先日、テレビを見ていたら、中国人観光客が踏切で記念撮影している映像とともに「中国では踏切が少なく線路を渡るのが珍しい」と紹介されていましたが、国土交通省鉄道局資料によると、平成24年の時点で日本全国に約34,000か所の踏切があるそうです。
弊社のオフィスの近くにもJR南武線の踏切があるのですが、朝のピーク時には20分くらい遮断機が降りたままになることがあります。

開かずの踏切
開かずの踏切

踏切に関する規則等を調べたところ、警報が鳴って遮断機が降りるまでの時間について、

 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。
 遮断動作の終了から列車等の到達までの時間は、20秒を標準とすること。

という定めがあるようですので、列車の接近から通過までにかかる標準的な時間を計算すると、以下の通りとなります。

0秒: 踏切の数百メートル手前にある検知装置を列車が通過する。
列車の接近を知らせる警報が鳴り始める。
※ 検知装置は、運行する列車の中で最速の列車において、警報が鳴り始めてから列車が踏切に到達するまでに、通行者が踏切を安全に渡りきれる時間を確保できるような位置に設置している模様です。
15秒後: 遮断機が降りきる。
35秒後: 列車の先頭が到着する。
〇秒後: 列車が通過してしばらくしてから遮断機が上がる。
※ 遮断機が上がるタイミングは、その踏切を通過する一番長い編成の列車に合わせている模様です。

弊社のオフィスの近くの踏切の場合、川崎方面から来る下り列車については上のようなタイミングになりますが、立川方面からくる上り列車の場合には、武蔵溝ノ口駅に進入する際に遮断機が降りはじめ、ホームに停車している間も遮断機は降りたままとなります。
運行本数が最も多い平日の7時台は、1時間に合計36本もの列車が運行していますので、ダイヤが乱れ、上りと下りのタイミングにズレが生じると、「開かずの踏切」化してしまうようです。

【武蔵溝ノ口駅の時刻表:運行本数が最も多い平日の7時台】
上り(20本) 00 04 09 14 18 23 26 29 31 34 36 39 41 44 46 49 51 54 56 59
下り(16本) 02 06 08 12 16 19 23 27 30 33 36 39 43 47 52 57

さて、シチズンホールディングス株式会社が、2013年4月に実施した「日常生活のさまざまなシーンでの『待ち時間』についての調査」(対象者:20~50代のビジネスパーソン、男女200名ずつ、計400人)によると、「エレベーター」や「歩行者として待つ時の信号」などについては、1分間待つと7割近くの人が「イライラ」すると回答しています。

Q. どのくらい待たされるとイライラしますか?

Q. どのくらい待たされるとイライラしますか?

「開かずの踏切」化すると、2~3分間くらい電車の通過がないにもかかわらず、遮断機が降りたままの状態が続くこととなりますので、「イライラ」して待ちきれない人たちは遮断機の下をくぐって、踏切を「強行突破」していきます。
朝から「イライラ」すると気分が悪くなりますし、何よりも「踏切潜りぬけ」はとても危険な行為です。スマートな大人がすることではありません。

(ちょっと強引ですが)スマートと言えば、「開かずの踏切」対策にもとてもスマートなものがあります。
1つ目は「賢い踏切」というもので、急行・各停などの列車の速度を判断して踏切警報開始地点を変えることにより、無駄な踏切待ち時間の解消を図るシステムです。踏切を賢くすることで、踏切遮断の時間が短くなるわけですね。

賢い踏切

JR西日本では、「賢い踏切」の導入により、待ち時間を30秒以上短縮することができた踏切もあるそうです。

もう1つは、踏切での「待ち時間表示」で、現状では「←」「→」で接近する列車の情報を表示しているところを、待ち時間や迂回路の案内表示を行うものです。
たとえば、小田急電鉄では、「ダイヤが乱れた時、踏切が長時間遮断されたが、踏切通行者には何も情報がなかった。踏切通行者にも情報提供をしてほしい」との要望を受けて、新宿駅近くの踏切などに、長時間(10分以上)遮断された場合に、長時間遮断の理由を表示する踏切情報表示器と迂回路の案内看板を設置しているそうです。

確かに、自分が現在直面している問題の原因がわかれば、どのような対応策を講じるとよいのか考えることができます。
ひょっとしたら既にあるのかもしれませんが、踏切の待ち時間や迂回路が自分のスマートフォンに表示されるようになれば、そのまま待ち続けるか、迂回するか意思決定しやすくなり、私たちの踏切待ちはもっとスマートな時間になりますね。

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