厚生労働省の発表によると、9月15日の「老人の日」時点における国内の100歳以上の高齢者数は65,692人になる見通しとのことです。そのうち、女性は57,525人で約88%を占めます。
国内最高齢は、鹿児島県在住の116歳の女性で1900年(明治33年)誕生、なんと19世紀生まれです。1900年はパリ万博が開催された年で、当時の日本の首相は山形有朋(第2次)→伊藤博文(第4次)と明治の元勲が健在でした。同年生まれには「星の王子さま」のサン=テグジュペリや、「東洋のシンドラー」と呼ばれた外交官の杉原千畝らがいます。
100歳以上の高齢者が増えているといっても、さすがに総人口に占める割合はわずかですが、平成27年の生命表をみると、今や女性の約半数、男性の4分の1が90歳以上まで生きる時代になっていることがわかります。
出典:厚生労働省「平成27年簡易生命表」
生命表とは、年齢ごとの死亡率が変わらないと仮定した場合に各年齢の人が平均してあと何年生きられるか(平均余命)という期待値を示した表のことで、推計人口をもとにした「簡易生命表」は毎年、国勢調査の人口確定値をもとにした「完全生命表」は5年おきに作成されています。
生命表の詳細は以下のサイトでご覧いただけますが、例として平成27年簡易統計表から男性版の一部を抜粋してご紹介します。
○生命表(厚生労働統計一覧)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/seimei/list54-57-02.html
この生命表では、毎年10万人の出生数が続き、一定の死亡率に従って加齢とともに生存数が減っていくと仮定しています。
定常人口(nLx、Tx)というのは積分を使って算出するので少しわかりにくいのですが、nLxというのはある年齢から一定期間内に存在する集団の人口、Txはある年齢以上の人口の累計となります。例えば、0(歳)におけるnLx=99,843というのは0歳以上1歳未満の人口、Tx=8,078,942は105歳以上のnLxまでの累計、すなわち総人口を表します。
そして、定常人口(Tx)を生存数で割ることにより、その年齢の平均余命が求められます。
0(歳)の平均余命は8,078,942÷100,000=80.79です。
先日、2015年(平成27年)における日本人の平均寿命は
男性: 80.79歳
女性: 87.05歳
と発表されました。
平均寿命とは、その年に亡くなった人達の年齢の平均ではなく、生命表の0歳における平均余命のことなのですね。
なお、上記の表において、81歳の数字をみると平均余命は「8.32」となっています。つまり、平均寿命まで生きた人はさらに90歳近くまで生存が期待できるというわけです。
「生存数」をみると男性の6割近くは平均寿命に達するようです。
生存数が半分になる「寿命中位数」も公表されているのですが、こちらは
男性: 83.76歳
女性: 89.79歳
と平均寿命を2~3歳上回ります。
感覚的にはむしろこちらの方が“平均”寿命に近いでしょうかね。
<平均寿命と寿命中位数>
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