生産性向上のヒントを探る
欧米に比べ日本の生産性は低く、G7加盟国の中で最下位です。特にサービス業や中小企業の生産性の低さに問題があると指摘されており、この状況を改善するための様々な検討が行われています。
2014年6月、経済産業省は「サービス産業の高付加価値化に関する研究会報告書~サービス革新で日本を元気に~」の中で、①ソフトウェアやデータベースなどのIT投資、②研究開発投資、③人材やブランディング、マーケティングなどへの経済的競争力への投資を合計した「無形資産投資額」の付加価値額に対する割合についての国際比較を紹介し、日本はアメリカやイギリスに比べ無形資産投資の割合が低いことを指摘しています。
そして、日本では無形資産投資の割合が低い理由として、以下のような「経営人材」「マーケティング、ブランド戦略」「ビジネス支援サービス」などの問題を提起しています。
○経営人材の問題
日本はマーケティング、ブランディングを有効活用した事業の高付加価値化を行う経営者が少ない。
○マーケティング、ブランド戦略の問題
日本はマーケティングやブランドへの投資が少ない。そのため、日本はサービスの質に見合った価格設定ができていない。
○ビジネス支援サービスの問題
日本は、ビジネス支援サービスの活用が遅れているとともに、ビジネス支援サービス産業の発展が遅れている。
マーケティング活動は利益につながるのか?
マーケティングへの取り組みは、中小企業の生産性向上に寄与するのでしょうか?
この点について、2017年の中小企業白書において、新規事業展開の成功要因としてのマーケティング活動に焦点をあてて分析した結果をもとに、マーケティング活動を実施している企業の方が経常利益率が高い傾向にあることが示されています。
中小企業においてもマーケティング活動を行う企業のほうがより多くの付加価値を生み出していると考えられます。
マーケティング投資の国際比較
さて、次にご紹介するのは、マーケティングやブランドへの投資の中身として、広告とマーケティングリサーチの市場規模の国際比較です。
グラフ中の折れ線は、それぞれのGDPに対する割合を示しています。
広告費
まず広告費について、2022年の日本の広告市場の規模は478億ドルでアメリカの1/6程度です。これを対GDP比でみると、日本は1.12%でイギリスよりもやや低く、アメリカとほぼ同レベルとなっています。
マーケティングリサーチ
マーケティングリサーチについては、2022年の日本の市場規模は19.4億ドルでアメリカの1/40程度です。対GDP比でみると日本は0.05%となり、イギリスの1/8、アメリカの1/6程度で、インドやフランスに比べてもその半分程度のレベルです。
この実態は先にご紹介した約20年前の「無形資産投資額/粗付加価値額」の日英米比較と同じ図式です。
インテリジェンスがマーケティング力強化のカギとなる
マーケティング活動のうち、大手の企業が実施していて中小企業ではほとんど実施していないのが市場調査/マーケティングリサーチです。
市場調査/マーケティングリサーチはマーケティングの出発点となります。
リサーチを活用してマーケティング力を高めていくことで、生産性の向上と高付加価値化、つまりは経営の効率化と成長を同時に目指すことができます。
21世紀に入ってからのトレンドの一つとして、大手企業では、リサーチ部門の名前を「マーケティング・インテリジェンス部」とするところがありました。インテリジェンスとは、簡単に言えば「集めたデータを意思決定のために使える情報とする機能」です。
さらに近年は、DXの推進、BIツールやセルフリサーチの普及などによって、リサーチやデータ分析業務の内製化も進んでいます。
リサーチを実施する際には、単なるデータの分析だけでは十分ではなく、データの背後に潜む要因や市場の動きに影響を及ぼす要素を検討、洞察して、戦略策定や意思決定を支援する情報に仕上げることがますます重要になってきています。
中小企業のマーケティング・インテリジェンス
ヒト・モノ・カネ・時間などの経営資源の制約が多い中小企業では、大企業のように一気呵成にインテリジェンス機能を獲得していくことは難しいでしょう。
では、どうすればよいのか?
解決策の一つは経済産業省の指摘にあります。「ビジネス支援サービスの活用」、すなわち、外部専門機関へのアウトソーシングです。ただし、アウトソーシングといっても「丸投げ」ではなく、チームの一員として「受け入れ」る形が有効です。
リサーチやマーケティング部門のない中小企業でも、高いマーケティング・インテリジェンス機能を持った外部の専門家と協働して、ビジネス機会の発見や、戦略立案の指針となったり意思決定を支援したりする情報を集めて選り分け活用していくことで、ビジネスの成長につながるマーケティング力を強化していくことができます。
「伴走型」サポート
当社では、リサーチやマーケティング部門のない会社が、リサーチを活用してマーケティング力を強化していくことができるよう「マーケティング・インテリジェンス」機能の面を含めてお手伝いする「伴走型」のサポートを行っています。
お客様に寄り添いゴールを目指す伴走者には、多様なマーケティング課題に対応できるだけの幅広いリサーチのスキルとノウハウの引き出しを持っていることが求められます。
日本市場で20年以上の実績を誇り、定量・定性両面で豊富な経験と高い分析スキル・センスをもつ当社のリサーチャーが「半分“中の人”」として貴社の担当者・チームに寄り添い、直面する問題の解決に一緒に取り組み、ビジネス成長のお手伝いをします。
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