このところ「コロナ後」とか「アフターコロナ」という文字を目にすることが多くなりました。
ひょっとすると「確証バイアス」(感染の終息を心待ちにしているために、都合のいい情報に目が行きやすい)や「カラーバス効果」(意識している色・ものがよく目につくようになる)による錯覚なのかもしれませんが、新規感染者数の減少からは、長引く自粛生活の出口が見えつつあるように感じています。
そんな中、「新しい生活様式」なる言葉も出てきました。
「生活様式」「ライフスタイル」は当社の研究テーマの一つで、コロナ後の消費ライフスタイルにどのような変化があるのか、大変気になるところです。
聞くところによると、国内ではテレワークの導入とマスクの着用とで「口紅」の消費が減少しているとか。
また、中国では外出規制が解除になるとともに「リベンジ・バイイング」とも表現される消費ムードの高まりが期待されているとか。
新しい生活様式は定着するのか?
「新しい生活様式」のうち、手洗いやマスク着用は、コロナ後の生活ではそんなに定着しないような気がしています。
実は、東日本大震災直前の2011年2月と、その1年後の2012年3月に日本人のライフスタイルを調査したのですが、震災の前後で関心度に4ポイント以上の変動があったのは、全309分野中の8分野のみでした。 あれほどの大惨事を経験しながら、「防災・ホームセキュリティ」への関心度の高まりは+2.6ポイントで、「省エネ」意識の高まりは+2.3ポイントと、ともに3ポイントに満たないレベルでした。
震災のプレ-ポストでの変化からは、「携帯電話」(-5.2ポイント)から「iPhone等のスマートフォン」(+4.9ポイント)へのシフトが進んでいる様子と、災害時の連絡手段として脚光を浴びた「Twitter」(+4.1ポイント)への関心が高まりつつある様子がみてとれました。
平時になると、安心・安全に関することよりも、快楽や利便性の欲求のほうが強くなるのか、私たちの価値観は短期間ではそう大きくは変化しないようです。
その点、テレワークやオンラインでのコミュニケーションなどは「楽」や「便利」の要素がありますので後戻りしづらく、これらは「新しい生活様式」として結構定着しそうな感じです。
コロナで変わる消費生活、キーワードは「つながり」か?
また、震災のときは「絆」がキーワードでしたが、今回のキーワードは「つながり」ではないでしょうか。
多くの人が、「不要不急」をものさしにして、自分とどれだけ「つながりがある」人・物・サービスなのかを分別してきたものと思います。
困難な状況にあっても、お客さまとのつながりが強い会社は、きっと自粛明け後の起ち上がりが早いでしょう。
ゴールデンウィーク前だと「油断している」と非難されそうでしたが、もうそろそろコロナ後を見すえて「お客さまとのつながり強化」に取り組み始めてもよい頃ですね。お客さまの方でも、つながるコミュニケーションを心待ちにしているのではないでしょうか。
たとえば、音楽関係の会社であれば「アフターコロナの初コンサート、どんな曲を聴きたい?」とか、レジャー関係の会社であれば「コロナにめげずに頑張った自分へのご褒美旅行、どこに行きたい?」のような話題で、大切なお客さまと一緒に「もうひと頑張りの先にある夢や希望」を共有するのはどうでしょう?
副次的な効果としてティザー広告がわりとなり、さらには「確証バイアス」や「カラーバス効果」もあるかもしれません。
市場調査/マーケティングリサーチというと、ターゲットを定めた効果検証などのきっちりと企画したハイスペックな調査を連想しがちですが、当社では、上の例のような話題について、TwitterやFacebookなどSNSでもできる簡単なアンケート(マイクロアンケート)のお手伝いもしています。マイクロアンケートを利用したお客さまとのつながり強化にご興味がありましたら、ぜひご活用ください。
さて、今回は、新型コロナの感染拡大が私たちのライフスタイルにどのような影響を及ぼしているのか、あるいは、今後及ぼすことになるのかについて、震災のときのデータを参照しながら思いつくところをまとめてみました。
もっと骨太のマクロ的な消費動向のとらえ方などについてご紹介しているコラムもありますので、あわせてご参照ください。
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