以前、大阪大学で「所得税と消費税の好みに対する選択実験」という経済実験が行われました。
所得のすべてを消費にまわすという前提で、

「所得税20%」 or  「消費税25%」

どちらか一方だけ適用されるとしたら、あなたはどちらを選ぶでしょうか?

仮にあなたの所得が100万円だとしましょう。
所得税(20%)を選んだ場合、税額は20万円になりますね。
税率だけをみると消費税(25%)の方が税金が高くなる気もしますがどうでしょうか。
所得の100万円を税込みの消費で使い切るとすると、購入できる商品の税抜き価格は80万円になります。

80万円+消費税20万円(80万円×0.25)=100万円

つまり、消費税(25%)を選んだときも税額は20万円となり、所得税20%の場合と同額になるわけです。
従って、消費税が25%未満であれば、所得税の20%より税率が高くても税金自体は少なくなる計算なのですが、実験では例えば<所得税:20%、消費税:22%>のケースだと税率の低い所得税の方を選択する傾向がみられたそうです。

消費増税(8%→10%)は過去2度にわたり延期され来年10月まで先延ばしされています。安倍首相は現時点では「(今度は)予定通り実施する」と表明していますが、反対意見も根強く、時期が近づけばまた議論が白熱することは間違いありません。さきの実験結果でも高い税率が数字だけで忌避される心理が表れていますし、税率が10%と2桁になるというのはそれだけで実際の負担増以上に痛税感が大きくなると思われます。

それでは、次に

「10%OFF」 or 「10%ポイント還元」

なら、あなたはどちらを選ぶでしょうか?

定価1万円の商品を購入する場合、「10%OFF」なら9千円で買えますね。
一方、「10%ポイント還元」だと1万円を支払った上で千円分のポイントが与えられます。すなわち、「10%OFF」と「10%ポイント還元」では

10%OFF: 9,000円支払って、10,000円分の価値を得る
10%ポイント還元: 10,000円支払って、11,000円分の価値を得る

の違いがあり、「10%ポイント還元」の方の割引率は

10,000÷11,000=0.909・・・ ⇒ 割引率は約9%

となりますので、「10%OFF」の方がおトクであることが分かります。

日常生活では直感的な選択が意外に正しいことも多いですが、見かけの数字に惑わされない冷静な判断力も持ちたいものですね。

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