総務省が発表した2020年の家計調査結果で、浜松市がギョーザ購入額日本一に返り咲いたことがニュースになりました。宇都宮市と浜松市の2強に宮崎市が加わって、餃子のまち日本一の座を争っています。

ランキング好きな国民性なのか、「○○日本一」とか「○○No.1」といったランキングを利用した町おこしやブランディングが盛んです。信憑性の高いものからそうでないものまで日本一やNo.1であふれかえっている現状です。

そんな中で、私が個人的にこれはいいなと思う日本一がありますのでご紹介します。

JAFの信号機のない横断歩道実態調査

JAF(日本自動車連盟)が毎年、信号機のない横断歩道実態調査を行っています。
最新の2020年調査では、歩行者がわたろうとしている場面で一時停止した車の割合が、前年から4.2ポイント増加して21.3%でした。

2020年 信号機のない横断歩道における車の一時停止率(全国平均)

信号機のない横断歩道における車の一時停止率(三重県)

ダントツ1位の長野県

都道府県別に見た時に、一時停止率が最も高かったのは長野県で72.4%です。
全国平均で4.2ポイント改善したとはいえ、まだ8割の車が一時停止をしていない中で、長野県はぶっちぎりの日本一です。しかも2016年の調査開始以来ずっと。

信号機のない横断歩道における車の一時停止率(長野県)

出典:JAF公表データをもとにグルーブワークスにてグラフ作成。

なぜこれほど高いのかについては諸説あって、その一つにドライバーと歩行者のコミュニケーションを指摘する説があります。

ドライバーは一時停止をして目で「どうぞ」とうながし、歩行者はちょこんと頭を下げてドライバーにお礼をするのが当たり前として定着しているのだそうです。

規則だから守りなさいとルールで縛るのではなく、コミュニケーションの力で安心・安全を実現しているわけですね。
この発想を一時停止率の向上策に活用しているところがあります。

「逆」日本一から脱却した三重県

一方、2019年に一時停止率が最も低い「逆」日本一だったのが三重県です。

三重県もまた、コミュニケーションの力を利用した「まもってくれてありがとう運動」で一時停止率の向上に取り組んでいます。

「まもってくれてありがとう運動」とは

「まもってくれてありがとう運動」は児童等が横断歩道を横断する際や横断後に、停止してくれた運転者に対して「ありがとう」と伝えたり、会釈したりしてお礼の気持ちを表し、横断歩道が人優先であることを学び、横断歩道でのルールとマナーについて自然に理解できる取組です。

また、運転者にも「止まらなければ」という気持ち(歩行者保護の気持ち)を起こさせ、安全運転意識の高揚と交通事故の減少を図ることを目的としています。

出典:三重県ホームページ

この取り組みの効果があったようで、2020年調査では前年から23.7ポイント改善して27.1%と、全国第14位まで上昇しました。

信号機のない横断歩道における車の一時停止率(三重県)

出典:JAF公表データをもとにグルーブワークスにてグラフ作成。

ランキング情報が改善取り組みのきっかけやその効果を測る指標となっている好事例ですね。

JAFの調査は、調査結果を真摯に受け止め改善を目指す行動を起こさせて、さらに次の調査で改善の成果を測るという、PDCAのサイクルを作り出している点が素晴らしいです。

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