みなさんは「生物季節観測」という言葉を聞いたことがありますか?
植物や動物の状態が季節によって変化する現象を生物季節現象といい、その現象を観測することを「生物季節観測」といいます。
気象庁では、全国の気象官署で統一した基準により【うめ】・【さくら】の開花した日、【かえで】・【いちょう】が紅(黄)葉した日などの「植物季節観測」や、【うぐいす】・【あぶらぜみ】の鳴き声を初めて聞いた日、【つばめ】・【ほたる】を初めて見た日などの「動物季節観測」を行っています。
この「生物季節観測」の目的は生物に及ぼす気象の影響を知るとともに、その観測結果から季節の遅れ進みや気候の違いなど総合的な気象状況の推移を知ることにあります。(気象庁や各地気象台のホームページの説明を筆者にてまとめたもの)
以下は、横浜地方気象台のホームページに公開されている生物季節観測結果の抜粋です。
3月中旬のこの時期になると、テレビや新聞で民間気象事業者によるさくらの開花予想(気象庁によるさくらの開花予想は、民間気象事業者から同等の情報提供が行われるようになったとの理由から2009年で終了)を目にする機会が多くなってきますね。
どの予想が当たるのかを決める形になるのが気象庁によるさくらの開花宣言ですが、各地気象台等が定めた標本木で5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日が「開花日」で、標本木で約80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日が「満開日」となります。
主な民間気象事業者から発表されている今年の開花予想は以下の通りです。
ちなみに関東地方での開花から満開までの日数はだいたい1週間程度で、さらに満開から1週間程度で花が散るそうです。
以下は、2000年以降昨年までの東京・横浜でのさくらの開花日と満開日です。
【開花から満開までの期間:東京】
さて、私たちに春のおとずれを知らせてくれるさくらの標準木ですが、「老齢化」などによって世代交代を余儀なくされることがあります。
ちょっと調べたところでは、樹齢20~30年の若い木の中から新しい標本木の候補を選び、その木を副標本木として開花日と満開日の観測を続け、標本木との間で観測結果に大きな差がないことを確認したうえで、標本木を変更するようです。
市場調査でも同じような考え方をすることがあります。
たとえば、それまで郵送方式で実施していた調査をインターネット調査に変更しようとする場合、郵送とインターネットで同じ内容の調査を実施して、調査結果に大きな違いがなければ調査方法を変更してもよさそうだと考えるわけです。
さくら場合のソメイヨシノは「クローン植物」ですが、我々人間は一人ひとりが強烈な個性を持った多様な存在ですから、このような移行可能性を検証する調査では対象者の同質性を確保することが必須となります。
愛でる対象のソメイヨシノは「クローン植物」ですが、その愛で方は場所取りしての「集団花見」から「ひとり花見」「プチ花見」「エア花見」などなど年々多様化してきているようですね。
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