今年の夏は参議院議員選挙があります。
今のところ投票日は未定ですが、7/28が任期満了日ですので、その前30日以内に選挙が実施されます。

参議院議員の定数は248人で、今度の選挙では半数の124議席に欠員補充の1議席を加えた125議席を争います。

ちなみに現在の参議院の勢力図は以下の通りです。

参議院議員数

昨秋の衆院選で少数与党となった自民・公明両党としては、参議院ではなんとしても過半数を維持したいところでしょう。

内閣支持率と政党支持率を足した数字から政権の安定度を占う「青木率」は、50を下回ると危険シグナルとされています。
石破内閣の支持率は、政権発足以来、3~4割で低迷しており、政党支持率を合わせた青木率も前回の衆院選時を10ポイント以上下回っていますので、このままでは相当の苦戦を強いられそうです。

青木率の推移

出典:NHK「政治意識月例調査」

選挙結果には投票率も大きく関わってきます。

前回(2022年)の参院選の投票率は52.1%でなんとか5割を超えました。
ただ、争点による多少の上下はあっても、インターネット投票などを含め選挙制度が抜本的に変わらなければ、投票率が大きく上昇することはないでしょう。
自民・公明両党の組織票は以前ほど強くないと思われますが、それでも投票率が低ければ与党に有利に働く可能性があります。

参院選の投票率推移

なお、前回の参院選の投票率を年代別にみると、60代以下は年代が下がるほど投票率が低くなっており、投票者数(=有権者数×投票率)ではさらに差が大きくなるため、高齢者の政治的な影響力がますます強まってきています。

年代別投票率

「有権者数」:令和2年国勢調査人口
「年代別投票率」:総務省発表資料

さて、近年は国政選挙のたびにテレビ各局で選挙特番を放送し、競うように開票状況を伝えています。
中には、投票が締め切られる午後8時直後に、開票率0%の段階で「当選確実」のテロップを流すところもあります。

これは、報道各社が実施する事前調査や投票所での出口調査の結果などから、その候補者の当選が確実視されるからです。
ただし、衆院選の小選挙区や、参院選でも選挙区から1人しか当選しない一人区の場合は当選者を比較的予想しやすいものの、改選定数が2人以上の複数人区において当落線上で数人が競っていると当てるのはかなり難しいようです。

また、期日前投票の増加は出口調査の精度に影響してくるかもしれません。
期日前投票は2003年11月に導入されたのですが、回を追うごとに利用者が増加しており、前回の参院選では2,000万人近くに達し、投票者全体の4割弱を占めています。

参院選の期日前投票の推移

出典:総務省「参議院議員通常選挙結果調」

全体の投票率が低下傾向にある中で期日前投票が増えてきているということは、今まで投票に行っていなかった人が期日前投票のおかげで選挙に行くようになったというよりは、これまで選挙に行っていた人達が期日前投票にシフトしていると考えるべきでしょう。

期日前投票の出口調査はコストや会場の都合でなかなか実施できないようですが、投票日と期日前投票で投票行動に違いがあるかどうか定期的に検証していきたいところです。

【次はこちらもおすすめ】

リサーチノウハウ
新聞社などが発表する内閣支持率に差があるのはなぜ?
新聞社などが発表する内閣支持率に差があるのはなぜ?
政治・社会
参院選の前にドント方式と青木率の話
アンケート/市場調査の作成・集計・分析
アンケート集計・分析・グラフ化の完全ガイド|データ活用の手法とポイント
アンケート集計・分析・グラフ化の完全ガイド|データ活用の手法とポイント