あるプロジェクトに関連して、実地調査のために50か所近くの商店街をまわってきました。
五月にしては異例の猛暑日が続く中、途中から、帽子と日焼けどめで対策したものの、時すでに遅し、真っ黒に焼けてしまいました。
さて、皆さんにとって、商店街というとどのようなことを思い浮かべますか?
私の場合は、高校時代の思い出が頭をよぎります。
私が通っていた高校は、JRの駅からアーケード商店街を通り抜けた先にありました。
下校時に通った商店街のことを懐かしく思い出します。
商店街には、肉、青果、コロッケなどのお惣菜、洋服、和服、靴、帽子、本、レコード、楽器、電器、プラモデル・おもちゃ、化粧品、喫茶、ラーメンなどの飲食…と、さまざまなお店が並び、老若男女、用のある人ない人、いろいろな人が行き交うにぎやかな場所でした。
そうした情景は、昭和のノスタルジーですね。
令和になった今日、商店街でよく見かけるのは、ヘアサロン、クリニック(整体含む)、ドラッグストア、学習塾などで、これにクリーニング、不動産がポチポチと…といった感じではないでしょうか。「シャッター通り」となってしまったところも少なくはないでしょう。
今回あちこちをまわっていて、日差しが強かったこともあったのか、全般に、人通りも少なく、あまり活気は感じられませんでした。
各自治体にとって、商店街の活性化は重要な政策課題です。
商店街活性化の参考になりそうなデータを探していたところ、横浜市が実施した商店街についての調査結果を見つけました。
調査は平成30年10月に、横浜市内の商店街と横浜市民(=消費者)を対象として、郵送調査方式で実施されたものです。
商店街対象の調査では、「商店街に不足していると感じている業種・業態」を最大3つまで回答してもらっています。
一方で、消費者対象の調査では、自宅の近くに商店街がある人に対して「商店街に開店してほしい、もっと増えてほしいお店」を選択数に上限のない複数回答方式で回答してもらっています。
ちょっと主題から外れてしまいますが、「大谷信介編著『これでいいのか市民意識調査』ミネルヴァ書房、2002年」には、回答数を「3つまで」などに限定することの問題点について、以下の通りの指摘があります。
・1つ、2つしか当てはまるものがない場合でも、数合わせのために3つ目を選んでしまいかねない
・対象者によって、選択した項目数が異なる場合があるため、クロス集計になじまない
回答数が異なることを了解したうえで、消費者と商店街とで選択割合の違い(消費者-商店街)が大きなものから順に並べると、以下の通りとなります。
データ出典:「平成30年度消費者購買行動意識調査」「平成30年度商店街実態調査」(いずれも横浜市)
100円ショップや本屋さんを見てまわったあとで、落ち着いたカフェでマスター自慢の自家焙煎コーヒーを楽しむ…、そんな感じでしょうか。
生鮮三品の中では、消費者において鮮魚店の開店を望む割合が高いのが興味深いです。
商店街をじっくりとまわる中で、今回、私が欲しいなぁと切望したのは、「椅子」です。
手にした荷物をわきに置いて、買い求めたドリンクを飲み、日焼け止めを塗る。
簡単なことなのですが、それができる場所がなかなかないのです。
あとは、音やにおいなど五感を刺激する要素が少ないように感じました。
生鮮食品店が少なく、入り口を締め切ったお店が多いため、お店から音やにおいが漏れ出してこないのです。
どんなお店なのか、お店の中の様子や雰囲気がわからないままに、ガラガラっとドアを開けて入るのには勇気がいります。
お住いの近くに商店街はありますか?
その商店街はにぎわっていますか?
たまにはぶらりと商店街フィールドワークにでかけてみると、いろいろと感じるところがあるかもしれません。
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