自社の強みを明らかにするBtoBの顧客満足度調査

成功のポイントは、
★ BtoCとの違いに注意すること
調査の回収率を上げること
★ 重要度は直接質問しないこと

★ 競合比較の視点を持つこと
など。

BtoBもBtoCも、満足度調査を実施する究極の目的はお客様に満足してもらい、長く使い続けてもらうという顧客ロイヤリティの強化です。
しかし、顧客接点の改善を通じてロイヤリティを高めていくという構造は同じですが、BtoB調査ならではの実施ポイントがあります。

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い

栗原康太『事例で学ぶBtoBマーケティングの戦略と実践』(株式会社すばる舎、2020)にBtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いがわかりやすくまとめられています。

BtoCBtoB
購買関与者の数1人複数かつ多層
利用者多くの場合、購買者と同じ購買者と同じとは限らない
購買目的所有、体験、もしくは課題解決課題解決
検討期間短期間長期間
購買の際に重視される点ブランドや付加価値も影響機能や実績など
情報の非対称性小さい大きい
購入チャネル販売員やECサイト営業パーソン

これらの違いが顧客満足度調査の設計にも影響を及ぼします。

BtoB調査の対象者

BtoBの場合は、顧客企業の担当者と意思決定者、そして実際に利用してくれるエンドユーザーが異なるケースが少なくありません。そのため、役割に応じていくつかのセグメントを設けて調査票の内容もそれぞれのセグメントに合ったものにすると、対象者にとって回答しやすくなりデータの精度もよくなります。

1社1回答の「会社」単位での調査となる場合には、以下のような質問を入れて回答してくれた人の属性を確認できるようにしておきます。

貴社での〇〇〇(製品・サービス名が入ります)のご利用に際して、あなたが担当されていることがありましたら、すべて教えてください。(いくつでも)

  1. 納入業者を決定している
  2. 業者の選定にかかわっている
  3. 業者との日常的なコンタクトをとっている
  4. 業者からの請求書の処理などの財務的な部分を担当している
  5. ○○○を利用する社員からの問い合わせなどの連絡を受けている
  6. ○○○を利用している
  7. どれもない
  8. わからない

BtoB調査で聞く顧客ロイヤリティ質問

顧客満足度調査を実施する究極の目的はお客様に満足してもらい、長く使い続けてもらうという顧客ロイヤリティの強化にあります。

BtoCの顧客満足度調査では推薦意向、継続利用意向が代表的な顧客のロイヤリティ度合いを測定する指標です。
一方、BtoBの顧客満足度調査では継続利用意向を聞くのはよいとして、推薦意向については要検討です。

BtoBとBtoCのマーケティングの違いの一つに「情報の非対称性」があります。これは経済学の用語で、商品に関する情報について、売り手と買い手の間に情報格差がある状態のことを表しています。

BtoCの場合、インターネット上の口コミやレビュー記事などから購入したい商品についてある程度の情報を得ることができるのに対して、BtoB商材についての口コミやレビューサイトは少なく、購入企業は情報量が少ない中で意思決定をしている、すなわち、取引における「情報の非対称性が大きい」と指摘されています。

他社の人から、「どこかいい会社ある?」と紹介を依頼されることがよくある商材(もしあれば)を除いて、BtoBの推薦意向は実感を伴わない「なんとなく評価」になりかねません。

もし、仕事関係の同僚や取引先のお知り合いから、「〇〇〇(製品・サービス名が入ります)にはどの会社がよいか」とたずねられた場合、△△△(自社の会社名が入ります)をおすすめする度合いはどの程度ですか。

こんな感じで質問してみてしっくりこない場合は、継続利用意向のみの方がよいでしょう。

BtoB調査では郵送/Webの併用がおすすめ

回答率を高めて幅広い顧客の意見を集めることは顧客満足度調査を成功させるために必須な要件です。
BtoBの顧客満足度調査は、郵送/Web併用方式で実施することをおすすめします。

BtoB調査では、対象企業サイドで、組織としてどのよう回答するかを検討したい、また、どのように回答したかを手元に記録として残したいという要望が出てきます。そのため、郵送調査での実施が基本となります。

郵送調査とインターネット調査を二者択一で考える必要はありません。
郵送調査と同一の質問内容をWeb上でも用意し、紙でもPC・スマホでもどちらか好きな方法で回答できるようにすれば、郵送調査のカバレッジの広さ(Webが苦手な人にもアプローチできる)とインターネット調査の回答の手軽さなど、両者のメリットを生かした調査を実施することができます。

郵送調査とインターネット調査を併用した場合、回答者全体の10~30%がオンライン回答となっています。中には紙のアンケートだけなら協力してくれない(協力できない)人もいます。インターネット調査を併用することで、その分だけ回答者数の上積みを期待できます。

紙とWebでアンケートの回収率を高める

インターネット調査のサンプル画面はこちらでご覧ください。

BtoBの顧客満足度調査サンプル

基本となる郵送調査の回収率を高めるためのポイントが2つあります。

回収締切までの期間は2~3週間とする

郵送調査の回収状況には、大きく発送から3~5日後と回収締切日の直前の2つの山があります。
その間の期間は、多少の起伏はあるにせよあまり多くの回収数は見込めません。

郵送調査の回収状況の一般的なパターン

回収の山と山との期間をあまり開けず、2回の週末を含めて2~3週間の実査期間を設ければ十分と思われます。

答えたくなるような調査票にする

調査の基本中の基本ですが、郵送調査では、質問内容を先に見てから協力するかどうか判断してもらう形になりますので、

  • 質問ボリューム
  • すっきり見やすいレイアウト
  • 回答に戸惑わない質問フロー

など、対象者が答えたくなるような調査票を作ることが回収率を高めるためには不可欠です。

回答しやすい調査票作りのポイントは以下のとおりです。

  • 文字サイズは10ポイント以上とし、行間を縮めたり無理やり質問を押し込んだ窮屈なレイアウトにしたりしないこと
  • 他の書類と区別してもらうために色紙を用いるのも有効。例えば、クリーム系統の色だと黒文字も映えて読みやすくなる
  • 回答条件を絞った質問は極力減らすこと

BtoBの顧客満足度調査の分析方針

自社の強み/弱みを特定する

自分では強みと思っていたことが実はそうでもなかったり、他の人から教えてもらってはじめて気づく強みがあったり、自らを客観的に評価することは難しいものです。顧客満足度調査を実施すると、他人が認める自社の強みを確認することができます。

自社の強みと弱みは、満足度と重要度の組み合わせから見つけることができます。
満足度は「製品やサービス」「営業パーソン」「情報提供」「価格」などの分野別の評価です。
一方、重要度はそれぞれの分野の評価がどれだけ顧客のロイヤリティに効いているのかを表したインパクト度合いで、重回帰分析や構造方程式モデリングによって求めます。

以下の例では、重要度が高いもののうち「企画・提案力」と「対応の迅速さ」の満足度が低く弱みになっているのではないかとあたりをつけて、関連する自由回答を読み込むなどして具体的な問題点を掘り下げてみていきます。

重要度vs.満足度チャートの例

重要度を知るために「○○○はどの程度重要ですか?」と直接質問することはおすすめしません。直接質問方式では、往々にして、価格などわかりやすいものの重要度が高く出てくる傾向があります。
重要度は回答データの関係性(簡単に言えば、□□□の満足度が高いと、△△△の満足度も高い傾向にあるなど)を分析して求めるほうが合理的ですし、その方が、重要度質問をしない分、他の質問を入れることができるというメリットもあります。

競合と比べてみる

ここで、競合他社についての評価情報があれば、重要度と満足度をマトリックスに整理して、競合と比べた場合の自社の強み/弱みを明らかにすることができます。
以下の例の「お客様ニーズの理解度」のように重要度が高い接点で自社の評価が競合他社よりも有意に高ければ、その接点は間違いなく自社の強みと考えることができます。
競合比較の視点が入ると、「対応の迅速さ」の改善は弱みを克服して競合にキャッチアップすることにつながり、「企画・提案力」を高めることは新たな強みづくりになることがわかります。

戦略的改善マトリックスの例

競合評価の聞き方

競合他社の特定方法については3種類の考え方があります。

競合の種類定義(自社以外で・・・)
主要競合得意先が最もよく利用している会社
ベスト競合得意先が業界トップと認識している会社
人気競合得意先が最も利用したいと思う会社


たとえば、「主要競合」型の場合の聞き方はこんな感じになります。

主要競合特定質問例

BtoBの顧客満足度調査では、過去の調査結果との比較に加えて競合との比較の視点を持つことが非常に重要です。

調査結果のフィードバック

BtoBの顧客満足度調査で対象企業への謝礼が必要かどうかについて、こうすべきというものはありません。業界の慣習や会社の方針に照らして対応を決めればよいと思います。

お金や品物ではなく製品やサービスの品質改善を謝礼にするのもよいでしょう。その場合、対象企業の側からすれば、忘れた頃に結果だけ届けられても不満が高じるだけですので、調査実施からさほど時間をあけずに、遅くとも2~3か月以内にはフィードバックを実施することが肝要です。

誰が回答したのかわからない無記名式の調査の場合は、デジタルや紙での一斉配信でもよいと思いますが、記名式調査の場合には、調査結果の共有を訪問・オンライン面談のきっかけとして、担当営業パーソンから個別に報告するのが効果的です。

BtoBの顧客満足度調査の実施スケジュール

調査の企画から最終報告書のお届けまでのスケジュール(目安)です。

スタート

お問い合わせ

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1~3週間

調査企画(お打ち合わせ)

Zoom等でのお打合せで御社の業務内容やお客さまとの関係性などについて詳しくうかがい、調査項目をリストアップして調査票を設計します。
また、必要に応じて秘密保持契約(NDA)を締結します。

1~2週間

実査準備

調査票等の印刷や宛名ラベルの作成、返信時の料金受取人払いの手続きなど、郵送調査の実施に際してはいろいろと準備することがあります。
目安として、協力依頼状、調査票、発送用封筒、返送用封筒の印刷には1週間程度を見ておきます。

3週間

実査

調査票の発送から回収まで、2週末を含む3週間の実査期間を設けます。
なお、回収状況を見て回答締め切りの数日~1週間前くらいのタイミングで督促を行うことがあります。Web併用方式であれば、締切日当日でもリマインダーメールで最後のお願いをすることができます。

2~4週間

集計・分析・報告

回答締め切り(=実査完了)の2~4日後には、顧客セグメント別、評価レベル別などのクロス集計結果をお届けします。
その後満足度構造分析、自由回答分析などを行い、実査完了の2~4週間後には分析結果をまとめた報告書をお届けいたします。

随時

調査結果の活用

調査結果を活用していくためにお役に立てることがありましたら、遠慮なくお声おかけください。

6:00AM

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