文化庁の発表によると、東京・上野にある「国立西洋美術館(本館)」が世界遺産に登録される見通しとのことです。

世界遺産に関する調査機関であるICOMOS(イコモス)が「登録」勧告をしたことにより、7月に開催される世界遺産委員会で正式に決定すれば、国内では20件目の世界遺産登録となります。

世界遺産はどうやって決まるの?

世界遺産は、古代エジプト遺跡の保護運動などをきっかけに1972年に「世界遺産条約」が採択され、「顕著な普遍的価値を有する」有形の不動産を対象に1978年から世界遺産登録が始まりました。ちなみに、初年度はガラパゴス諸島やイエローストーン国立公園など12件が登録されています。

日本は1992年に「世界遺産条約」を締結し、翌1993年には姫路城や屋久島など4件が日本で初めて世界遺産に登録されました。

なお、世界遺産には、「文化遺産」「自然遺産」、両者の価値を兼ね備えた「複合遺産」の3種類があり、2015年時点の登録件数は

文化遺産: 802件
自然遺産: 197件
複合遺産: 32件

の計1,031件となっています。
2013年には富士山が待望の世界遺産となりましたが、こちらは自然遺産ではなく文化遺産として登録されています。

世界遺産は近年、登録数が増えすぎ、あるいはヨーロッパ地域に偏りすぎ、等の批判もあり、年間の審査件数を制限したり、まだ世界遺産のない国あるいは「産業遺産」「20世紀建築」「文化的景観」といった新分野の登録を優先する方針になっています。

さて、どのようにして世界遺産は決定されるのでしょうか。

「世界遺産条約」の締約国政府は、まず世界遺産として登録したい物件を「暫定一覧表」としてUNESCO(ユネスコ)に提出します。日本の場合、地方公共団体などからの提案を文化庁で審議して「暫定一覧表」に記載する案件を決めます。次に「暫定一覧表」の中から登録条件が整ったと思われるものを世界遺産委員会に推薦します。その後、専門機関(ICOMOSなど)の調査に基づく勧告を受け、原則年1回開かれる世界遺産委員会において登録の可否が決定されます。

ICOMOSなど専門機関の評価と世界遺産委員会における最終判断が異なることはあるのですが、「登録」勧告の場合にはまず間違いなく登録決定となるため、今回「国立西洋美術館(本館)」についても世界遺産に登録見込みと報じられたわけです。

「国立西洋美術館(本館)」は、近代建築の巨匠といわれるフランス人建築家ル・コルビュジエの設計により1959年(昭和34年)に完成した建造物で、国の重要文化財に指定されています。今回は「国立西洋美術館(本館)」単独ではなく、フランスを中心に世界中に存在するコルビュジエの代表的な17作品について7カ国共同で世界遺産候補として推薦しているもので、これまでにない世界遺産の位置づけとなりそうです。

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