このところ郵送調査で回収した調査票のデータ入力をしています。
以前はデータ入力専門の会社にお願いしていましたが、ある理由から、現在は自社内でデータ入力をしています。

私自身は、熟練の入力者のように速く打てるわけではなく、入力は面倒で、正直、気の進まない作業なのですが、まじめに取り組むとちゃんとご褒美が用意されています。

対象者の生の回答が記入された調査票(原票)からは、いろいろなことが見えてきます。
1つ1つ本当に丁寧に記入しているものもあれば、殴り書きのようにササッと書かれたものもあります。

〇のつけ方ひとつをみても、
・半分まで描きかけた〇を消して、別の番号を〇で囲んでいる
・1つだけ選ぶところを、1つに絞り切れずに2つ以上選んでいる
・おそらく「2.5」の意味で、5段階評価の「2」と「3」を1つの〇で囲んでいる。
・回答を途中で断念したり、途中を抜かして回答したりしている

などいろいろなケースがあり、そこからは迷いや悩み諦めなどの感情が伝わってきます。

調査票を作った本人としては、

「この質問、無理があったのか」
「ここ、分かりにくかったようだな」
「これはさすがに多すたかも」
「こういう風に考えるのか」

など、反省したり、気づいたりするところがたくさんあり、次はもっといい調査票を作ろうと決意を新たにすることとなります。

いつもこんな感じで反省しながら入力していると、100票くらい入力し終わる頃には、「だいたいのこのくらいの評価で、こんなことが理由みたいだな」というのが感覚的にわかってきます。実際に集計、分析した結果と比べて、この感覚が間違っていることはほとんどありません。

単に原票を見るだけでは、なかなかそこまでの感触をつかむことはできません。
実際に手を動かして生のデータを打ち込み、対象者の気持ちをなぞることが重要なポイントのようです。

これは「写経」に似ているかもしれません。

国語の力を伸ばすには「天声人語」を書き写すのがよいとか、文章力を高めたいのであれば、好きな作家のエッセイ集をまるごと一冊書き写すのがよい、というような話を聞きます。

まねる→まねぶ→まなぶ

となったという説もあるほどで、非効率的で遠回りのようにみえて、実は「写経」は何かを学ぶときに効果的な方法のようです。

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