個人を対象としたアンケート/市場調査を実施する場合に「年収」を質問することがあります。

「世帯年収のレベル別に、商品・サービスの受容度をみたい」

調査結果を見るときの分析軸として「年収」を聞いておきたいわけです。

お気持ちはよくわかりますが、これがなかなかうまくいきません。

理由は2つ。

データの精度の問題と、回答する側の気持ちの問題です。

年収についての調査結果

まずは国の統計数値をみておきましょう。

厚生労働省が実施している国民生活基礎調査で世帯年収について調べています。
直近の調査結果によると、2018年の1世帯当たり平均所得金額は552万9千円でした。

【各種世帯の1世帯当たり平均所得金額の年次推移】

各種世帯の1世帯当たり平均所得金額の年次推移
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査(2019年)」

分布と平均値・中央値は以下の通りです。

【所得金額階級別世帯数の相対度数分布】

所得金額階級別世帯数の相対度数分布
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査(2019年)」

民間の調査の場合には、分布の山がもう少し右側にずれる形、つまり年収が高い層の割合がもう少し多くなるように思います。

データの精度の問題

「世帯年収」について公表されている調査結果をいろいろ調べてみると、国や自治体が実施する調査でも5~10%くらいの無回答が発生しています。
モニターパネルを利用したWebアンケートでは10~20%、多い時には30%くらいの無回答が発生します。
さらに無回答に加えて、実際よりも多く(あるいは、少なく)回答する人もいます。

内閣府のシンクタンクである経済社会総合研究所によると、「全国消費実態調査(総務省)」のデータに比べて、Webアンケートでは年収の多い層が分厚かったそうです。

回答する側の気持ちの問題

対象者にとって、「収入・所得」は年齢や学歴などとともに「答えいにくい」「答えたくない」質問です。

調査を実施する側としては、100%の正確な情報を得ることはほぼ不可能に近いことを理解したうえで、できるだけ正確な情報を得ることができるよう、「何のためにその情報が必要なのか」について十分な説明を行い、対象者に納得してもらったうえで回答してもらうことが重要です。

そのうえで、例えば「収入・所得」であれば「対象者個人のことなのか、あるいは世帯単位なのか」「年間の合計額(年収)なのか、1か月あたりの平均額(月収)なのか」「税込か、手取りか」などを明確にして質問する必要があります。

「年収」にかわるものを探す

「購買力」を見るのに、「年収」にかわる何かよい指標はないか?検討してみるのもよいでしょう。

これまでいろいろと試してきて、結構効果的なのは「消費ライフスタイル」の切り口です。

一例ですが、

「リサイクルや環境問題に関心が高い」
「多少値段が高くても品質の良いものを買う」

といった項目に対する反応から対象者を分類してみると、世帯年収が高い人たちに特徴的に多いグループを取り出せたりします。

「エコ」「健康」「品質」「余暇・レジャー」などの分野から、経済力を背景とした価値観の違いが現れる項目を7~10項目くらい見つけることができると、もう「年収」質問に頼らなくてもよくなります。

ライフスタイル調査について、詳しくはこちらをご覧ください。

ライフスタイル調査の活用~「こういうのが欲しかった!」につながる消費者理解

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