平均身長の推移

以前のテレビのニュースで「日本人の身長は、男子が10年ほど前、女子は15年ほど前がピークで、それ以降は横ばいの状況が続いている」という話が紹介されていました。

そこで、文部科学省が毎年実施している「学校保健統計調査」で、17歳男女の平均身長の推移をみてみました。

平均身長の推移


出典:「学校保健統計調査」(文部科学省)結果

17歳の日本人の身長は、戦後急激に伸び、男女ともに1994年から2000年頃までが平均身長のピークとなっています。
令和3年(2021年)度の速報値は、男子の平均身長は170.8センチ、女子の平均身長は158.0センチで、いずれも前年に比べて0.1センチ高くなっています。過去最長身記録が男子:170.9センチ、女子:158.1センチですので、男女とも0.1センチ及んでいません。

都道府県別の平均身長

都道府県別の調査結果も公表されており、17歳の平均身長をみてみると、男子は秋田県が最も高く171.9センチ、女子は福井県が最も高く159.2センチです。

当道府県別平均身長 17歳男子
都道府県別平均身長 17歳女子

出典:「学校保健統計調査」(文部科学省)結果

平均体重の推移

一方、体重の推移は以下の通りで、2006年のピークに比べると、男子は1.5キログラム、女子では1.2キログラム軽くなっています。
このところ日本の若者はややスリムになってきているようですね。

平均体重の推移


出典:「学校保健統計調査」(文部科学省)結果

なお、蛇足ではありますが、平成27年(2015年)度調査までは座高も調査対象となっており、男女ともに2015年が平均座高のピークでした。
背の高さと脚の長さはバブル期までが右肩上がりでその後は横ばいか下降気味なのかもしれません。

身長の伸びに関係がある環境要因とは

身長は基本的には遺伝因子によって決まるとしても、出生後の環境の影響も非常に大きいそうです。
環境の中で、特に影響が大きいと考えられるのは栄養であり、戦後の日本人の身長の急激な伸びは、主に栄養の改善によると考えられています。

以下は、厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」の結果から、成長にとって重要な栄養素であるたんぱく質とカルシウムの1日当たり摂取量の推移をグラフにしたものです。

戦後復興期が始まる1950年に1日当たり68.0グラムだったたんぱく質の摂取量は、1994年には79.7グラムに増えています。さらにカルシウムの摂取量については、1950年の270ミリグラムから1994年には545ミリグラムへと2倍になっています。牛乳1本(200ミリリットル)あたりのカルシウム含有量が、だいたい230ミリグラムだそうですので、牛乳1本分増えていることになりますね。

たんぱく質とカルシウムの1日当たり摂取量の推移


出典:「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)結果

ところで、1990年代に比べるとたんぱく質やカルシウムの摂取量が減少しているように見受けられる点が気になります。
栄養面以外にも、テレビの見すぎやスマホ“中毒”による運動不足や睡眠不足などの生活習慣が、成長の妨げになっているとの指摘があります。

身長を伸ばしたい児童・学生の皆さんは、肉、魚、卵、豆類・豆製品などのたんぱく質を多く含む食品や、牛乳・乳製品、小魚類、緑色野菜などのカルシウムを摂りやすい食品をバランスよく摂取し、適度な運動と睡眠をとることを心がけるのがよさそうです。

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