セグメンテーションのタイプ
商品のターゲット顧客を定めるときにセグメンテーション分析を行います。
グロービス経営大学院編著による「MBAマーケティング」では、セグメンテーションに利用される情報は4種類に分類されるとしています。
・地理的変数・・・都市と郊外など
・人口動態的変数・・・性別、年齢など
・心理的変数・・・ライフスタイルや価値観など
・行動変数・・・購買状況、使用頻度など
心理的変数や行動変数は、アンケートの回答データから消費者をいくつかのグループに分類して「○○派」などと名付けるタイプのセグメンテーションでよく使われます。
分類することで特徴をつかみやすくなるのがセグメンテーションのメリットの一つです。
分類するという点で血液型性格判断もセグメンテーションの一種と考えてよければ、定着度合いにおいて日本で最も成功したセグメンテーションと言えるのではないでしょうか。
性格は血液型で決まるのか?
学者によるまじめな研究がたくさん行われていますが、これまでの研究からは血液型による性格の違いは実証されていないようです。
そもそも血液型の歴史はそれほど古いものではありません。ABO式の血液型の発見は1900年です。
日本人のほとんどは自分の血液型を知っていますが、他の国では血液型を知らない人の割合の方が高いところもあるようです。たとえば、イギリスの調査では自分の血液型を知らない人の割合が55%であったそうです。(YouGov実施調査)
調べてみると、日本には2回の血液型ブームがあったようですね。
第1次ブームは1930年前後のことで、第2次ブームは1970年代からはじまります。
脇道にそれますが、1970年代といえば、ノストラダムスの大予言にはじまるオカルトブームもありました。UFO、超能力、川口探検隊、などなど。まぁ、バイタリティ溢れる時代でした。
実際に調査してみた結果
実は、過去に実施したセグメンテーション調査の際に血液型質問を盛り込んでみたことがあります。
その時に行ったのは、性格や行動の傾向などを表す20項目くらいの回答データについて因子分析をし、社交性などの性格因子を抽出したあとでクラスター分析にかけるという、典型的なセグメンテーション分析のアプローチです。
分析の結果、約4,000人の消費者を5つのセグメントに分類して傾向の違いをみていきました。
心理変数を使ったセグメンテーションですので、ライフスタイルや価値観はセグメントによる違いが大きく、また、商品・サービスの好みや性別、年代などの属性の違いもはっきりと出ていました。
唯一、血液型についてはまったくといっていいほどセグメントによる違いがありませんでした。
以下が、その調査での分類結果です。
どうやら、血液型による性格の違いはなさそうです。
「〇〇型の人は×××」のようなステレオタイプが形成されると、無意識にそれに合致する情報に注目しがちで、結果的にステレオタイプを裏付けるような情報ばかり集めてしまいます。これでは客観的な裏付け情報にはなりません。
行き過ぎたステレオタイプ的認知は、偏見や差別につながる危険性もあり、注意が必要です。
今回のはなしの教訓、
エビデンスとってますか?
先日、「お客様に販促企画を提案したところ、『エビデンスはあるのか』と言われて・・・」というお問い合わせをいただきました。
コロナでいろんなデータが出てきたことの影響もあるのでしょう。これからあちこちで聞かれる言葉になるかもしれません。
見たり聞いたりしたことをそのままうのみにするのではなく、自分なりに調べて「裏を取る」ことが必要ですね。
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