先日、電車内で通学中の私立小学校の児童がタブレット端末でゲームではなく勉強しているのを見かけて感心しました。
公立学校でも電子黒板やデジタル教材の導入などICT環境の整備を進めているようですが、文部科学省で行った「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると平成27年3月時点でタブレットを含めた学習用PC普及率は全国平均で生徒6.4人につき1台となっています。
都道府県別にみると、佐賀県が2.6人/台と最も普及が進んでいます。佐賀県は他にも電子黒板がある学校の割合99.0%(全国平均:78.0%)、デジタル教科書の整備率96.1%(同:39.4%)など教育のICT化に熱心で、「反転授業」の導入にも取り組んでいます。
「反転授業」とは、従来の授業と宿題の役割を「反転」させ、これまで授業で一斉に教えられていたような内容はデジタル教材を用いて各自で予習することにし、教室では復習を兼ねた教師の個別指導やグループディスカッションなど生徒同士の協働学習を行います。反転学習により教師の講義時間が減って効率的に授業を進められるようになり、生徒の自宅での勉強時間が増え学習意欲も高まる効果が期待できるとされています。
学習方法による定着率の違いを7段階にランク付けした「ラーニング・ピラミッド」によると、従来の授業スタイルの中心であった「講義」「読書」などに比べると「ディスカッション」や「他人に教える」ことの方が高い学習効果が得られると考えられています。
学校におけるICT活用はまだ試行錯誤の段階で、生徒に支給したタブレット端末の性能が悪かったため思ったような成果が出ないといった失敗例もあるようですが、家庭の通信インフラ環境の違いによるデジタルデバイドが起こらないよう留意しながら導入を進めていってもらいたいと思います。
社会人の習い事や資格・語学などの勉強においてeラーニングは当たり前になり、スマホの学習系アプリなども種類がどんどん増えていますが、最近ではMOOC(ムーク)で大学レベルの本格的な講義を受けることもできます。
MOOCとはMassive Open Online Course(大規模公開オンラインコース)のことで、誰でも会員登録をすれば基本的に無料で受講できます。2013年に東京大学や京都大学が海外のMOOCに英語で講座を提供して話題になりましたが、その後、日本でもJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)が設立され、「gacco」などいくつかのプラットフォームが日本語でコース配信しています。最近では講座内容もバラエティに富んできましたので、皆さんも興味があれば受講されてみてはいかがでしょうか。
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