規模の大小を問わず、企業が成長するためには新しいことへの挑戦が必要になります。しかし、新たな挑戦には常に失敗のリスクがつきまといます。
大企業に比べ、経営基盤の弱い中小企業にとっては、一回の失敗が大きな痛手となりかねません。
リサーチを活用したマーケティング力の強化に力を入れて成功確率を高めることができます。

失敗するリスクを避けることが成長への近道

市場調査/マーケティングリサーチを行うことで、失敗するリスクを低減し、成功確率を高めることができます。そして、リサーチをPDCAに組み込むことにより、期待した成果が出なかった場合にも、失敗の要因を特定し、成功法則の確立に近づいていくことができます。

リサーチを活用してマーケティング力を強化することがなぜ必要なのか、いくつかのデータをご覧いただいた後で、中小企業におけるマーケティングリサーチ導入の考え方について説明します。

今、マーケティング力の強化が求められる理由

欧米に比べて低い日本の生産性

欧米に比べ日本の生産性は低く、G7加盟国の中で最下位です。特にサービス業や中小企業の生産性の低さに問題があると指摘されており、この状況を改善するための様々な検討が行われています。

経済産業省がまとめた資料「サービス産業の高付加価値化・生産性向上について」では、①ソフトウェアやデータベースなどのIT投資、②研究開発投資、③人材やブランディング、マーケティングなどへの経済的競争力への投資を合計した「無形資産投資額」の付加価値額に対する割合を国際比較しています。

無形資産投資額/対租付加価値額の日英米比較

経済産業省は、アメリカやイギリスに比べ、無形資産投資の割合が低い理由として、以下のような「経営人材」「マーケティング、ブランド戦略」「ビジネス支援サービス」などの問題を指摘しています。

経営人材の問題

日本はマーケティング、ブランディングを有効活用した事業の高付加価値化を行う経営者が少ない。

マーケティング、ブランド戦略の問題

日本はマーケティングやブランドへの投資が少ない。そのため、日本はサービスの質に見合った価格設定ができていない。

ビジネス支援サービスの問題

日本は、ビジネス支援サービスの活用が遅れているとともに、ビジネス支援サービス産業の発展が遅れている。・・・つまり外部専門機関へのアウトソーシングの問題。

欧米に比べて小さい日本のマーケティングリサーチ市場

次にご紹介するのは、マーケティングやブランドへの投資の中身として、広告とマーケティングリサーチの市場規模の国際比較です。
グラフ中の折れ線は、それぞれのGDPに対する割合を示しています。

対GDP比でみると、広告については、日本はアメリカやイギリスよりもやや低くなっています。

広告費の対GDP比国際比較

対GDP比でみると、マーケティングリサーチでは、日本はイギリスの1/6、アメリカの1/3、ドイツやフランスの1/2に過ぎません。

イギリス>アメリカ>日本となっているのは、「無形資産投資額/粗付加価値額」の日英米比較と同じ図式です。

マーケティングリサーチ市場規模の対GDP比国際比較

中小企業におけるマーケティングの実態

続いては、中小企業におけるマーケティング担当部門の有無についてのデータです。

東京商工会議所の調査(2016年12月実施)によると、中小企業約1,000社のうち、専任・兼任にかかわらず社内にマーケティングを担当する部署がある企業は28%です。
これを売上の傾向別にみると、売り上げが増えている企業では34%であるのに対して、横ばいでは27%、売上が減少傾向の企業では19%となっています。

このデータから因果関係を断言することはできませんが、マーケティングを行っている企業では、そうでない企業に比べると企業の成長度合いが高い傾向です。

売上傾向別マーケティング部署の有無

中小企業がマーケティング力を高める方法

人手不足や働き方改革に加えてコロナ禍で、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しいものとなっています。

こうした中で、リサーチを活用してマーケティング力を高めていくことで、生産性の向上と高付加価値化、つまりは経営の効率化と成長を同時に目指すことができます。

大企業に学ぶことと真似ること

マーケティング活動のうち、大手の企業が実施していて中小企業ではほとんど実施していないのが市場調査/マーケティングリサーチです。

大手企業での市場調査の実施プロセスは以下のような感じになります。

  • リサーチ部門あるいはマーケティング部門が、調査ニーズから仮説を組み立て、具体的な調査の企画イメージ(仕様)をまとめて調査会社に発注する。
    ※発注元のクライアント企業側で調査票を作る場合もある。
  • 市場調査会社で実査(実際に、対象者から回答データを集めること)を行い、集計・分析結果をクライアント企業に提出する。
    ※ローデータのみ、あるいはローデータと集計結果のみを提出し、クライアント企業で集計・分析を行う場合もある。
  • リサーチ部門あるいはマーケティング部門が、事前に組み立てた仮説に照らして調査結果の検証や具体的な対策の検討を行いながら、調査結果の社内展開と活用を進める。
市場調査/マーケティングリサーチの実施プロセス

21世紀に入ってからのトレンドの一つとして、大手企業では、リサーチ部門の名前を「マーケティング・インテリジェンス部」とするところがあります。インテリジェンスとは、簡単に言えば「集めたデータを意思決定のために使える情報とする機能」です。

リサーチを実施する際には、単なるデータの分析だけでは十分ではなく、データの背後に潜む要因や市場の動きに影響を及ぼす要素を検討、洞察して、戦略策定や意思決定を支援する情報に仕上げることがますます重要になってきています。

中小企業のマーケティング・インテリジェンス

「調査企画」や「活用・展開」の機能がないままに、大手企業のように市場調査会社に外注しても、企画が甘かったり、また、数字がグラフになっただけの報告書が出てきて終わりだったりということになり、うまくはいきません。

では、どうすればよいのか?

解決策の一つは経済産業省の指摘にあります。
すわなち、「業者への外注」から「専門家へのアウトソーシング」へと考え方を変えることです。

リサーチやマーケティング部門のない中小企業でも、高いマーケティング・インテリジェンス機能を持った外部の専門家と協働して、ビジネス機会の発見や、戦略立案の指針となったり意思決定を支援したりする情報を集めて選り分け活用していくことで、ビジネスの成長につながるマーケティング力を強化していくことができるはずです。

当社では、リサーチやマーケティング部門のない会社が、リサーチを活用してマーケティング力を強化していくことができるよう「マーケティング・インテリジェンス」機能の面を含めてお手伝いするサービスを行っています。
わかりやすく言えば、当社が貴社の調査部になりますという「マーケティング調査部」サービスです。

「マーケティング調査部」サービスでは当社のリサーチャーが「半分“中の人”」として協働することにより、「貴社のスペシャリスト」になり、貴社の事業成長のお手伝いをいたします。

具体的な調査サービスの内容については、以下のページをご覧ください。

調査サービス

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