市場調査で年収を聞くときの注意点

個人を対象とした調査を実施する場合に「年収」を質問することがあります。

「世帯年収のレベル別に、商品・サービスの受容度をみたい」

調査結果を見るときの分析軸として「年収」を聞いておきたいわけです。

お気持ちはよくわかりますが、これがなかなかうまくいきません。

理由は2つ。

データの精度の問題と、回答する側の気持ちの問題です。

注意点(その1) データの精度

「世帯年収」について公表されている調査結果を調べてみると、国や自治体が実施する調査でも5~10%くらいの無回答が発生しています。

モニターパネルを利用したインターネット調査では10~20%、多い時には30%くらいの無回答が発生します。

さらに無回答に加えて、実際よりも多く(あるいは、少なく)回答する人もいます。

内閣府のシンクタンクである経済社会総合研究所によると、「全国消費実態調査(総務省)」のデータに比べて、インターネット調査では年収の多い層が厚かったそうです。

注意点(その2) 聞かれる側の気持ち

「年収」は人に知られたくない個人情報の最たるものの一つです。
聞かれる方はいい気がしません。

調査の目的が十分に理解されずに、

「いったい何に使うつもりなのか?気味が悪い」
「こんなことを聞く会社の商品は二度と買わない!」

と、ヒンシュクをかってしまうこともあります。

これでは、無理して「年収」質問を盛り込んでも、集めたデータの精度が低くて結局使えず、おまけに顧客満足度やブランドイメージが低下してしまうことになりかねません。

そこで、「購買力」を見るのに、「年収」にかわる何かよい指標はないか?という話になります。

「年収」にかわるもの

これまでいろいろと試してきて、結構効果的なのは「消費ライフスタイル」の切り口です。

一例ですが、

「リサイクルや環境問題に関心が高い」
「多少値段が高くても品質の良いものを買う」

といった項目に対する反応から対象者を分類してみると、世帯年収が高い人たちに特徴的に多いグループを取り出せたりします。

「エコ」「健康」「品質」「余暇・レジャー」などの分野から、経済力を背景とした価値観の違いが現れる項目を7~10項目くらい見つけることができると、もう「年収」質問に頼らなくてもよくなります。

数年に一回でよいので、ネットパネルのモニターを対象に調査をして、「年収」と「消費ライフスタイル」についての関係性を分析しておけば、あとは「消費ライフスタイル」質問をするだけで、「年収」を聞くのと同じようなことができるようになりますよ。

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