦点を当てている
  • 自由回答が抽象的で使えない

といったケースが少なくありません。

これでは、データがあっても意思決定にはつながりません。

なぜ意思決定につながらないのか

多くのアンケートが機能しない理由は、次の3つに集約されます。

① 評価要因が網羅されていない

たとえばコールセンターの調査で、「オペレーターの対応だけを聞く」のでは不十分です。

クレームの伝達が目的の場合や、トラブル解決が目的の場合、オペレーターの対応方法が同じでも、受け取り方や評価は異なる可能性があります。
その他にも、電話のつながりやすさ、営業時間、FAQの充実度といった要素にも影響されます。

② 質問の粒度が適切でない

アンケートの質問が、細かすぎて回答できないのも、抽象的すぎて意味がないのも問題です。

重要なのは、「改善アクションに直結する粒度」で設計することです。

③ 自由回答が“使えない”

「ご意見をお聞かせください」だけでは、具体的な改善ヒントは得られません。

必要なのは、行動や体験に紐づいた具体的な情報です。

意思決定につなげることが大切

ここで重要なのは、アンケートは単体では意味を持たないという点です。

アンケートはあくまで、意思決定の前提をつくるための装置です。
たとえば、どの顧客層が、どの接点で、どの程度の不満を持ち、どの要因が影響しているのか?ここまで見えて初めて、「何を優先して改善すべきか」が判断できるようになります。

「店内が寒い」問題との関係

前回のコラム『 “一部の声”で判断していませんか?──意思決定の質を高めるリサーチ活用』でご紹介したように、「一部の声」に基づいて判断してしまうと、全体最適を崩すリスクがあります。

アンケート設計が不十分な場合も同様です。
不完全なデータは、誤った意思決定を招きます。

つまり、「勘に頼る意思決定」と「設計不十分なデータに基づく意思決定」、この2つは、本質的に同じリスクを持っています。

ではどうすればよいか

重要なのは、「意思決定から逆算してアンケートを設計すること」です。

具体的には、

  • どの意思決定を行うのか(例:改善優先順位)
  • そのために何を把握する必要があるのか
  • その情報を取得する質問設計になっているか

この順番で設計する必要があります。

よくある限界

ただし実務では、

  • 何を聞けばよいかわからない
  • 設問は作れるが構造化できない
  • 分析しても示唆が出ない

といった課題に直面するケースが多く見られます。

結果として、アンケートはあるが、意思決定は変わらないという状態になります。
単なる「調査実施」ではなく、意思決定の質を高めるためのリサーチ活用が重要です。

当社では、調査目的の整理にはじまり、意思決定に直結する設問設計、データ分析と示唆抽出、そして、改善施策への落とし込みまでを一貫して支援しています。

アンケートは実施しているが、どのように活かせばよいかわからない――そのような状態に心当たりはありませんか?

現状の整理だけでも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

本コラムでは、「改善につながる聞き方」について解説しました。
意思決定の質を高めるためには、「正しく情報を取得すること」「なぜリサーチが必要なのかを理解すること」も重要です。

これらを体系的に整理した以下のコラムも、あわせてご覧ください。

アンケート/市場調査一般
その意思決定、本当に“全体”を見ていますか?──リサーチで判断の質を変える方法
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